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福岡!企業!元気!のための許認可事業のココロエ 《平成29年9月号》
一般貨物自動車運送事業の新規許可や事業拡大認可の制限について

 一般貨物自動車運送事業(トラック事業)の新規許可申請や事業規模拡大の認可申請(営業所新設、車庫面積拡大等)の場合において、欠格事由があると当然に認められませんが、それ以外に行政処分等を受けた場合にも認められないことがあります。子会社の新設や営業所新設などをする場合には注意が必要ですので、今回はこのことについて取り上げてみようと思います。

【 欠格事由 】
 必ず許可にならない条件として「欠格事由」があります。貨物自動車運送事業法第5条に規定されています。以下に一部省略して記載します。
 (欠格事由)
 第5条 次の各号のいずれかに該当する者は、第三条の許可を受けることができない。
 1 1年以上の懲役又は禁錮の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
 2 一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業の許可の取消しを受け、その取消しの日から2年を経過しない者(当該許可を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しに係る聴聞の通知が到達した日前60日以内にその法人の役員であった者で当該取消しの日から2年を経過しないものを含む。)
 3 略
 4 法人であって、その役員のうちに前三号のいずれかに該当する者のあるもの

【 欠格事由以外の制限 】
 欠格事由以外に申請を制限するものとして、九州運輸局の「許可事案の処理方針」という公示には、以下のとおり記載があります。

申請者又は申請者が法人である場合にあっては、その法人の業務を執行する常勤の役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)が、貨物自動車運送事業法又は道路運送法の違反により、申請日前3か月間(悪質な違反については6か月間)又は申請日以降に、自動車その他の輸送施設の使用停止以上の処分又は使用制限(禁止)の処分を受けた者(当該処分を受けた者が法人である場合における処分を受けた法人の処分を受ける原因となった事項が発生した当時現にその法人の業務を執行する常勤の役員として在任した者を含む。)ではないこと。

 また、「事業計画変更等に関する処理方針」という公示にも、以下のとおり記載があります。

 @ 事業計画の事業規模の拡大となる申請については、申請日前3ヶ月間(悪質な違反の場合は6ヶ月間)又は申請日以降において九州運輸局長又は当該申請地を管轄する支局長から貨物自動車運送事業法及び道路運送法の違反により車両の使用停止又は使用制限(禁止)以上の処分を受けた者(当該処分を受けた者が法人である場合における当該処分を受けた法人の処分を受ける原因となった事項が発生した当時、現に当該処分を受けた法人の業務を執行する常勤の役員として存在していた者を含む。)ではないこと。
 A 事業計画の変更のうち、増車については届出者が当該届出に係る地方運輸局長等から車両の使用停止以上の処分を受けている場合、増車実施予定日においてその処分期間が終了している者であること。

 この申請日前3ヶ月(悪質な違反については6ヶ月)の起算日は、その処分期間終了後とされています。
 業務を執行する常勤の役員(いかなる名称を問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有するものを含む。)には、相談役、顧問等として事業の経営に関与し、実質的に影響力を及ぼすものを含むこととされています。
 悪質な違反とは、a 違反事実若しくはこれを証するものを隠滅し、又は隠滅すると疑うに足りる相当の理由が認められる場合、b 飲酒運転、ひき逃げ等の悪質な違反行為又は社会的影響のある事故を引き起こした場合、c 事業の停止処分の場合、が該当します。

【 この制限から意識しておくこと 】
 簡単に言うと行政処分を受けた者は、新規許可や事業計画のうち事業規模の拡大となる変更認可申請においては制限があるということです。増車も処分期間が経過するまで制限があります。
 子会社を設立し、親会社の取締役が子会社の取締役を兼務する場合など、親会社で行政処分を3ヶ月以内(悪質な場合は6ヶ月以内)に受けていれば、新規申請ができなくなり、取締役の交代をしなければならなくなります。その親会社も営業所の新設や車庫面積の拡大などもできません。

 行政処分を受けると様々な制限を受けますので注意が必要です。日頃から行政処分を受けないよう常に事故を防ぐ意識を高め、法令で定められた事項を遵守しておくことが重要です。

回答者 特定行政書士 久々宮典義
一般貨物運送業 建設業 建設関連業 産廃収集運搬業 宅建業などの各種許認可申請
くぐみや行政書士事務所  特定行政書士 運行管理者(貨物) 久々宮典義
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