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福岡!企業!元気!のための許認可事業のココロエ 《平成29年10月号》
新たな時代の旅行業法制に関する検討会について

観光庁では、「(株)てるみくらぶ」が多くの負債を抱えたままに破産をしたことを考慮し、消費者保護を図るため、弁済制度のあり方、企業のガバナンスのあり方等について検討してきました。今回は「新たな時代の旅行業法制に関する検討会」の下に設置した「経営ガバナンスワーキンググループ」における議論の取りまとめが行われ発表されましたので、どのような変更があるのかおおまかに取り上げてみようと思います。

【 企業ガバナンスの強化 】

1.経営状況の把握
@ 募集型海外企画旅行を行う事業者(第1種旅行業者)は、決算申告書、納税証明書、純資産と取引額等を観光庁に毎年提出(現在は5年に1度の更新時に提出するのみ)
A 純資産に対して取引額が過大な会社やその比率が急激に大きくなった会社に対して、JATA又はANTAが経営状況の調査を実施する。 (経営ガバナンスガイドラインが作成されるよう)

2.通報窓口の設置
@ 企業内部・他企業からの通報を受け付ける第三者機関の通報窓口を設置し、通報の内容によって第三者機関が調査を実施する。

3.登録更新の際の内容確認の厳格化
@ 登録更新の際に、第1種旅行業者を対象に、企業が公認会計士等により提出書類と総勘定元帳等を突合した結果を添付する等、提出書類の手続き上の正当性を簡易に観光庁が確認できる方法を導入する。

4.広告募集のあり方の見直し
@ 数100日前からの「現金一括入金キャンペーン」のような不適切な広告を防ぐことを旅行広告・取引条件説明書面ガイドラインに明記

5.前受金の使途の明記
@ 旅行出発の60日より前に、前受金を20%以上受け取る場合、その使途等を具体的に広告やパンフレット等に記載し、旅行者に明示することを経営ガバナンスガイドラインに記載して徹底する。

6.旅行業者への宿泊施設等への支払時期の適正化
@ 前受金は「5. 」で広告等に記載された使途に応じて旅行業者から宿泊施設等に適切な時期に支払われるようガイドラインで徹底する。

【 弁済制度のあり方の見直し 】

1.保証制度の見直し
@ 第1種旅行業者を対象に、国による強制加入である保証制度である弁済業務保証金の引き上げ。 (小規模の場合は対象外)
A JATA会員及びANTA会員が任意で加入することができるボンド保証制度への加入の促進

2.保険商品の活用
@ 旅行中に旅行業者の経営破綻等により、旅行者個人において追加支出が発生した場合に保険金が支払われる特約の開発について、既存の保険商品の中で対処できないか保険会社と検討する。

【 実施時期について 】

「企業ガバナンスの強化」の項目のうち、4.広告募集のあり方の見直し、5.前受金の使途の明記、6.旅行業者への宿泊施設等への支払時期の適正化については、平成29年12月から実施するとのことです。
その他については、平成30年4月から実施するとのことです。弁済業務保証金の引き上げについては省令の改正等が必要でしょうから、今後の省令の改正について注目する必要があります。

今回のとりまとめについては、観光庁のホームページに報告書と報告書の概要が掲載されていますので、詳細は観光庁のホームページをご確認下さい。

回答者 特定行政書士 久々宮典義
一般貨物運送業 建設業 建設関連業 産廃収集運搬業 宅建業などの各種許認可申請
くぐみや行政書士事務所  特定行政書士 運行管理者(貨物) 久々宮典義
〒815-0032 福岡市南区塩原4丁目14番13号 ルネサス大橋101
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