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福岡!企業!元気!のための許認可事業のココロエ 《平成30年4月号》
一般貨物自動車運送事業の許可後の手続き3

 前々回から一般貨物自動車運送事業の経営許可申請で許可後の手続きについて取り上げていますが、今回は運輸支局に提出が必要な書類ではありませんが、社内できちんと対応していないといけない事項をとりあげてみようと思います。
 運輸支局に提出する必要はありませんが、運輸開始後3ヶ月以内にやってくる巡回指導で改善を指摘されますので、きちんと実施しておくことが大切です。
 また、今回取り上げる事項については許可後に限られるものではなく、普段の運転者の採用後にも関係することです。

【 運転記録証明書等の取得 】
 運転者を雇入れたら、すぐに事故歴の把握が必要です。
 具体的には自動車安全運転センターが発行する運転記録証明等により、初めて乗務を開始する前までに、雇入れ日より過去3年間以上の事故歴を把握します。
 ただし、運転記録証明書等の取得に時間がかかる場合には、取得申請が行われたことを確認した後に乗務させても差し支えありません。

【 適性診断の受診 】
 事故惹起者とは、自家用自動車等の事故も含み、死者又は重傷者を生じた交通事故を引き起こした者、または軽症者を生じた交通事故を引き起こし、かつ、当該事故前の3年間に交通事故を引き起こした者を指します。
 事故惹起運転者に該当する場合、事故惹起者用の「特定診断」を受診させる必要があります。

 65歳以上の高齢運転者の場合、65歳に達した日以降1年以内に1回と、その後3年以内ごとに1回「適齢診断」を受診させる必要があります。

 次に過去3年間に「初任診断」を受診しているか確認します。過去3年以内に受診していない場合は初任診断の受診が必要です。
 受診している場合はこれで適性診初断に関する確認は終わりです。初任診断の受診は任意になります。ただし、3年以内に受診していることがわかるように初任診断票が会社にあること(もらうこと)が必要です。

 初任診断と特定診断については、乗務を開始する前に実施することが必要です。ただし、やむを得ない場合には、乗務を開始した後、1ヶ月以内に実施することが必要です。

【 特別な指導の実施 】
 過去3年間に緑ナンバーの運転者の経験があるかどうかが判断のポイントになります。
 全く初めて緑ナンバーの乗務員になる人はもちろん、3年以上のブランクがある人については、初任運転者に該当します。この場合「初任運転者の特別な指導」が必要です。
 ここで具体的な教育項目は記載しませんが、座学及び実車を用いての指導を15時間以上、安全運転の実技の添乗指導等を20時間以上実施する必要があります。

 高齢運転者については、「高齢運転者の特別な指導」の実施が必要です。初任運転者に該当する場合には初任運転者の特別な指導も実施する必要があります。

 事故惹起運転者については、「事故惹起運転者の特別な指導」の実施が必要です。高齢運転者に該当する場合は高齢運転者の特別な指導を、初任運転者に該当する場合には初任運転者の特別な指導も実施する必要があります。

  【 記録の作成 】
 これらの指導教育については教育記録簿を作成して、指導教育資料も含めて3年間保存しなければなりません。また運転者台帳にもこれらの教育記録について、詳細な記載をしておく必要があります。

 記録の作成は必ず忘れないように実施して下さい。いざ監査のときなどに、本当に実施していても記録がない場合はやっていないとみなされます。また記録の不備があるのも問題です。
 記録を作成するのは面倒かもしれませんが、あとでまとめて作成するなどをしていると記載漏れなどが発生します。きちんとその都度記録を残す習慣をつけるようにして下さい。

回答者 特定行政書士 久々宮典義
一般貨物運送業 建設業 建設関連業 産廃収集運搬業 宅建業などの各種許認可申請
くぐみや行政書士事務所  特定行政書士 運行管理者(貨物) 久々宮典義
〒815-0032 福岡市南区塩原4丁目14番13号 ルネサス大橋101
TEL 092-213-0606  HP : http://www.kugumiya.com/
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