許認可事業のココロエ

                     前へ<<               >>次へ
福岡!企業!元気!のための許認可事業のココロエ 《平成30年6月号》
睡眠不足に起因する事故の防止対策の強化

 トラック事業以外にもバスやタクシーにおいても、6月1日から運転者の睡眠不足による事故の防止を一層推進するため睡眠不足の者をドライバーとして乗務させてはならないことなどを明確化し、点呼簿の記録事項として睡眠不足の状況が追加される「貨物自動車運送事業輸送安全規則」と「旅客自動車運送事業運輸規則」が改正されます。
 併せて「貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について」及び「旅客自動車運送事業運輸規則の解釈及び運用について」の通達も改正されました。

【 貨物自動車運送事業輸送安全規則の改正 】

 記載内容については、「旅客自動車運送事業運輸規則」についてもほぼ同じですので、ここでは「貨物自動車運送事業輸送安全規則」の条文を取り上げます。

 第3条第6項
「改正前」貨物自動車運送事業者は、乗務員の健康状態の把握に努め、疾病、疲労その他の理由により安全な運転をし、又はその補助をすることができないおそれがある乗務員を事業用自動車に乗務させてはならない。
「改正後」貨物自動車運送事業者は、乗務員の健康状態の把握に努め、疾病、疲労、睡眠不足その他の理由により安全な運転をし、又はその補助をすることができないおそれがある乗務員を事業用自動車に乗務させてはならない。

 第7条 貨物自動車運送事業者は、事業用自動車の乗務を開始しようとする運転者に対し、対面(省略)により点呼を行い、次に掲げる事項について報告を求め、及び確認を行い・・・
「改正前」一(略)
     二 疾病、疲労その他の理由により安全な運転をすることができないおそれの有無
「改正後」一(略)

     二 疾病、疲労、睡眠不足その他の理由により安全な運転をすることができないおそれの有無
 第17条 貨物自動車運送事業者の運転者は、前条に定めるもののほか、事業用自動車の乗務について、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
「改正前」一(略)
     一の二 疾病、疲労その他の理由により安全な運転をすることができないおそれがあるときは、その旨を貨物自動車運送事業者に申し出ること。
「改正後」一(略)
     一の二 疾病、疲労、睡眠不足その他の理由により安全な運転をすることができないおそれがあるときは、その旨を貨物自動車運送事業者に申し出ること。

【 貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用(通達)の改正 】
 上記の省令の改正に伴い、省令の解釈及び運用についての通達も改正されました。
 ここで全文を掲載するにはスペースが足りませんので、概略をお知らせしておきます。
 点呼記録簿について、これまで「運転者の疾病、疲労等の状況」を記録しなければなりませんでしたが、この改正により「運転者の疾病、疲労、睡眠不足等の状況」に変更されました。

【 事業者の対応 】
 事業者が実施しなければならないことは、上記の輸送安全規則の改正に記載されているとおり、事業者は運行管理者に指示して、点呼のときに睡眠不足の運転者がいないかチェックをするようにし、睡眠不足の運転者を乗務させないようにしなければなりません。
 運転者に対しては、睡眠不足の場合は必ずその旨を申し出るように指導しなければなりません。

 通達では、上記の運行管理者の点呼で「乗務前点呼」と「中間点呼」で睡眠不足をチェックするように求められていて、点呼簿にその点呼実施の内容を記録するように求められていますので、点呼簿をきちんと改正しておくことが必要です。
 既存の点呼記録簿にある「運転者の疾病、疲労等の状況」を「運転者の疾病、疲労、睡眠不足等の状況」に変更して記録をしておくことが必要です。

 点呼については、形式だけ実施するのではなく、すべての運転者に睡眠不足による居眠り運転による事故防止の重要性を理解させることが重要です。

回答者 特定行政書士 久々宮典義
一般貨物運送業 建設業 建設関連業 産廃収集運搬業 宅建業などの各種許認可申請
くぐみや行政書士事務所  特定行政書士 運行管理者(貨物) 久々宮典義
〒815-0032 福岡市南区塩原4丁目14番13号 ルネサス大橋101
TEL 092-213-0606  HP : http://www.kugumiya.com/
                     前へ<<               >>次へ
許認可事業のココロエリストに戻る