3月15日に建設業法と公共工事入札契約適正化法(入契法)の改正案が閣議決定され、国会へ提出されました。私達行政書士が許可申請等をするにあたって直接関係してくる事項や既存の建設業者に関係する事項も多く含まれていましたので、今回はこの改正案の概要を取り上げてみようと思います。
※ 前回からの続きの「一般貨物自動車運送事業の許可は本当にいるのか?」は次回以降に取り上げたいと思います。
【 改正案の概要 】
建設業での人材不足・人手不足など担い手の確保育成が課題となるなかで、今回の改正となりました。改正案の主なポイントは以下になります。加えて建設業許可の許可要件も初めて見直されることになりました。
〇建設業の働き方改革の促進 〇建設現場の生産性の向上 〇持続可能な事業環境の確保
【 許可要件等の改正 】
私達行政書士に特に関係してくる事項として、許可要件の改正があります。これから建設業許可を取得しようとする方にとっても、また建設業許可を既に取得されている方にとっても、重要な事項です。どのような改正案なのか取り上げてみようと思います。
@許可基準の見直し
建設業の許可基準のうち、5年以上取得する建設業に関する経営業務の管理責任者としての経験を有する者を置くこととされている基準を、建設業にかかる経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして国土交通省令で定める基準に適合することに改める。
A許可を受けた地位の承継
・建設業の譲渡及び譲受、合併及び分割の際に、あらかじめ国土交通大臣等の認可を受けたときは、譲受人等は建設業の許可を受けた地位を継承する。
・建設業者(個人)が死亡した場合、国土交通大臣等の認可を受けたときは、相続人は建設業の許可を受けた地位を継承する。
【 配置技術者に関する改正 】
建設業での人材不足・人手不足など担い手の確保育成が課題となるなかで、今回の改正となりました。改正案の主なポイントは以下になります。加えて建設業許可の許可要件も初めて見直されることになりました。
〇建設業の働き方改革の促進 〇建設現場の生産性の向上 〇持続可能な事業環境の確保
@監理技術者の専任義務の緩和
工事現場に監理技術者を専任で置くべき建設工事について、当該監理技術者の職務を補佐する者としてこれに準ずる者を専任で置く場合には、監理技術者の専任を要しないこととする。
A主任技術者の配置義務の合理化
特定の専門工事につき、元請負人が工事現場に専任で置く主任技術者が、下請負人が置くべき主任技術者の職務を併せて行うことができるとし、この場合において、当該下請負人は、主任技術者の配置を要しないこととする。
【 その他の改正 】
@標識の掲示義務の緩和 A請負契約における書面の記載事項の追
B著しく短い工期の禁止 C工期等に影響をおよぼす事象に関する情報の提供
D下請代金の支払い方法 E不利益な取り扱いの禁止
F建設工事従事者の知識および技術または技能の向上 G技術検定制度の見直し
H復旧工事の円滑かつ迅速な実施を図るための建設業者団体の責務
I工期に関する基準の作成等 J建設資材製造業者等に対する勧告および命令等
【 施行のスケジュール等について 】
いかがでしょうか。許可基準の見直しや事業承継、配置技術者の見直し、その他多くの改正がされることになっています。施行のスケジュールは、今国会で成立し、公布されたのち、公布の日から1年6ヶ月以内に施行されることになっています。
許可基準の経営業務の管理責任者の基準については「国土交通省令で定める基準」とされていますので、国土交通省令を待たないとどのような基準になるのか現時点ではわからない状況です。これまで別の建設業者でずっと勤務していて、資格も持っている人が、独立して建設業許可を取得したいと思っていた方も、これまでは経営経験がない為に独立して許可取得まで5年以上経過するのを待たなければならないケースも多かったと思いますが、この改正により早期に許可取得ができるようになるかもしれません。
国土交通省令については、どのようなものになるかこれからも注視していきたいと思います。
回答者 特定行政書士 久々宮典義
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