前々回のコラムからとりあげているとおり、平成30年12月14日に改正貨物自動車運送事業法が公布され、8月1日に省令等が公布されました。施行は11月1日からになります。
令和元年10月17日に九州運輸局から新規許可の「審査基準」と「審査基準の細部取扱」がやっと公表されましたので、今回はこれを取り上げてみようと思います。
【 営業所について 】
原則的に変更されていません。契約期間が1年以上から2年以上になりましたが、契約期間満了時に自動更新がされるのであれば認められます。
ただし、「必要な備品を備えているなど、事業遂行上適切なものであること」と追加され、提出が必要なものとして写真が求められるようにないました。新規申請時に必要な備品が備えられていれば、その写真を添付すればOKですが、まだ体制が整っていないときには、事後的に提出が認められるようです。提出時期については「運輸開始前の確認」の提出時のようです。(様式にこの文言が追加されていました。)
【 車庫について 】
前回から大変お騒がせしましたが、車庫と営業所の距離については変更はありませんでした。
ただし、営業所と同様に写真の提出が求められることになりました。契約期間は営業所と同様に1年以上から2年以上になりました。
【 休憩・嗣明氏設について 】
原則的に変更はありません。契約期間は営業所と同様に1年以上から2年以上になりました。
ただし、営業車と車庫と同様に写真の提出が求められることになりました。
【 点検及び整備管理体制について 】
改正前の審査基準では、「運行管理体制」のところに整備管理も併せて記載されていましたが、今回の改正から独立しました。原則は変わりません。
ただし、運行管理体制の様式のところに「整備管理の担当役員」を明記することになりました。
(併せて「運行管理の担当役員」も記載することになりました。)
【 資金計画について 】
今回の改正の一番メインのところになります。以前からお伝えしておりましたとおり、以下のようになりました。
・役員報酬、給与、手当、賞与、法定福利費、厚生福利費等の人件費・燃料費・油脂費・修繕費
2ヶ月分計上から6ヶ月分計上へ変更
・車両購入費、リース料などの車両費、営業所や車庫の施設購入・使用料
6ヶ月分計上から1年分計上へ変更
【 法令順守について 】
改正前は貨物自動車運送事業法等の違反により申請日前3か月間(悪質な違反については6か月間)に行政処分等を受けたことのある者やその会社に在籍していた役員は、申請できないことになっていましたが、これが申請日前6か月間(悪質な違反については1年間)に変更されました。
【 欠格事由について 】
これは貨物自動車運送事業法と施行規則で規定されているものですが、親会社やグループ会社、子会社等の申請者と密接な関係を有する者が許可の取り消し等を受けたりしていた場合、5年間は欠格事由に該当し、申請をすることができません。
また、もともとあった申請者が過去に取り消しを受けていた場合、2年間は欠格事由に該当していましたが、これが5年間に変更されています。
【 損害賠償能力について 】
開始前は任意保険で対人無制限に加入することになっていましたが、「財産の損害賠償に係るものについて1事故につき保険金の限度額が200万円以上であるものとする」との項目が追加されました。これは対物保険のことだと思いますので、ほとんどの会社が対物保険は無制限で加入しているのではないでしょうか?
【 まとめ 】
審査基準が公示され、車庫の問題がはっきりと解決したので個人的には一安心です。
今回の改正によってなんといっても一番の目玉は資金計画でしょう。今後は新規申請はある程度資本のある方でないとできなくなると思います。
今回は新規許可に関する審査基準を取り上げましたが、次回は既存の事業者が関係する事業計画変更に関する処理方針の改正内容を取り上げてみようと思います。
回答者 特定行政書士 久々宮典義
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