【 事前届出制から認可制に変わるもの 】
以下の@〜Bのいずれかに該当する場合、今までは事前届出で手続きをしていたものが、認可申請をしなければなりません。事前届出のときはすぐに増減車の手続きが完了していましたが、認可申請になると1〜3ヶ月かかりますので、注意が必要です。
@変更後の車両数が最低車両台数(5両)未満になる減車・増車
5両→4両、3両→4両のように増減車後の車両が5両未満になる場合、認可申請になります。認可申請には、5両になるための具体的な計画書の添付が必要になります。
5両未満になる減車は、災害、事故等により車両が使用不能になり、代わりの車両が確保されるまでの間に限り認められます。経営上の都合によるものや、代わりの車両を確保する計画が未定のものは認められません。
A法令遵守が十分でないおそれがあるものが行う増車
以下のイ〜ハのいずれかに該当する場合は、認可申請になります。この場合、後述の「事業規模の拡大」に準じた審査されます。
イ 密接関係者が許可の取り消しを受け5年を経過していない者
ロ 増車を行う営業所の行政処分の累積点数が12点以上である
ハ 増車を行う営業所について、申請日前1年間に巡回指導でE評価を受けている
B増車する営業所の車両数が申請日3ヶ月前時点から30%以上増加することとなる増車
この場合、後述の「事業規模の拡大」に準じた審査されます。
ただし、3ヶ月間で増加する車両数が10両以下の場合は除かれ、30%以上の増車であっても10両以下であれば事前届出になります。なお、例えば3ヶ月間に10両増車、5両減車している場合、申請日前3ヶ月間に増加した車両は5両として計算されます。
【 事業規模の拡大が制限されるケース 】
営業所の新設、車庫の拡張などの事業規模の拡大となる認可申請について、以下のイ〜ヘのいずれかに該当する場合は制限されます。前のページのAとBの認可申請もこの基準で審査されます。
イ 申請日前6ヶ月(悪質な場合は1年間)または申請日以降に、九州運輸局管内で車両の使用停止または使用制限(禁止)以上の処分を受けた
ロ 申請日前3ヶ月間または申請日以降に、巡回指導による総合評価で「E」の評価を受けた
(指摘を受けた全項目について改善報告をしている場合を除く)
ハ 申請日前3ヶ月間または申請日以降に、申請に係る営業所に関して、自らの責による重大事故を発生させている
ニ 申請に係る営業所を管轄する運輸支局管内におけるすべての営業所に配置している事業用自動車について、有効な自動車検査証の交付を受けていない車両がある
ホ 事業報告書、事業実績報告書及び運賃料金の届出などについて、届出・報告義務違反がある
ヘ 運賃と料金を区分して収受する旨が明確に定められている運送約款を使用していない
【 事業の休止届・廃止届が事前届出制へ 】
今までは休止や廃止をした場合は30日以内に届け出る事後届出制でしたが、30日前までの事前届出制に変更になりました。
【 標準処理期間が1ヶ月程度延長 】
今回の改正による審査の拡充により、各種許認可申請の標準処理期間が1ヶ月延長されました。
これまでは営業所や車庫の新設については、1ヶ月程度で認可になっていましたが、11月以降もう少し時間がかかるようになると思われます。
【 終わりに 】
以前より最低車両台数割れの減車については問題視されていましたが、今回認可申請の対象となり簡単には5台未満にすることはできなくなりました。
法令遵守が不十分であると思われる事業者には増車や営業所・車庫の新設などが制限されることになり、法令遵守が不十分な事業者は退場いただきたいという姿勢がハッキリとわかります。
各種法令の遵守をきちんとしている事業者であっても、うっかり見落としている事項もあるかもしれません。特に「事業報告書」と「事業実績報告書」はきちんと提出されているでしょうか?
運行管理者よりも総務経理部門の方が提出を担当していることが多いでしょうから、今一度漏れがないか確認をしておいた方がよいでしょう。
回答者 特定行政書士 久々宮典義
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