許認可事業のココロエ

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福岡!企業!元気!のための許認可事業のココロエ 《令和2年4月号》
電気工事業に関する様々な手続きについて

 電気工事業という業種がありますが、許認可上は「電気工事業の業務の適正化に関する法律(電気工事業法)」に基づく電気工事業と「建設業法」に基づく電気工事業があります。これらは根拠法令が異なるので、当然に手続きが異なります。
 我々行政書士でもこの点をしっかり把握していない人がいますし、事業者さんも完全に理解されていないケースが散見されます。
 私は10年くらい前に電気工事業法をしっかりと理解したのですが、最近改めて理解を深める機会がありましたので、今回から電気工事業についてご紹介したいと思います。

【 建設業法と電気工事業法の違い 】

 まず根本的なところですが、法律を所管している行政庁が異なります。
 建設業法は国土交通省の所管で、電気工事業法は経済産業省の所管です。
 福岡県庁でも建設業法は建築指導課、電気工事業法は工業保安課が担当しています。

【 建設業許可の電気工事業を取得したら 】
 私の経験上、建設業許可の電気工事業を取得した後に何も手続きをしていないケースを意外と多く見かけます。今回はこの点を少し取り上げてみます。

 建設業許可では「建築工事業」「内装仕上工事業」「鉄筋工事業」など29業種が規定されており、この29業種の中に「電気工事業」があります。通常、例えば建設業の「内装仕上工事業」の許可を取得したら手続きは終了です。私も事業者さんに許可通知書をお渡しして完了です。
 しかし「電気工事業」については、建設業許可の「電気工事業」を取得した後に「みなし登録電気工事業者」の開始届出を提出しなければなりません。

 建設業許可で求められている有資格者(専任技術者や主任技術者)の要件と電気工事業法での有資格者(主任電気工事士)の要件が異なるため、建設業許可を受けたからといって、電気工事が行えるわけではなく、直接電気工事を施工するためには、電気工事業法の規定を満たして「みなし登録電気工事業者の開始届出」をしておかなければならないのです。

【 電気工事業法の登録とは 】
 「みなし登録電気工事業者の開始届出」という言葉が出てきましたが、何をみなすのかを理解しなければ話が進みませんので、登録電気工事業者のことをまず簡単にご紹介していきます。

 通常、建設業許可では税込500万円未満の工事を施工する場合、軽微な工事として許可がなくとも施工できます。しかし電気工事については、500万円未満であっても施工する場合には電気工事業法に基づく電気工事業の登録が必要です。この点が建設業許可の他の28業種との違いです。

 登録電気工事業者の登録要件として最も重要な点は主任電気工事士の設置です。
 電気工事業者は電気工事の業務を行う営業所ごとに、自社の社員(事業主本人でも可)から選任した主任電気工事士を設置しなければなりません。

【 主任電気工事士になれる資格とは 】
 主任電気工事士の資格として、次の@またはAのいずれかを満たさなければなりません。

 @ 第一種電気工事士の免状を取得しているもの
 A 第二種電気工事士の免状取得後、3年以上の電気工事に関する実務経験のあるもの

 ここの3年以上の実務経験についてですが、ここもポイントです。
 建設業許可の例えば内装仕上工事などは、500万円未満の工事であれば無許可で施工できますので、実務経験を無許可の自社で積むことができます。
 しかし電気工事業については、500万円未満であっても登録が必要ですので、ここでの実務経験は必ず電気工事業法に基づく登録または届出をしている事業者のもとでの経験でないと認められません。
 無登録や届出をしていない事業者での経験は何年あっても認められません。そもそも違法な工事ですので認められないのは当然です。

【 終わりに 】
 今回は紙面が尽きてしまいましたので、次回以降もこの電気工事業に関するご紹介を続けていきたいと思います。

回答者 特定行政書士 久々宮典義
一般貨物運送業 建設業 建設関連業 産廃収集運搬業 宅建業などの各種許認可申請
くぐみや行政書士事務所  特定行政書士 運行管理者(貨物) 久々宮典義
〒815-0032 福岡市南区塩原4丁目14番13号 ルネサス大橋101
TEL 092-213-0606  HP : http://www.kugumiya.com/
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