許認可事業のココロエ

                     前へ<<               >>次へ
福岡!企業!元気!のための許認可事業のココロエ 《令和2年11月号》
改正建設業法の施行について1

 令和元年6月5日に成立、同月12日に公布された改正建設業法ですが、改正施行令と改正施行規則も併せて10月1日に施行されました。
 関係告示が9月30日に公布されるとともに、関係ガイドラインについても改正されました。今回はこの建設業法の改正について取り上げてみようと思います。

【 許可の審査に関する改正内容 】

 今回の建設業法改正については、すべて取り上げていくと紙面が足りませんので、許可に関する基準について取り上げてみます。

 建設業許可においては、「適切な経営能力を有すること」という条件があります。
 これを満たすものとして、「経営業務の管理責任者」という人を配置する必要があります。今回の改正で以下のとおりとなりました。

施行規則第7条第1号
 イ 常勤役員等のうち1人が次のいずれかに該当する者であること

 (1) 建設業に関し5年以上の経営業務の管理責任者としての経験を有する者
 (2) 建設業に関し5年以上の経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けたものに限る)として、経営業務を管理した経験を有する者
 (3) 建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者

 上記の「イ」のほか、今回「ロ」が大幅に改正され、新たな基準が規定されましたが、「ロ」については、次回とりあげようと思います。

【「イ」の(1)のポイント 】

 「イ」の(1)のポイントとして、改正前は許可を受けようとする建設業に関し総合的に管理した経験を有することが必要とされていましたが、その経験が申請しようとする許可業種に限る必要がなくなったことです。

 改正前は、例えば内装仕上工事業について、5年以上の役員等の経験があれば内装仕上工事業のみの経営業務の管理責任者になれ、6年以上あれば内装仕上工事業以外の例えば鉄筋工事業や大工工事業などの経験した許可業種以外の経営業務の管理責任者になれていました。

 今回の改正では、例えば内装仕上工事業に関して5年以上の経営経験があれば、すべての業種の経営業務の管理責任者になることができます。
 業種ごとではなくなったので、例えば内装仕上工事業に関して5年以上というケースだけでなく、内装仕上工事業2年、大工工事業2年、塗装工事業1年の合計5年というパターンでも、すべての業種の経営業務の管理責任者になることができます。

【「イ」の(2)(3)について 】

 「イ」の(2)については、私はこの要件で申請した経験がありませんが、執行役員制度などを取り入れている事業者などを対象にしていると思います。
 従前の取り扱いでは、建設業の業務執行について、取締役会の決議を経て、具体的な権限移譲を受けた執行役員について、組織図、職務分掌規程、執行役員規程、取締役会の議事録などで確認されていたようですので、同じような取り扱いになるのではないかと思います。
 「イ」の(3)については、身近にあるケースとしては、個人事業主の父親の補佐として息子が青色事業専従者などで勤務していたケースです。このケースでは6年以上の経験が必要です。

【最後に】
 改正前は、多くの事業者が「イ」の(1)のようなパターンで申請するケースが多かったのですが、複数業種を取得するには6年以上の経験が必要でした。これが5年になったのは少し申請しやすくなったかなと思います。
 次回は「ロ」について取り上げてみようと思いますが、これは確かに要件が緩和されてはいるのですが、要件を満たすのは簡単ではなさそうな感じです。

回答者 特定行政書士 久々宮典義
一般貨物運送業 建設業 建設関連業 産廃収集運搬業 宅建業などの各種許認可申請
くぐみや行政書士事務所  特定行政書士 運行管理者(貨物) 久々宮典義
〒815-0032 福岡市南区塩原4丁目14番13号 ルネサス大橋101
TEL 092-213-0606  HP : http://www.kugumiya.com/
                     前へ<<               >>次へ
許認可事業のココロエリストに戻る