リスク法務実務研究会は、弁護士、税理士、社会保険労務士、司法書士、行政書士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、弁理士、ファイナンシャルプランナー、保険代理店等の各種専門家によって構成する任意団体です。

過去のメールマガジン

□■□ 『中小企業のための経営支援情報』第10号 □■□
福岡☆リスク法務実務研究会
◇◆◇ 新保険法施行 ◇◆◇
一般の方にはあまり知られていませんが、平成22年4月1日に新保険法が施行されました。
今回、約100年ぶりの改正となった一番のポイントは「契約者保護」です。
●告知制度の変更点
1.告知制度が「質問応用義務化」に変わりました。
つまり被保険者は保険会社に聞かれたことだけを答えればOKということです。
これまで「重要な事実は自主的に正しく告げなければならない」という建前でした。
今後、保険会社は告知書にない項目について、告知義務違反を主張することができなくなります。
2.告知妨害による解除ができなくなります。
例えば、募集人(保険外交員)に「それは書かなくても大丈夫」などと言われたので、告知しなかった場合、保険会社は契約を解除できなくなりました。
ただし、実際には立証が難しいので、契約者は注意が必要です。
●受取人の変更方法
1.保険金受取人の変更は保険会社へ意思表示をした時と明記されました。
受取人の変更を希望する場合、一般的には保険会社に書類の提出が必要ですが、投函した時点、担当者に渡した時点で効力が発生することになります。
2.遺言による受取人変更が可能になりました。
これまで規定がなかったところを法で定めたのは大きな変更点です。
実務的には遺言の書式や書き方の不備で無効にならないように注意して下さい。
他にも変更点はありますが、保険で一番大切な「入口(加入時)」と「出口(受取時)」について、まとめてみました。
そもそも保険は万一の為の備えとして加入するものです。
「契約者保護」に動きつつあるとはいえ、消費者はいざという時に役に立つ保険かどうか、自分できちんと理解する必要があるでしょう。
CFP/一級ファイナンシャルプランニング技能士 田名網 亜衣子
《執筆メンバー》 弁護士2、税理士2、社会保険労務士3、行政書士3、司法書士1、弁理士1、不動産鑑定士1、ファイナンシャルプランナー2、保険代理業1(計16名)
■発 行 福岡☆リスク法務実務研究会
■メール risk@riskhoumu.com
■ブログ http://blogs.yahoo.co.jp/hokenhoumu
■メルマガ http://www.mag2.com/m/0001120380.html
■HP http://www.riskhoumu.com

□■□ 『中小企業のための経営支援情報』第9号 □■□
福岡☆リスク法務実務研究会
◇◆◇ 許認可の変更届出について ◇◆◇
会社や個人事業などの事業者が事業を営むにあたって、密接に関連してくるのが「許可」「認可」「免許」「登録」「届出」などの許認可です。
例えば建設業者であれば『建設業許可』、不動産会社を営むには『宅地建物取引業免許』、トラック運送業を営むのであれば『一般貨物自動車運送事業許可』などがあります。
身近なところでは飲食店の『食品営業許可』や美容室の『美容所の届出』などがあります。
私は行政書士という仕事をしていますが、行政書士も「登録」が必要です。
これらの許認可は、手続きが大変なものもあれば簡単なものもあり、千差万別です。
ただ、共通して言えることは許認可を取得した以上、その根拠となる法令を遵守しなければならないということです。
「手続きを専門家にすべて依頼したので内容はわからない」ではすまないのです。
根拠となる法令(○○法、○○法施行規則、○○法施行令)をすべてきちんと理解している人はあまりいないのが現実ですが、最低限守らなければならないことは守りましょう。
特に会社の取締役を変更したとか、資本金を増資した、許認可に必要な資格者が交代したなどの時には、管轄行政庁に変更届の提出をしなければならないケースが多いので、提出することを忘れないようにしましょう。
例えば「一般貨物自動車運送事業」であれば、貨物自動車運送事業法第9条第3項と貨物自動車運送事業法施行規則第5条〜第7条に根拠規定があります。
事前に認可が必要なケースや事前の届出、事後の届出のケースがあります。
増車・減車などは事前届出、役員の変更などは事後届出になっていますが、会社の合併や車庫・営業所の移転などは事前に認可を受けなければなりませんので注意が必要です。
また、美容室であれば、美容師法第11条と美容師法施行規則第20条に根拠規定があります。
美容所の届出は従業者の氏名が届出事項になっていますので、スタッフを新たに雇用した時や、辞めた場合には届出が必要です。
これらの変更の届出には罰則を伴うものがあったり、行政処分が課されるものもあります。
また、本来提出しなければならない分を提出していなかったら、許可更新の際に過去の分をすべて提出することを求められたりしますので、十分注意が必要です。
ここでもう一度、ご自分の取得している許認可の根拠法令を確認し、遵守事項を守っているか、変更届などを提出しているかをチェックしてみることをおすすめします。
許認可を甘くみていると後で痛い目にあうかもしれませんよ。
行政書士 久々宮典義(福岡県行政書士会)
《執筆メンバー》 弁護士2、税理士2、社会保険労務士3、行政書士3、司法書士1、弁理士1、不動産鑑定士1、ファイナンシャルプランナー2、保険代理業1(計16名)
■発 行 福岡☆リスク法務実務研究会
■メール risk@riskhoumu.com
■ブログ http://blogs.yahoo.co.jp/hokenhoumu
■メルマガ http://www.mag2.com/m/0001120380.html
■HP http://www.riskhoumu.com

□■□ 『中小企業のための経営支援情報』第8号 □■□
福岡☆リスク法務実務研究会
◇◆◇ 不動産価格の推移について ◇◆◇
不動産の価格がどの様に推移してきたかを、不動産鑑定評価の観点からお話ししてみようと思います。
戦後地価の推移には、大きく分けて4つの時代があります。
1つは平成バブル崩壊前の所謂「土地神話」の時代
2つ目はバブル崩壊後
3つ目はバブル崩壊後〜リーマンショック前までの時代
4つ目はリーマンショック後〜現在にかけて
1.土地神話の時代
戦後、地価は一貫して上昇を続け、当時世間では、「土地は一番安全な資産」と考えられていました。
地価は毎年上昇し、借金して土地を取得しても、銀行の金利より、地価の上昇率のほうが高いことから、借金してでも土地を持っていれば、取得価格+金利<土地価格、となり、資産形成が可能であるとの考え方が一般的だったのです。
この時代の地価に対する考え方は、自分の土地の近くにある他の土地が100万円/坪で売れたならば、自分の土地も100万円/坪はするという考え方、所謂「取引事例比較法」が中心で、更地が一番との考えでした。
バブル崩壊直前は、金あまり現象から、土地価格は驚異的な上昇を続け、都心部では地上げが行なわれ、極端な場合では、朝・昼・夜で土地の所有者が異なることもありました。
2.バブル崩壊後
バブルが崩壊すると、企業等は自らの生き残りをかけて、不要な資産を売却する動きが高まり、不動産市場においては、供給過多となり、地価の底値が判らないことから、日本人は不動産に手を出さない状況で、暗黒の時代でした。
3.リーマンショック前
その様な状況に目をつけた外国企業等が指値で不動産を買っていったのです。
外国企業の不動産価格の根拠となったのが、今では一般的になった、収益還元法(DCF法)です。
DCF法とは、「毎期の純収益の現在価値の総和+(将来時点の不動産価格−売却費用)=不動産の価値」とする考え方です。
DCF法では、「毎期の純収益」を現在価値に割り引く際の割引率及び「将来の不動産価格−売却費用」を割り引く際のターミナルキャップレートがより重視されます。
例えば、1年後の100万円を現在価値に割り引く割引率を5%と10%で比較すると、5%では100万円÷(1+1.05)≒95万円に対し、10%では100万円÷(1+0.10)≒91万円となります。
外資は不動産をまとめて買うことによってこの割引率をものすごく高い率(割引率が高いと不動産価格は低くなる)で設定し、不動産を買っていったのです。
外資(はげたかファンド)が不動産を買い漁っていると外資同士、また、収益還元法を根拠とした日本の投資家等の間で不動産の取得競争が始まったのです。
この時代と、バブル崩壊前との決定的な違いは、個々の不動産の収益性に着目したか否かです。
隣接するA・B,2つのマンションがあったとして、Aは維持管理がきちんとなされていて、住んでいる人も家賃をきちんと払うマンション、Bは玄関や廊下にゴミが散乱して維持管理の程度が劣り、度々家賃を滞納する人が多く住んでいるマンションとなれば、当然AのほうがBよりリスクが低いことから割引率も低くなり、結果、不動産価格も高くなるのです。
市場に不動産は多数ありますが、収益性の見込める物件には限りがあるため、市場は収益物件と非収益物件(収益性が見込めない物件)に大別され、収益物件の取得競争がなされていきました。
投資ファンド等は顧客から集めたお金を投資しなければいけないので、不動産投資が必要であり、ひいては、割引率を下げないと不動産を取得できないことから、割引率の下げ競争がおこったのです。
最終的には「何れ収益不動産バブルは崩壊するだろうが、自分が不動産を転売するまでは、不動産バブルが持てばよい」との、いわゆる「ババぬき」ゲームの感でした。
4.リーマンショック後〜現在
昨年リーマンショックが世界を被い、世界的な不況に突入しました。
リーマンショック直後、日本において、これまで不動産を取得していた投資家等が市場から一斉に手を引いたこと、エンドユーザーの買い控えによる在庫の増加等により、不動産価格は下落傾向を示しました。
5.将来の動向
現在、マンション用地需要の回復、住宅関連税制の緩和等により、リーマンショック直後に比して、持ち直しの傾向がみられますが、まだまだ、本格的な回復には程遠い状況です。
今後の動向は、先行きの不透明感等により、なんとも言い難いのですが、日本に投資家のマネーをいかに取り込むか等に懸かっていると言えるでしょう。
不動産鑑定士 小池 孝典
《執筆メンバー》 弁護士2、税理士2、社会保険労務士3、行政書士3、司法書士1、弁理士1、不動産鑑定士1、ファイナンシャルプランナー2、保険代理業1(計16名)
■発 行 福岡☆リスク法務実務研究会
■メール risk@riskhoumu.com
■ブログ http://blogs.yahoo.co.jp/hokenhoumu
■メルマガ http://www.mag2.com/m/0001120380.html
■HP http://www.riskhoumu.com

□■□ 『中小企業のための経営支援情報』第7号 □■□
福岡☆リスク法務実務研究会
◇◆◇ 国民年金の免除制度 ◇◆◇
20歳から60歳未満で、日本に住んでいる人は原則国民年金に入らないといけません。
もちろん、20歳前や60歳以上で厚生年金・共済年金に入っている人はいますが、今日はほとんど知られていない国民年金の免除制度の利点についてご紹介します。
1.平成21年4月から免除期間の支給率が変わった
自営業者やフリーターの方で、国民年金保険料(平成22年度は月15100円)が払えない場合、本人や配偶者の所得によって全額免除、4分の1免除、半額免除、4分の3免除等の免除制度が使える場合があります。
手続き自体は簡単です。
国民年金手帳と認印と念のため身分証明書をお住まいの市町村役場の国民年金課に持っていけばいいのです。
これまでは全額免除だった人は、年金をもらうときには3分の1として計算されていました。
仮に40年間すべて全額免除であれば、792100円の3分の1の約264000円がもらえていたわけです。
それが、昨年4月から2分の1になりました。
国民年金保険料を1円も払わなくても半分はもらえるようになったのです!
本当に払えなくてお困りでしたら、是非相談してください。
2.免除なら資格あり、未納なら資格なし
私が免除申請をお勧めするのは、本当は老齢年金をもらうためだけではありません。
年金をもらうためには25年の納付期間(資格)が必要だというのは、けっこう皆さんご存じです。
でも、国民年金を払うということは、老齢以外に障害年金や遺族年金もついてくるということなのです。
もらうためには一定の条件が必要なのですが、現実に保険料を払っていなくても免除申請さえしていれば、障害年金がもらえたのに、また、亡くなったご主人が免除申請さえしていたら奥様は遺族年金がもらえたのにといった事例があるのです。
若い方は特に年金制度に対する不信感や今楽しければいいやという気持ちをお持ちでしょうが、未納が続いたら将来怖いことになるかもしれませんよ。
特定社会保険労務士 堀江 玲子
《執筆メンバー》 弁護士2、税理士2、社会保険労務士3、行政書士3、司法書士1、弁理士1、不動産鑑定士1、ファイナンシャルプランナー2、保険代理業1(計16名)
■発 行 福岡☆リスク法務実務研究会
■メール risk@riskhoumu.com
■ブログ http://blogs.yahoo.co.jp/hokenhoumu
■メルマガ http://www.mag2.com/m/0001120380.html
■HP http://www.riskhoumu.com

□■□ 『中小企業のための経営支援情報』第6号 □■□
福岡☆リスク法務実務研究会
◇◆◇ 先進医療 ◇◆◇
「先進医療」とは、厚生労働大臣が定める先進医療(公的医療保険の適用されない治療方)で、厚生労働大臣が定める施設基準に適合する病院または診療所において行われるものを言います。
公的医療保険の適用されない治療(つまり患者の全額自己負担となる治療)を受けた場合、本来ならば保険適用となる部分(診察料・検査料・投薬料・入院料など)についても全額自己負担となりますが、「先進医療」ならば先進医療の費用以外は保険が適用され患者の自己負担は軽減されます。
平成22年5月現在107種類の「先進医療が」が認定されていますが、中でもがんに対して治療効果が大きく、副作用の少ない重粒子線治療は画期的治療方として近年注目されています。
治療にかかる時間は30分(実際照射される時間は2〜3分)程度で痛みも伴わないことから、患者は治療後自分の足で歩いて病室に戻ることができます。
ちなみに費用は300万円くらいです。
現在「先進医療」を実施している粒子線施設は全国に7箇所ありますが、来春には鹿児島県指宿市に九州で初めての粒子線施設が完成予定で、佐賀県鳥栖市でも準備がすすめられています。
効果的な治療の期待できる「先進医療」ですが、粒子線治療のように費用が高額になる治療も少なくありません。
多くの生命保険会社では医療保険に「先進医療特約」というものがあり、月に100円程度の保険料で先進医療の費用がまかなえます。
備えあれば憂いなし!です。
AFP 江口 信也
《執筆メンバー》 弁護士2、税理士2、社会保険労務士3、行政書士3、司法書士1、弁理士1、不動産鑑定士1、ファイナンシャルプランナー2、保険代理業1(計16名)
■発 行 福岡☆リスク法務実務研究会
■メール risk@riskhoumu.com
■ブログ http://blogs.yahoo.co.jp/hokenhoumu
■メルマガ http://www.mag2.com/m/0001120380.html
■HP http://www.riskhoumu.com

□■□ 『中小企業のための経営支援情報』第5号 □■□
福岡☆リスク法務実務研究会
◇◆◇ 任意後見制度の活用 ◇◆◇
人は、病気や交通事故、認知症などで判断能力を欠く状態になった場合、財産管理などの法律行為を行う上で、様々な不都合や不利益が生じます。
これら不利益を回避するため、平成12年4月、民法が大幅に改正され、従来の禁治産・準禁治産という制度が廃止され、後見・保佐・補助という制度が創設されました。
この民法の改正では、すでに判断能力を欠く状態になった人に対し家庭裁判所が本人の援助者を決め、本人に対する不利益を回避することとなります。
しかし、この制度では、本人はすでに判断能力を欠く状態となっている為に、本人の意思はあまり考慮されることはなく、むしろ周囲にいる人達が物事を円滑に進める為に利用されることが多いようです。
この後見等の制度を補完する為に、同じ平成12年4月に「任意後見契約に関する法律」が施行され、任意後見制度が創設されました。
任意後見制度とは、現在、判断能力が十分備わっている人が、将来、病気や交通事故、認知症などで判断能力を欠く状態になった場合の為に、自分の将来のことを自分自身で決めることができる制度です。
任意後見契約を締結することにより、事前に将来の自分の援助者や支援内容を決めることができる。
つまり、契約の内容に本人の意思を盛り込むことができるのです。
人は、いつ事故に遭うかわかりません。
また、病気になったり、将来、認知症になることもあるかもしれません。
近い将来、多くの人が自らの将来について考え、その時のリスクを回避する方法のひとつとして、任意後見契約を締結する時代がくるかもしれません。
行政書士 田村公隆
《執筆メンバー》 弁護士2、税理士2、社会保険労務士3、行政書士3、司法書士1、弁理士1、不動産鑑定士1、ファイナンシャルプランナー2、保険代理業1(計16名)
■発 行 福岡☆リスク法務実務研究会
■メール risk@riskhoumu.com
■ブログ http://blogs.yahoo.co.jp/hokenhoumu
■メルマガ http://www.mag2.com/m/0001120380.html
■HP http://www.riskhoumu.com

□■□ 『中小企業のための経営支援情報』第4号 □■□
福岡☆リスク法務実務研究会
◇◆◇ 商標法−広がる保護対象− ◇◆◇
トヨタ自動車の「TOYOTA(文字)」、ヤマト運輸の「黒猫マーク(図形)」、ルイ・ヴィトンの「LVマーク(記号)」などのように、商標は自社の商品やサービスを識別するために用いられ、使用を継続することにより信用を蓄積して大きな宣伝効果も発揮します。
商標法において保護される商標は、従来は文字、図形、記号などに限られていましたが、平成8年の法改正により、立体的形状も認められるようになりました。
立体的形状の商標として有名なものとしては、ペコちゃん・ポコちゃん人形、カーネル・サンダース立像などのようなもののほか、コカ・コーラの瓶などがあります。
また、地域ブランドを保護すべく、平成17年に法改正がなされ、「地域名」+「商品名」からなる商標(地域団体商標)も登録することが可能となりました。
たとえば、「長崎カステラ」、「黒川温泉」などは従来では商標登録ができませんでしたが所定条件を満たす場合には登録が可能となり、実際に商標登録されています。
さらに、平成18年の法改正により、「小売」や「卸売」などのサービスも保護対象となり、従来の商品商標でも保護されていた値札、折込みチラシ等に加え、ショッピングカート、買い物かごや店員の制服等に表示する商標も包括的に保護されることとなりました。
衣料品店、八百屋、肉屋、酒屋、眼鏡屋、本屋、家具屋、家電量販店、飲食料品スーパー、コンビニエンスストア、ホームセンター、百貨店、卸問屋等のあらゆる小売業、卸売業が対象となります。
また、カタログ、テレビやインターネットを利用した通信販売も対象となります。
このように、商標法の保護対象がどんどん広がってきていますが、近年のインターネットの急速な普及等によって商品・役務の販売戦略が多様化したことに伴い、新しいタイプの商標が用いられ始めており、この新しいタイプの商標もさらに保護しようという方向に向かっています。
新しいタイプの商標として、「香り・においの商標」、「味の商標」などもありますが、今年の法改正では、まず、「動きの商標」や「音の商標」などが保護対象として追加されそうです。
「動きの商標」は視覚的に認識できる図形等が時間によって変化して見える商標で、企業のロゴ、商品、広告塔等がテレビCMやウェブサイト等において動く場合に該当します。
また、「音の商標」は、音楽、音声、自然音等からなる商標で、例えば、米国では、「ピンポーン」などという音やターザンの雄叫びなど様々なものが登録されています。
具体的な内容については、今後の法改正や審査基準改正によって明らかにされていくことになりますが、今後、これら新しい商標を利用することにより、ビジネスチャンスが広がるかもしれせんのでご検討されるのもよいかもしれません。
なお、商標制度の概要や地域団体商標を解説するビデオが特許庁ホームページで閲覧することができますので、もっと商標のことを知りたい方は、特許庁のホームページをご参照ください。
商標制度の概要:http://www.jpo.go.jp/seido/s_shouhyou/kihon_video.htm地域団体商標:http://www.jpo.go.jp/seido/s_shouhyou/chiiki_video.htm
弁理士 中嶋 裕昭
《執筆メンバー》 弁護士2、税理士2、社会保険労務士3、行政書士3、司法書士1、弁理士1、不動産鑑定士1、ファイナンシャルプランナー2、保険代理業1(計16名)
■発 行 福岡☆リスク法務実務研究会
■メール risk@riskhoumu.com
■ブログ http://blogs.yahoo.co.jp/hokenhoumu
■メルマガ http://www.mag2.com/m/0001120380.html
■HP http://www.riskhoumu.com

□■□ 『中小企業のための経営支援情報』第3号 □■□
福岡☆リスク法務実務研究会
◇◆◇ 会社法の問題点 ◇◆◇
平成18年5月1日より会社法が施行され、その目玉の1つとして、「相続人等に対する売渡の請求」(会社法第174条〜第177条)が新たに盛り込まれました。
会社の定款をじっくり見ることなどあまりないかもしれませんが、商法から会社法へ移行する際に、定款を変更してこの規定を盛り込んでいる会社も多いかと思います。
たとえば、定款の中に、以下のような条項は定められていないでしょうか。
(株式の売渡請求)
第〇条 当会社は、当会社の株式を相続その他の一般承継により取得した者に対し、当該株式を当会社に売り渡すよう請求することができる。
この規定により、株主に相続が発生した場合に、1年以内に株主総会の特別決議に基づき、会社は強制的に相続人から相続株を買い取ることができます。
相続人等はこの売渡請求を拒むことができません。
また、相続人は上記株主総会で議決権を行使することができません(会社法第175条第2項)。
相続株の売渡請求をされた結果、相続人は株式を失い、経営に関与することはできなくなります。
相続とは無関係の既存の株主が会社の支配株主となる可能性があります。
この規定は、株主に相続が発生した場合に、分散した株式を会社が取得することを容易にするために設けられたものですが、安易に定款に定めたがために、オーナー株主の相続開始をきっかけに、少数株主から会社を乗っ取られることもあり得るわけです。
定款にこの規定を盛り込むかどうかは、株主の構成や議決権割合、株主同士の人間関係など、総合的に考慮して判断されることをお勧めいたします。
また、さまざまなリスクを回避するために、種類株式の活用もご検討されてみてはいかがでしょうか。
司法書士安藤功(福岡県司法書士会)
《執筆メンバー》 弁護士2、税理士2、社会保険労務士3、行政書士3、司法書士1、弁理士1、不動産鑑定士1、ファイナンシャルプランナー2、保険代理業1(計16名)
■発 行 福岡☆リスク法務実務研究会
■メール risk@riskhoumu.com
■ブログ http://blogs.yahoo.co.jp/hokenhoumu
■メルマガ http://www.mag2.com/m/0001120380.html
■HP http://www.riskhoumu.com

□■□ 『中小企業のための経営支援情報』第2号 □■□
福岡☆リスク法務実務研究会
◇◆◇ 狙われる中小企業(詐欺的商法) ◇◆◇
中小企業向けの詐欺的商法の被害報告が増えています。
詐欺的商法の実体は、いわゆる消費者被害と変わりません。
言葉巧みに知識のない中小企業の契約担当者がだまされてしまうのです。
大企業の場合、契約の担当者がそれなりの知識で対応できるでしょう。
しかし、中小企業の場合は、社長が全部契約を一人で判断していることも多いと思います。
悪徳業者は、売上増加に必死になっている社長のところへ言葉巧みに近寄ってくるのです。
窮地にある社長ほど冷静さを失い、意外とだまされてしまいます。
このように実体は消費者被害と変わりませんが、中小企業との契約は「消費者契約」ではないために、消費者契約法でも保護されません。
このあたりが、中小企業が悪徳業者の狙い目になっている要因の一つかもしれません。
最近のはやり?は、ホームページリース契約でしょうか(多くのホームページ作成業の方々は真面目な事業者だと思います。
ただ、多くの事業者の中には詐欺的な業者もいるという意味で注意喚起させてください)。
「ホームページを立ち上げて売上急増」といった甘い言葉で勧誘し、ホームページ作成と長期の更新サービス、高額のパソコンがセットで契約されます。
契約額(被害額)は100万円から300万円が多いようです。
当然、悪徳業者はホームページを立ち上げたとしても、更新してくれません。
さらに、場合によっては連絡がつかなくなってしまうのです。
リース契約ですから、契約時に悪徳業者には大手の信販会社からまとまった入金があり、悪徳業者はさっさと逃げてしまうのです。
被害を受けた会社に残されたのは、信販会社に対する長期の高額な支払いと更新されないホームページだけです。
被害回復は期待出来ません。
先日、中小企業向けの法律相談会に行ってきましたが、そこでは電話機リース被害の相談を受けました。
大手通信会社と関係のあるような名前を名乗り、安い機械にもかかわらず高額なリース料を設定するのです(相談事例では、3万円の機械を毎月5000円で5年間支払う=合計30万!)。
毎月5000円のリースだと契約時には疑う気持ちも起きなかったとのことです。
この悪徳業者には、内容証明郵便の発送と交渉により既払い金全額の返還させることができましたが、この返還の原資は、新たな被害者から巻き上げた大事なお金であると思うと、何とも言えない気持ちになります。
このように悪徳業者にだまされるのは高齢者だけではありません。
手口を巧妙化し、中小企業が狙われているのです。
皆様、甘い言葉にはくれぐれもご注意ください。
弁護士 小川 剛(福岡県弁護士会)
《執筆メンバー》 弁護士2、税理士2、社会保険労務士3、行政書士3、司法書士1、弁理士1、不動産鑑定士1、ファイナンシャルプランナー2、保険代理業1(計16名)
■発 行 福岡☆リスク法務実務研究会
■メール risk@riskhoumu.com
■ブログ http://blogs.yahoo.co.jp/hokenhoumu
■メルマガ http://www.mag2.com/m/0001120380.html
■HP http://www.riskhoumu.com

□■□ 『中小企業のための経営支援情報』第1号 □■□
福岡☆リスク法務実務研究会
◇◆◇ 派遣法改正の結果予測 ◇◆◇
少し前に、派遣法改正案が閣議決定しました。
派遣先による事前面接は、解禁が検討されていたが見送られました。
主な事項は、次の通りです。
・ 登録型派遣の原則禁止(専門26業務のみ可)
・ 常用型派遣は可
・ 2カ月以内の短期派遣の原則禁止
・ グループ内派遣8割以下に制限
・ 偽装請負等があった場合の直接みなし雇用制度の創設
・ 派遣料金と派遣労働者の賃金との差額に関する情報公開義務づけ
上記の通り、派遣会社が常用労働者(雇用期間の定めのない労働契約)として雇用する労働者を派遣することについては、派遣先の抵触日等の問題がなければ製造派遣であっても可能です。
登録型派遣については専門26業務を除き原則禁止されます。
2カ月以内の短期派遣が原則禁止となるため、事業所は短期間の人材確保が極めて難しくなることが予想されます。
改正法の施行日は、改正法公布から3年後になる見込みです。
但し、2カ月以内の短期派遣の禁止やみなし雇用制度の創設等は、改正法公布から6カ月以内に施行される予定です。
平成20年秋のリーマンショック以降「派遣切り」が社会問題化したことを受けた法改正です。
派遣法改正により製造派遣や短期派遣が原則禁止となることにで、正規雇用が増加するとは考えにくいと思います。
正規雇用すると、事実上人員調整ができない労働法制があるからです。
結果的に、何のための派遣法改正だったのか、という話になるでしょう。
政府は、本当に正規雇用者を増加させたいのなら、解雇規制を緩和するのが最も効果的だと考えます。
事業所は、解雇や賃金減額が難しいから正規雇用を避けるのです。
正規雇用を避けた結果として非正規雇用が増加することは当然です。
その非正規雇用の一種である派遣労働にメスを入れても、短期直接雇用、契約社員、パート等での対応となるだけです。
雇用状況の改善にはつながりません。
正規雇用を増加させるためには、事業所が安心して正規雇用できるしくみが必要だといえます。
特定社会保険労務士・行政書士・1級FP技能士/CFP 安藤政明
今回は第1号なので、現時点で確定している執筆メンバー全16名を紹介致します。
全員福岡県内で活躍する専門家です。
よろしくお願い致します。
弁 護 士 堀繁造、小川剛
税 理 士 鵜池隆充、服部康太郎
社会保険労務士 堀江玲子、箭川亜紀子、安藤政明
行政書士 田村公隆、久々宮典義、和田好史
司法書士 安藤功
弁 理 士 中嶋裕昭
不動産鑑定士 小池孝典
ファイナンシャルプランナー 田名網亜衣子、江口信也
保険代理業 鷹尾敏裕
リスク法務実務研究会は、平成20年2月に発足した任意団体です。
今年は3年目で、会員数は現在24名です。
次のような活動を行っています。
・定期研究会(年8回)
・臨時研究会(年1〜2回)
・神社清掃奉仕ボランティア活動(年6回)
・一般向け無料相談会又はセミナー等(原則年1回)
・レクリエーション(原則年1回)
■メール risk@riskhoumu.com
■ブログ http://blogs.yahoo.co.jp/hokenhoumu
■メルマガ http://www.mag2.com/m/0001120380.html
■HP http://www.riskhoumu.com
