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□■□ 『中小企業のための経営支援情報』第60号 □■□
福岡☆リスク法務実務研究会
◇◆◇ ねんきんネットについて ◇◆◇

 自分の公的年金記録をインターネット上で確認できるサービス、「ねんきんネット」が本年2月から運用開始されました。
 これまで自分の年金記録が正しいかどうかについては、毎年誕生月に送付される「ねんきん定期便」で確認することができましたが、ねんきんネットは、ねんきん定期便よりも情報が新しく、情報量も多いため、自分の年金記録を把握することが容易になりました。
 ねんきんネットで確認できる主な年金記録は以下のとおりです。
・公的年金制度(国民年金・厚生年金保険・船員保険)の加入履歴・国民年金保険料の納付状況・厚生年金保険に加入していたときの会社名、標準報酬月額、標準賞与額・船員保険に加入していたときの船舶所有者名、標準報酬月額、標準賞与額・年金見込額  ねんきんネットでは、年金加入時から直近約1ヶ月前迄の年金加入記録をいつでも確認することができます。
 また、未加入期間等についても分かりやすく表示してあるため、記録の間違い等を探しやすくなっております。
 勤務先名称や標準報酬月額が月単位で表示されますので、転職がある方については、次の会社に転職する迄に国民年金の未加入期間がなかったどうかなどを判断する手がかりになると思います。
 尚、本サービスを利用するためには、日本年金機構のHPにアクセスし、2011年度のねんきん定期便に記載された固有のアクセスキーを入力する必要がありますが、ねんきん定期便が届いていない場合であっても、利用登録ページにて基礎年金番号等の必要情報を入力することにより5日程度でユーザIDとパスワードが発行され、ねんきんネットを利用できるようになります。
年金の仕組みはとても複雑で分かりにくいため、敬遠される方も多いと思いますが、自分の将来は自分で守らなくてはならない時代になっておりますので、ねんきんネットを上手に利用して年金を身近なものに感じてもらえればと思います。

特定社会保険労務士 田上 隆一

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《執筆メンバー》 弁護士4、税理士2、社会保険労務士6、行政書士3、司法書士1、不動産鑑定士1、土地家屋調査士1、ファイナンシャルプランナー2、保険代理業1(計21名)
■発 行  福岡☆リスク法務実務研究会
■メール  risk@riskhoumu.com
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□■□ 『中小企業のための経営支援情報』第59号 □■□
福岡☆リスク法務実務研究会
◇◆◇ 敷金と原状回復費用 ◇◆◇

 先日、人気タレントが賃貸マンションから引っ越したところ、原状回復費用として350万円を請求され、憤慨しているといった記事がインターネットニュースで配信されていました。
 そのうちクローゼットの修補費用が150万円、換気扇の清掃に160万円との情報もあります。
 たしかに自宅の修繕費としては高いなぁという印象もありますが、この金額の当否はインターネット上での情報では分かりません。
 敷金、原状回復に関するトラブルは大家さん、テナントを問わず、企業相談でも少なくありません。
 そこで、今回は、敷金と原状回復について簡単に説明したいと思います。
 現在の賃貸借契約書には、敷金、原状回復に関し定型的な記載がなされていることが一般的ということもあり、皆さんもあまり「敷金」「原状回復」の意味を理解しないまま契約書にサインされているのではないでしょうか。
 この敷金とは、「契約期間中に賃借人が賃貸人に負担する賃料債務その他一切の債務の担保のために差し入れられた金銭であり、契約終了後に賃借人の債務を控除して残額が返還されるもの」です。
 この「賃料債務その他一切の債務」には、いわゆる「原状回復費用」が含まれるとされます(契約書にもそのような記載があるはずです)。
 そこで、この原状回復をどこまでするのか、という点が敷金返還の場面で問題となります。
 この点について、最高裁平成17年12月16日判決は、次のように判断しています。
 「建物の賃借人にその賃貸借において生ずる通常損耗についての原状回復義務を負わせるのは,賃借人に予期しない特別の負担を課すことになるから,賃借人に同義務が認められるためには,少なくとも,賃借人が補修費用を負担することになる通常損耗の範囲が賃貸借契約書の条項自体に具体的に明記されているか,仮に賃貸借契約書では明らかでない場合には,賃貸人が口頭により説明し,賃借人がその旨を明確に認識し,それを合意の内容としたものと認められるなど,その旨の特約(以下「通常損耗補修特約」という。)が明確に合意されていることが必要であると解するのが相当である。」  具体的には、畳、フローリングの変色、日焼け等は通常損耗と解されることが一般的です。
 これらは原則として原状回復の負担義務から除外され、例外的にこれらも原状回復の対象となると明記されている等の場合にのみ負担をすることになります。
 冒頭のタレントさんの例では、原状回復費用の対象となるかは、通常損耗の範囲か否か、通常損耗であれば、あらかじめ明らかにされているか、の問題となりそうです。
 なお、敷金に関する問題は、消費者問題とも関連し、近時、敷引に関する最高裁判決が出されています(敷引1ヶ月を有効とした)。
 また数ヶ月以内には更新料に関する最高裁判決も出そうですので、こちらも要注目です。
 建物を貸す場合、借りる場合、立場はそれぞれですが、明け渡し後まで気持ちよく関係を継続するためには、貸し手は明確な契約書を作成するといった工夫をすべきです。
 特に、一般消費者相手に建物を賃貸する場合には、最高裁の判例も出ていますので、より一層の注意が必要です。
 また、借り手としても、建物を借りる時には分からない点はしっかり確認する、必要に応じ契約書に記載を求める等の自衛手段をとられることをおすすめします。

弁護士 小川 剛

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《執筆メンバー》 弁護士4、税理士2、社会保険労務士6、行政書士3、司法書士1、不動産鑑定士1、土地家屋調査士1、ファイナンシャルプランナー2、保険代理業1(計21名) ■発 行  福岡☆リスク法務実務研究会
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≪書籍出版のお知らせ≫
 リスク法務実務研究会が、書籍を出版します。
 タイトルは、『りすくのくすり 相続特集』です。
「世の中には、様々なリスクが存在します。
リスクとは、潜在的な危険をいいますが、これが顕在化したら手遅れとなりがちです。
だから、事前予防が重要なのです。
本書は、相続という1つの事項について、弁護士、税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士、CFPがその専門家として様々な角度から解説しています。
『りすくのくすり』は、法務専門家による予防薬です。」
 リスク法務実務研究会の有志18名による共著ですが、半分以上の著者が「相続」というテーマについて、それぞれの専門分野の視点から執筆したちょっと珍しい書籍です。
 18名の著者のほとんどが、このメルマガの執筆者です。
 発売予定は、9月中旬頃の予定です。
 よろしくお願い致します。

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□■□ 『中小企業のための経営支援情報』第58号 □■□
福岡☆リスク法務実務研究会
◇◆◇ 建物を新築した時の手続きとは ◇◆◇


 建物を新築した時は、その建物の地域を管轄する法務局に建物の登記をしなければいけません。
 登記の目的は“建物表題登記”です。
 それでは、その建物表題登記に必要な書類を説明します。
1、申請書 申請書には申請人の住所氏名、建物の所在、家屋番号、種類、構造、床面積、新築年月日などの情報が記載されます。
2、住民票 住民票は新築建物の持ち主を登記事項証明書の表題部に記載するためのものです。
 住民票の内容は続柄や本籍地の記載は必要なく、本人の住所、氏名の記載で足ります。
3、建物図面・各階平面図 実際の建物の面積や建物が建っている土地に対する配置図が記載されます。
 作図要件は不動産登記法に基づいて行われます。
 建築基準法で指す床面積との違いだけ説明しますと、屋根がある部分でも3方向以上壁に囲まれていなければ、床面積に算入しません、建築基準法では算入します。
 登記の際、全てではありませんが、ほとんどの場合が建築基準法の面積より少なくなることが多いと考えられます。
4、所有権証明書と総称される書面 一括りで申請書に記載しますが、内容はまず、新築建物の建築確認済証、その1面から5面。
 そして、建築工事人の実印の押印がある工事完了引渡証明書、建築工事人の印鑑証明書、建築工事人の資格証明書(商業登記事項証明)、等が所有権証明書の中身になっております。
 新築建物に必要な手続き・書類に関して説明しましたが、要件により別途書面が必要になることがあります。

土地家屋調査士 福田 憲太郎

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□■□ 『中小企業のための経営支援情報』第57号 □■□
福岡☆リスク法務実務研究会
◇◆◇ 債権・動産を利用した資金調達 ◇◆◇


 企業が資金調達をする方法としては、不動産を担保に入れたり、代表取締役が個人保証をするケースが一般的です。
 不動産は登記制度が整備されたいることから、担保となる不動産についての権利関係を誰もが把握することができ、随時変動する可能性の高い動産や債権に比べ、担保対象物の現況の確認が容易であり、債権者である金融機関等にとっても管理しやすいと言えます。
 しかし、バブル崩壊以降は不動産価格は下降したままであり、金融機関が不動産を担保に取る際の審査は依然として厳しい状況です。
 また個人保証についても、万一、主債務者である企業からの返済が滞った場合に、保証人である代表取締役個人が不動産や預貯金を失う結果となり、再起が困難になるとの問題点もあります。
 企業の代表者等が担保や保証で過度の責任を負うことは、企業が円滑な資金調達をするうえでの大きな妨げとなっています。
 企業が有する全資産の中で、債権や動産が占める割合は、不動産が占める割合を超えているとのデータがあります。
 全ての企業に一様に当てはまるデータではないですが、企業が有する債権や動産に着目して、不動産担保や個人保証に依存しない融資制度として、平成10年に債権譲渡登記制度、平成17年に動産譲渡登記制度が創設されました。
 つまり、企業が有する債権や動産を担保に資金調達をした場合、不動産登記と同じように登記をすることが可能になりました。
 これらの制度を利用することで、借り手企業としては、売掛債権や在庫動産等の事業収益資産を利用して、新たに資金調達をすることができるようになりました。
 また、成長途上にある企業が不動産を保有していないが為に、資金調達がうまくいかず事業計画を断念せざるを得なかったような事案においても、貸し手金融機関等が借り手企業の事業内容を把握することで事業収益資産に応じた融資が可能となり、結果として、借り手企業は、安定的な運転資金を確保できることになります。
 その他、従来から不動産を担保に融資を受けていた企業は、追加で融資を受ける際の担保として、債権や動産を提供することも考えられます。
  しかし、資金調達において、債権や動産を担保として提供することは、企業が取り得る最終手段との考え方もあります。
 つまり、不動産や個人保証が出来ない状況だから債権や動産を担保に入れているのではないかとの逆の見方をされてしまう恐れがあるのです。
 本来であれば、事業収益資産である債権や動産を担保として資金調達をすることで、さらに業績拡大を図るつもりであったのに、かえって企業の信用不安を招く結果になってしまい業績の縮小をもたらしかねないのです。
 企業の資金調達を容易にするためになされた法整備であるにもかかわらず、このような信用不安につながるようでは本末転倒です。
 制度を普及させ、利用を増やしていくことが、このような信用不安の誤解を少なくし、また、企業の資金調達の多様化に大きく寄与するものであると期待します。

司法書士 安藤 功(福岡県司法書士会)

 
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≪お知らせ≫  リスク法務実務研究会は、有志会員18名共著で書籍を出版することになりました。
 18名のほとんどが、このメルマガの執筆者です。
 発売はまだ少し先の11月頃です。
 相続関係がメインの書籍です。
 よろしくご期待下さいませ!!
≪報告≫  本メルマガ、今号から有志による「四巡目」に入ることになりました。
 引き続き絶やさないよう頑張りたいと思います。
 よろしくお願い致します。

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□■□ 『中小企業のための経営支援情報』第56号 □■□
福岡☆リスク法務実務研究会
◇◆◇ 執行役員の労働者性 ◇◆◇


 執行役員は、会社法上の取締役とは大きく異なります。
 そもそも、執行役員制度を設けるかどうかも自由です。
 執行役員を任命する場合も、取締役のように登記の必要もありません。
 一般に、取締役は「経営」、執行役員は「業務執行」という区分とされます。
 執行役員は、取締役が意思決定した方針に基づき、業務執行を委任されるという関係です。
 中には、両者を兼任する「取締役執行役員」という者も存在します。
 しかし、大企業等を除き、厳密にこのように運用されているとは限りません。
 単に取締役の一歩手前の役職名の一つとして、執行役員制度をおいているにすぎない事業所や、業務執行権を有さない執行役員も存在します。
 例えば、「部長」という役職者の権限が、事業所毎に大きく異なることと似ています。
 労働基準法9条は、「労働者」の定義として、「この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。」と規定しています。
 この定義に該当すれば、当事者間の形式的な契約内容(例えば、委任契約、請負契約等)にかかわらず、労働基準法が適用されます。
 従って、取締役であっても、労働者とされることがあります。
 執行役員の場合も、結論は同様です。
 その実態に応じて、労働者となる場合とならない場合が考えられます。
  最近、脳出血で死亡した執行役員が、労災保険法上の労働者にあたるかどうかが争われた事件がありました。
 東京地裁は、執行役員となる前と比較して業務実態がほとんど変わらなかったこと、取締役の指揮命令を受けていたこと等を理由として、労働者にあたると判断しました。
 死亡した執行役員の遺族が、労働基準監督署に労災申請したところ、「労働者にあたらない」として労災不認定としたことから事件となったものです。
 東京地裁が判断したのは労働者にあたるかどうかについてであり、脳出血が労災にあたるかどうかの判断はされていません。
 遺族は、改めて労災支給申請をすることとなります。

特定社会保険労務士 安藤 政明

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□■□ 『中小企業のための経営支援情報』第55号 □■□
福岡☆リスク法務実務研究会
◇◆◇ 成年後見登記に係る登記手数料額及び証明書手数料額の変更について ◇◆◇


 平成23年4月1日から、「登記手数料令等の一部を改正する政令」の施行に伴い、下記の成年後見登記の登記手数料及び証明書手数料が引き下げられましたのでお伝えさせていただきます。
 1.登記の嘱託又は申請 登記の種類・登記手数料額(1件につき)
後見、保佐、補助開始の審判の登記 4,000円→2,600円 任意後見契約締結の登記4,000円→2,600円 変更の登記2,000円→1,400円 後見命令等の登記2,000円→1,400円 (注)変更前の金額で納付した場合、返金を求める際には、別途償還請求の手続きが必要になりますので、印紙を購入するときは注意して下さい。
 2.窓口又は郵送での交付請求(郵送は東京法務局民事行政部後見登録課でのみ取り扱っております。) 証明書の種類・手数料額(1通につき)  登記事項の証明書800円→550円 登記されていなことの証明書400円→300円 (注)変更前の金額で納付した場合、返金を求める際には、別途償還請求の手続きが必要になりますので、印紙を購入するときは注意して下さい。
 3.オンラインによる交付請求(東京法務局民事行政部後見登録課でのみ取り扱っております。)
(1)登記事項の証明書 証明書の種類・手数料額(1通につき)  紙の証明書490円→380円 電子的な証明書440円→320円
(2)登記されていないことの証明書 証明書の種類・手数料額(1通につき)  紙の証明書330円→300円 電子的な証明書280円→240円  後述になりましたが、成年後見制度とは、法定後見制度と任意後見制度という2つの制度に分かれておりまして、その内の任意後見制度は自分の判断能力があるうちから誰を代理人にしてどんなことをしてもらうのかを決める制度であります。
 ですから、認知症の発症や不慮の事故等に遭い、体は動くが判断能力が低下した場合に、例えば会社や個人事業をされている方などが、任意後見制度を利用していると、スムーズに後継者等に引き継ぎをしやすくなる制度となっております。
 そういうリスクを回避するためにも、成年後見制度をいう言葉を頭の片隅にでも置いておかれて、損はないと思います。
 今回の改正は、前々から懇願されていたことです。
 成年後見制度では、法律行為(介護契約等)や金融機関・行政手続きの際に、登記事項証明書が必要とされ、その度に本人の費用負担が懸念されておりました。
 もっと、この制度の利用をしやすくするためにも、本人の費用負担を少しでも減らすことにつながり、個人的にはよいことだと思っております。
 

行政書士 和田 好史

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□■□ 『中小企業のための経営支援情報』第54号 □■□
福岡☆リスク法務実務研究会
◇◆◇ 会社分割と債権者平等の原則 ◇◆◇


 経営者にとって、会社を存続させ続けるということは最も重要なことですね。
 弁護士も、債務の支払いが滞っているのですが、と相談された場合、会社を何とか再生させて破産を避けようと、取れる手だてを懸命に考えます。
 そんな中、時に、会社分割をするのはどうかと相談されることがあります。
 すなわち、このままでは破産してしまうので、会社分割により見込みのある事業のみを新しい別の会社に移し、存続を図れないかというのです。
 しかし、会社分割の制度を利用して事業再建を図るという手法については、ここ数年、「会社分割の濫用」として問題視される事例もあり、訴訟に至っているものもあります。
 そして、会社分割を詐害行為取消や(破産法上の)否認の対象とすることを認める裁判例も出ています。
(以下、分割前の会社を「分割会社」、分割してできた会社を「新設会社」といいます。
)  詐害行為取消とは、簡単に言うと、債務者(この場合、分割会社)の一般財産を保全するため、債務者と受益者(この場合、新設会社)間の詐害行為(この場合、新設会社への資産の移転)を取り消し、逸出した財産を取り戻す制度です。
 否認とは、これも簡単に言うと、破産者(この場合、分割会社)が破産宣告前に行った財産減少行為あるいは偏頗な行為を否定し、逸出した財産を回復する制度です。
 詐害行為取消を認めた裁判例では、新設会社に対し、残存債権者(分割会社の債権者)への被保全債権額の支払いを命じたり、新設会社が承継した不動産を分割会社に戻すように命じたりしています。
 否認を認めた裁判例でも、新設会社に対し、承継した資産の価額の償還を命じたり、承継した土地の現物返還を命じたりしています。
 この根底にあるのは、債権者(新設会社による債務承継のあった債権者となかった債権者間の)平等の原則です。
 経営が困難になったときの「何としてでも」との思いは分かりますが、濫用的会社分割はやはり避けなくてはなりません。
 もし、困難が生じた場合は、早めにご相談いただけたればと思います。
 

弁護士 渡部 有紀

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□■□ 『中小企業のための経営支援情報』第53号 □■□
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◇◆◇ 就活、目線を変えれば… ◇◆◇


 今春卒業予定の大学生の就職内定率が2月1日時点で77.4%となり、前年同期を2.6ポイント下回りました(文部科学省・厚生労働省調査より)。
 1999年度以降最低値です。
 調査は東日本巨大地震の前に実施され、文科省は「地震の影響で東北以外でも企業が内定を取り消したり、採用を控えたりする懸念がある」としています。
 大学生男子の内定率 78.9%(前年同期比1.2ポイント減) 大学生女子の内定率 75.7%(前年同期比4.2ポイント減)  ただでさえ厳しい就活戦線ですが、実際に地震の影響で雇用情勢はさらに悪化しつつあるようです。
 直接被災していなくても、流通がストップしたり、原材料が不足したりして通常の事業活動がままならないケースも多発しています。
 被災して事業の継続が不可能となり、閉鎖に追い込まれてしまった事業所も多数あります。
 内定・採用どころの話ではなくなり、既存の従業員の雇用の維持さえ困難な状況もあるでしょう。
  このような非常時であっても解雇されたとか内定が取り消されたという理由で、監督署へ駆け込む人は後を絶たないようですが…  大学生の内定率の低さが問題視されていますが、依然として中小企業の人手不足は解消されていません。
 つまり、仕事がないのではなく、仕事を選んでいるのです。
 いわゆる、ミスマッチの状況です。
 学生の大部分は大企業への就職を希望し、かなわなければ中小企業に目を向けるのではなく、就職浪人したり大学院に進学してりして次の機会まで待機する道を選んでいる者が多いのが現状のようです。
 しかし今、日本は一丸となって復興のため力を合わせる時です。
 学生たちの中にも、義援金を送ったりボランティアで現地に赴いたりと何か自分ができることで協力したいという真摯な気持ちを持つ人がたくさんいます。
 本当にすばらしいことと思います。
 ただ、復興を目指すためには、生産性の回復や経済活動の活性化は欠かせないものです。
 大企業信仰を捨て、何とか社会に踏み出す道を選択する学生が増えることを願うところです。
 

特定社会保険労務士 箭川 亜紀子

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□■□ 『中小企業のための経営支援情報』第52号 □■□
福岡☆リスク法務実務研究会
◇◆◇ 未公開株等における消費者被害について ◇◆◇


 高齢化社会の進む現代において,主に高齢者をターゲットとして,未公開株等を高額で購入させられるという被害が多くなっています。
 どのような手口で購入させられるかというと,突然パンフレットが送られてきたり,電話がかかってきたり,自宅に訪問しに来たりして,「今のうちに株を購入しておくと上場した際には2倍,3倍の値段になって必ず儲かりますよ」などとのあま〜い言葉をかけてきます。
 最初は誰しも,そんな簡単に儲かる話があれば誰も苦労していないだろうと考え,疑いはします。
 しかし,話し方がとても上手で,本当に儲かるんじゃないかと思うようになってしまうのです。
 けど,ここで一歩踏みとどまってください!! 本来,そんな簡単に儲かる話というのはないのです。
 そのように簡単に儲かる話であれば,誰も人に教えないですよね。
 というか,教えたくないですよね。
 なので,本当に儲かる話であれば何故自分が先に購入せず,人に話すんだという疑念を持ってください。
 皆さんのもつこの疑念を払拭するために,営業マンは「この商品は特定の人しか買えないのです」などの言葉をかけてきますが,特定の人しか買えないということ自体が怪しすぎます。
 そして,自分がそのような特定の人にあたるのかということも考えてくださいね(笑) 金融庁などから未公開株について注意を促されるようになると,今度は社債やリゾート会員権など,形を変えて色んな手口を使って購入させようとしてきます。
 一度購入してしまうと,業者間に情報が渡り,電話が鳴り響くという状態にも陥りかねません。
 あま〜い儲け話にはくれぐれもご注意下さい。
 勧誘が来たとしても絶対に一人で決めず,その場で確答をすることもせず,ご家族の方などと話す機会を設けて下さい。

弁護士 井上 敦史

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◇◆◇ 入院のときは限度額適用認定証を!! ◇◆◇


 突然の急病などで入院しなければならなくなった際、重い病気や手術を要するものとなった場合、かなりの医療費の支払いが必要であります。
 各公的保険でも高額療養費という一か月の健康保険の自己負担限度額を超えるときには後で払い戻す制度がございますが、時間もかかるし手続きも面倒であります。
 ここで大変、重宝するのが“限度額適用認定証”となります。
 この限度額適用認定証は、通常、入院のとき、事前に病院の支払い窓口に提出しておけば、一か月の健康保険の自己負担額限度を超える部分については請求されることがなく、高額療養費として払い戻されるまでの3か月くらいの間の一時的な費用立替が必要ありません。
 この限度額適用認定証の交付を受けるためには健康保険の被保険者及び被扶養者の方は、各健康保険組合もしくは全国健康保険協会の各都道府県支部への申請。
国民健康保険の方は各市町村の国民健康保険課への申請。
いずれかで交付が受けられるかと思います。
 また、所得等の金額や市町村民税の課税、非課税といった条件で高額療養費の限度額も変わってきますので、全国健康保険協会の場合、申請の際に被保険者が非課税の方である場合は非課税証明書を提出することによっては低い高額療養費限度額での限度額適用認定証の交付を受けることができるかもしれません。
 実際に入院をする予定がなくても事前に限度額適用認定証の申請ができる場合もありますので、早めに備えられることがよいかと思われます。
 ちなみに、全国健康保険協会の場合、この限度額適用認定証は月末日までであれば、その申請月からの適用を受けることが出来ますが、翌月になってから前月に遡っての適用は受けることが出来ませんのでご注意してください。

特定社会保険労務士 眞鍋 幸宏

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