リスク法務実務研究会は、弁護士、税理士、社会保険労務士、司法書士、行政書士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、弁理士、ファイナンシャルプランナー、保険代理店等の各種専門家によって構成する任意団体です。

過去のメールマガジン

□■□ 『中小企業のための経営支援情報』第90号 □■□
リスク法務実務研究会
◇◆◇ 後見制度 ◇◆◇
社長が、株式の過半数以上を保有しているようなオーナー会社の場合、社長が、認知症になったり、不慮の事故に遭い植物状態になった場合等、その後の会社の意思決定は誰が行うのでしょうか?
事実上は、社長の奥さんや親族が経営に携わっていたとしても、法律上は、彼らが社長の代わりを務めることはできません。
つまり、対外文書に印鑑を押す人がいなくなるのです。
そこで急遽、別の社長を立てる必要があります。
社長は、取締役であり、代表取締役でもありますから、まず取締役を選任しなければなりません。
この取締役を選任するには株主総会で選任する必要があります。
取締役の選任については、通常、株主総会の過半数決議で選任をするのですが、オーナーが株式の過半数以上を保有していた場合は、その選任決議もすることができません。
では、このような場合どうすればよいのでしょう?
オーナー社長の意思能力が欠けしまった場合、家庭裁判所に申立をすることによって、後見人等を選任してもらうことができます。
そして、後見人等が、オーナー社長に代わって株主総会に出席し、意思表示を行うことができるのです。
これで、代わりの取締役を選任することが可能になります。
また、会社法第331条には、取締役の資格に関する規定が置かれていますが、オーナー社長が、成年被後見人若しくは被保佐人となった場合は、取締役となることはできません。
今回のケースでは、オーナーが成年被後見人または被保佐人となった場合、取締役の資格を失うと同時に代表取締役の資格を失うことになります。
法定後見制度を利用すれば、こういったケースでも会社の運営が可能となります。
とはいえ、意思能力が無くなってからの対策ではオーナー社長のこれまでの経営方針を、受け継ぐことが困難となる可能性が出てきます。
そこで、判断能力に問題がない今、将来に備えておくことが必要となるのではないでしょうか。
その一つとして任意後見契約という制度があります。
任意後見制度は、自己決定権の尊重の理念に則して、自己の後見について自らの意思で決定する契約ですので、将来、判断能力が衰えたときのことを踏まえ、あらかじめ自分の意思で代理人を定めておくことができるのです。
会社の将来に備えられる制度としてご紹介いたしました。
司法書士 梶原 美保
《執筆メンバー》 弁護士5、税理士2、社会保険労務士6、行政書士3、司法書士2、不動産鑑定士1、土地家屋調査士1、公認会計士1、ファイナンシャルプランナー1、保険代理業1(計23名)
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□■□ 『中小企業のための経営支援情報』第89号 □■□
リスク法務実務研究会
◇◆◇ 雇用契約 ◇◆◇
メルマガ読者の皆様こんにちは。
毎回、皆様の身近なことをテーマにして配信しております。
今回は「雇用契約」についてお話をしましょう。
退職はほとんどの方が経験をされていると思います。
「仕事が自分にあっていない」や「会社の人間関係に疲れた」または「病気が原因で業務を遂行することが難しくなった」など、そこには様々な理由や事情があることでしょう。
皆様が会社でお仕事をするということは、会社とみなさんが雇用契約を締結し、その契約に基づいてみなさんは労働力を提供し、その見返りとして会社はみなさんに賃金を支払うというわけです。
ということは、退職をするということはこれすなわち、雇用契約を解除するということになるのです。
では退職を法律的に考えた場合、どのような考え方があるのでしょうか。
民法によると労働者が雇用契約を解除しようとする場合少なくとも2週間の解除予告期間を設ければいつでも解除できるとあります(ただし、期間付きの雇用契約など、例外はあります)。
では会社が労働者に対して契約解除をしようとする場合はどうでしょう。
労働基準法第18条の一部を抜粋しますと、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」とあります。
つまり一般的に考える上で納得できる理由ではないうえに、世間一般的に常識的だと思われる理由でない限り、会社は労働者に対し契約解除を行うことは出来ないと言っているのです。
勤務中の態度が気に入らないとか、たまたま無断欠勤をし、その日数が3日もあった、などくらいでは契約解除の理由にならないにが通念です。
労働法はそのほとんどが労働者を味方するものです。
しかし、だからといって労働者の皆様が不真面目な態度で仕事をすることを後押しする法律ではありません。
会社が労働者を思い、労働者も会社のために一生懸命頑張る。お互いがより良くなるための雇用契約であってほしいものです。
特定社会保険労務士 安藤 政明
《執筆メンバー》 弁護士5、税理士2、社会保険労務士6、行政書士3、司法書士2、不動産鑑定士1、土地家屋調査士1、公認会計士1、ファイナンシャルプランナー1、保険代理業1(計23名)
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□■□ 『中小企業のための経営支援情報』第88号 □■□
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◇◆◇ 車両保険金不払事由 ◇◆◇
平成23年12月4日の事故で、フェラーリ8台、ランボルギーニ1台、ベンツ3台の車が、中国自動車道路で先頭のフェラーリがスリップしたため中央分離帯に衝突。
これに伴い後続車両が次々とぶつかった。
この事故の中で保険会社の支払いも数億円になるような報道もありましたが、実際のところはどうでしょう?
先頭のスリップ事故を起こしたフェラーリについては・・・
車両保険の中の車両条項この中の保険金を支払わない場合は、
(1)当社は次のいずれかに該当する事由によって生じた損害に対しては車両保険を支払いません。
1.次のいずれかに該当する者の故意または重大な過失
ア.保険契約者、被保険者又は保険金を受け取るべき者
イ.所有権留保条項付売買契約に基づくご契約のお車の買主、又は1年以上を期間とする賃借契約に基づくお車の借主
ウ.ア.およびイ.に定める者の法定代理人
エ.ア.およびイ.に定める者の業務に従事中の使用人
オ.ア.およびイ.に定める者の父母、配偶者または子。ただし被保険者または保険金を受け取るべき者に保険金を取得させる目的であった場合に限ります。
と言うところの故意または重大な過失。
先頭のフェラーリに時速80kmのところを相当なスピードで走行していたならば当然ながら重大な過失を主張し払われない可能性もありうることです。
なお、後続車両については個々の判断となります。
対物事故、車両事故との兼ね合いもありますが、重大な過失となることもありえます。
株式会社エス・エイチ・イー・ライン 代表取締役 鷹尾 敏裕

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──────────────────────────────────────────── ≪ご挨拶≫ 明けましておめでとうございます。 本年最初のメルマガをご覧いただき、有難うございます。 本年も、毎週各種専門家からお役立ち情報や面白い情報等をお届けできるよう頑張りたいと思います。 どうぞよろしくお願い申し上げます。 リスク法務実務研究会 安藤 政明 ────────────────────────────────────────────
□■□ 『中小企業のための経営支援情報』第87号 □■□
リスク法務実務研究会
◇◆◇ 道路標識について ◇◆◇
街中を歩いたり車で走っていると必ず目にする道路標識と信号機。
信号の電球が切れていたり、道路標識が変な方向を向いたりしてたらどうしますか?
どこに言えばいいのでしょう?
道路標識とかって誰が管理しているのでしょうか?
こんな変な疑問を抱いたのは、私がいつも車やスクーターで走っているところの歩行者用信号の赤信号の電球が切れていたからなのです。
そしてこれも自分がよく走るところにある点滅信号のところのカーブミラーが傾いていたのです。
大型車か何かがぶつかったのでしょうか、かなり傾いてしまって道路を映さず空を映しているのです。
特にカーブミラーは点滅信号のところで、自分の進行方向は黄色点滅なのですが、赤点滅でも一時停止をせずに突っ込んでくる車や自転車がいるので、徐行してカーブミラーを必ず見るようにしています。
カーブミラーをかなり頼りにしているんです。
管理をしているところに改善をお願いしようとしたのですが、はてさて、どこに電話すればいいのか??
そこで道路標識を管理している行政を調べてみました。(高速道路等は除く)
信号はなんとなく警察っぽかったので、管轄の警察署に電話しました。
信号は道路交通法に基づき都道府県公安委員会(警察でOKです)が設置しているそうです。
道路標識は種類が多いので、ちょっと箇条書きにしてみます。
・案内標識(青地に白字で、地名などを案内している標識)・・・道路管理者
・警戒標識(黄色地に黒縁・黒模様の菱形「幅員減少」等)・・・道路管理者
・規制標識(赤の縁取りで青字「最高速度」や「車両進入禁止」等、青地で白字「一方通行」の矢印等。)・・・公安委員会
・指示標識(四角形、青地で白い絵が多い「駐車可」の「P」等)・・・公安委員会
・道路標示(「止まれ」とか「40」とか道路に書いているもの)・・・公安委員会(原則)
道路管理者というのは、国道なら国、県道なら県、市町村道なら市町村です。
縦割りって感じですね。
よくわかりませんが簡単な目安は「青や赤の標識は警察」「黄色の標識は道路管理者」らしいです。
青い案内標識は道路管理者だけど。
ということで、カーブミラーって柱とか黄色なので、区役所の道路管理担当部署に電話しました。
ちなみにそのカーブミラーは市道にありました。
なんだか覚える程のものでもないので、とりあえずはざっくり色での目安を覚えとけばいいかな?と思います。
ちょっとした雑学でした。
行政書士 久々宮典義
《執筆メンバー》 弁護士5、税理士2、社会保険労務士6、行政書士3、司法書士2、不動産鑑定士1、土地家屋調査士1、公認会計士1、ファイナンシャルプランナー1、保険代理業1(計23名)
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□■□ 『中小企業のための経営支援情報』第86号 □■□
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◇◆◇ 社会保障改革案(年金) ◇◆◇
先日野田政権が社会保障改革案を発表しました。
来年度の年金がどうなるかに的をしぼってご紹介します。
ほぼ確定したのが2つあります。
○過去の物価下落時に据え置かれた支給額を本来水準に減額。
これは過去、年金額を下げないといけなかった時期があったのですが、政治的な配慮から(?)下げなかったものです。
年金財政も非常に厳しいので、元通り下げますというものです。
しかし、年金にはもともと物価に合わせて支給額を増減させるルールがありますので、来年4月に通常通り1度下げられ、さらに10月から過去分が引き下げられ、計2回下がることになるわけです。
引き下げ幅については、今年度は0.4%でした。
ちなみに国民年金に40年間加入していた人は年額にして4000円ほど下がりました。
来年は、0.2〜0.3%の見込みです。
過去分は0.8〜0.9%下がり、これは2014年度まで続く見込みです。
ぎりぎりの年金だけで生活している人にとっては大きな打撃になることでしょう。
○基礎年金の国庫負担分を2分の1に保つ財源確保
平成21年3月までは老齢基礎年金の国からの補助が3分の1でした。(全額免除の場合)
平成21年4月からはそれが2分の1に引き上げられました。
ところが今回の大震災の影響等で、もとの3分の1にもどそうという意見も取りざたされていましたが、何とか維持できるようです。
次に実施の方向ですが、詳細未定のもの2つをお知らせします。
○受給資格期間を25年から10年に短縮
年金は25年(特例はいろいろあります)の受給資格がないと1円ももらえません。無年金者対策として25年を10年にしようというものです。ただ、あくまで資格のお話しなので、10年ですと受給金額はそれなりに少なくなります。
○非正社員に厚生年金適用拡大
現在の厚生年金の加入条件「週の労働時間30時間以上」となっているのを「週20時間以上」に緩和しようというものです。
加入できたら生活が安定すると喜ぶ人もいれば、現状のままの方がいいという主婦のパートの人もいます。
今後の意見調整の行方を見守りたいと思います。
特定社会保険労務士 堀江 玲子
《執筆メンバー》 弁護士5、税理士2、社会保険労務士6、行政書士3、司法書士2、不動産鑑定士1、土地家屋調査士1、公認会計士1、ファイナンシャルプランナー1、保険代理業1(計23名)
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□■□ 『中小企業のための経営支援情報』第85号 □■□
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◇◆◇ 思わぬ事業承継リスク ◇◆◇
昨今、事業承継について様々なセミナーが開催されるなど、事業承継について悩む経営者の方は多いようです。
多くは、「ふと気がつくと、後継者がいない」という悩み、あるいは後継者に円滑に承継をしたい(税務上最も効率的に)場合ではないでしょうか。
一方で、次のような問題が生じうることも考える必要がありそうです。
先日、私が担当した案件は、後継者に着々と株式の譲渡を進めており、万全の事業譲渡体制が構築されていました。
代表取締役は父で、親族のみが株式を保有する典型的な同族会社でしたが、父は早くから二女の婿を後継者(候補)とし、その後、事ある毎に、自らの株式を含め、発行済み株式を後継者あるいは後継者の家族の名義と変更してきました。
もちろん、この株式の取得費用も実際には社長が負担したものです。
ところが、当初は評価していた後継者も、実際に取締役として事業部門を任せるといろいろな問題が生じてきました。
何より、当該事業部門の従業員からの評価が極めて悪く、また業績も悪化するようになったのです。
このため、社長は後継者の見直しに着手をせざるを得ませんでした。
社長としては、後継者候補にもしかるべきポストは与えつつも、社長は別の人物を、と検討を開始した矢先に、事件は発生しました。
社長は、株主総会で、後継者から退任を迫られてしまったのです。
株主総会は株式数に応じて決議がなされるのが原則です。
過半数の株式を有していなければ、このような事態が生じうることを良く考える必要があります。
これに対応するためには、あくまでも自らが過半数の株式を有する、あるいは種類株式の発行等で、議決権のみだけでも確保する、といった対策が必要です。
また、すでに過半数の株式を譲渡している場合には、株式数の増加等による対抗策を考えなければならないかもしれません。
身内でもめることは避けたいものです。
社長は、株式の譲渡の時期を検討する場合には、以上のような事例があることも、意識されてはどうでしょうか。
弁護士 小川 剛
《執筆メンバー》 弁護士5、税理士2、社会保険労務士6、行政書士3、司法書士2、不動産鑑定士1、土地家屋調査士1、公認会計士1、ファイナンシャルプランナー1、保険代理業1(計23名)
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□■□ 『中小企業のための経営支援情報』第84号 □■□
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◇◆◇ 平成23年税制改正 ◇◆◇
平成23年12月2日に,平成23年度税制改正に関する法律「経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律」が公布されました。
平成23年度税制改正法は,すでに平成23年6月30日に公布された部分以外の残りの部分が成立したことになりますが,法人課税と納税環境整備の一部以外は削除されました。
今回,削除された項目は,平成24年度税制改正または税制抜本改革において,あらためて議論されることになります。
なお,削除された主な項目は次のとおりです。
【所得税法改正に係るもの】
1,給与所得控除の見直しに係る規定の削除
2,給与所得者の特定支出の控除の特例の見直しに係る規定の削除
3,退職所得課税の見直しに係る規定の削除
4,扶養控除の見直しに係る規定の削除
【相続税法改正に係るもの】
1,遺産に係る基礎控除の引下げに係る規定の削除
2,死亡保険金に係る非課税限度の引下げに係る規定の削除
3,相続税の税率構造の改正に係る規定の削除
4,未成年者控除に係る控除額の引上げに係る規定の削除
5,障害者控除に係る控除額の引上げに係る規定の削除
6,相続時精算課税制度の対象とならない贈与財産に係る贈与税の税率構造の改正に係る規定の削除
7,相続時精算課税制度の対象となる受贈者に係る贈与者の年齢要件の引下げに係る規定の削除
【租税特別措置法改正に係るもの】
1,資産課税
(1) 20歳以上の者が直系尊属から贈与により取得した相続時精算課税制度の対象とならない財産に係る贈与税の税率構造の緩和に係る規定の削除
(2) 相続時精算課税制度の対象となる受贈者の範囲の追加に係る規定の削除
2,消費課税
地球温暖化対策のための課税の特例に係る規定の削除
税理士 鵜池 隆充
《執筆メンバー》 弁護士5、税理士2、社会保険労務士6、行政書士3、司法書士2、不動産鑑定士1、土地家屋調査士1、公認会計士1、ファイナンシャルプランナー1、保険代理業1(計23名)■発 行 福岡☆リスク法務実務研究会
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□■□ 『中小企業のための経営支援情報』第83号 □■□
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◇◆◇ 「風俗営業」とは? ◇◆◇
皆さんは「風俗営業」と聞くとどのようなお店を連想するでしょうか?
中には、そんなお店には行ったことがない。と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
「風俗営業」とは、「風俗営業等の規制及び業務の適性化等に関する法律」(以下、「風営法」という。)で、各都道府県の公安委員会の許可が必要とされているお店のことです。
ここでいう「風俗」と一般的に使われている「風俗」とは少し概念が異なります。
「風営法」で言う「風俗営業」とは、同法律で1号から8号に分類されています。
具体的には次のようなお店が「風俗営業」のお店です。
1号 キャバレーなど
2号 スナック、クラブなど
3号 ディスコなど
4号 ダンスホールなど
5号 バー、喫茶店など(低照度飲食店)
6号 カップル喫茶など(区画席飲食店)
7号 麻雀屋、パチンコ屋など
8号 ゲームセンターなど
皆さんが通常通うスナックやクラブ、雀荘やパチンコ店、ゲームセンターなどは「風俗店」に当たるのです。
また、「風営法」は、業種によって「風俗営業」「性風俗特殊営業」「深夜における酒類提供飲食店営業」などに分類されています。 居酒屋や小料理屋などは「食品衛生法」に基づく「飲食店(食品)営業許可」を取得して営業を開始するお店ですが、夜の12時を超えて酒類を提供する場合には、「風営法」に基づく「深夜における酒類提供飲食店営業」の届出が必要となります。
つまり、居酒屋や小料理屋なども「風営法」に関連するお店とも言えます。
「風俗営業」や「風営法」に関連するお店は、皆さんのイメージとは違い以外と皆さんも利用している身近なお店なのです。
行政書士 田村 公隆
《執筆メンバー》 弁護士5、税理士2、社会保険労務士6、行政書士3、司法書士2、不動産鑑定士1、土地家屋調査士1、公認会計士1、ファイナンシャルプランナー1、保険代理業1(計23名)
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□■□ 『中小企業のための経営支援情報』第82号 □■□
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◇◆◇ 労働者派遣法改正案の大幅修正について ◇◆◇
国会で継続審議されている労働者派遣法(以下「派遣法」)改正案について、民主党が自民・公明両党に配慮した大幅な修正案に応じる方針であることが先日報道されました。
修正案の中心となるのは、「製造業派遣」と「登録型派遣」の原則禁止に関する規定を削除するというもので、3党は修正内容について実務者レベルで既に合意しており、今国会中にも成立する見通しとなりそうです。
派遣法改正案は派遣労働者の待遇改善を目的に平成22年の通常国会に提出されましたが、その背景には平成20年に起きたリーマン・ショック以後、製造業における大量の派遣労働者の雇い止め(派遣切り)が起き、社会問題化したことが挙げられます。
派遣法改正案はこの「派遣切り」を防ぐという目的のもと起案されましたが、本案は雇用の縮小につながり、また、中小企業の経営を圧迫するなどとして自民・公明の両党が反発し、国会で実質的な審議に入れないまま継続審議となっていました。
民主党は大幅な譲歩によって今国会で審議し、修正案の早期成立を目指すとしています。
今回の派遣法改正案における主な修正内容は以下のとおりです。
1.製造業派遣の原則禁止→削除
2.登録型派遣の原則禁止→削除
3.日雇い派遣の原則禁止→緩和
4.みなし雇用制度の適用→法施行から3年経過後に延期
修正案では上記「1」の製造業派遣のほか、「2」の仕事があるときだけ雇用契約を結ぶ登録型派遣の原則禁止を削除し、両派遣のあり方について今後の検討課題としました。
「3」の日雇い派遣の禁止となる期間も、「日々または2ヶ月以内の派遣禁止」から「日々または30日以内の派遣禁止」に緩和され、雇用機会の確保が特に困難な場合に限り日雇い派遣を認めることが盛り込まれました。
「4」については、偽装請負などの違法派遣があった場合に派遣先企業に労働者の直接雇用を促す「みなし雇用」について、導入を法の施行から3年後に先送りしました。
以上のように民主党が掲げた当初のマニフェスト(製造業派遣および登録型派遣の禁止)からは大きく後退する内容となってしてしまいました。政府が今後、雇用や生活の安定をどう保証していくのか、その動向にも注目して行かなければならないでしょう。
特定社会保険労務士 田上 隆一
《執筆メンバー》 弁護士5、税理士2、社会保険労務士6、行政書士3、司法書士2、不動産鑑定士1、土地家屋調査士1、公認会計士1、ファイナンシャルプランナー1、保険代理業1(計23名)
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□■□ 『中小企業のための経営支援情報』第81号 □■□
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◇◆◇ 休眠担保権の抹消手続きについて ◇◆◇
皆さんは「休眠担保権」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
明治時代などの昔に、不動産の所有者がお金を借りる際に抵当権を設定し、そのまま抵当権の登記が残っているというのが代表例です。
田舎には結構残っています。
現在、昭和30年以前になされた抵当権の登記は、全体の約2%が残存していると推定されています。
この数字は、現在登記されている土地が、全国で約2億3000万筆と推定されているから、その2%である約450万筆が、いわゆる休眠担保権を抱えていることを意味します。
通常、抵当権の抹消登記手続きは、不動産の所有者と、担保権者が共同して登記申請を行い、登記手続きの中でも簡単な部類に位置づけられています。
ところが、古い登記を抹消する場合は、担保権者である個人が行方不明であったり、担保権者である法人が既に存在しなくなっていることがあり、登記手続きを進めることが出来ません。
そのため、不動産登記法では担保権者の協力が得られない場合に、不動産の所有者が単独で抹消することができる手続きをいくつか設けています。
1.本案判決による単独申請
担保権者が実在するにもかかわらず、抹消登記手続きに協力してくれない場合に、担保権者を相手として訴訟を提起し、登記申請の意思を擬制する方法です。
2.除権判決による単独申請
抹消すべき登記の担保権者が行方不明の場合には、所有者は、裁判所に対し公示催告の申し立てをし、除権判決を得て、単独で担保権の抹消手続きをします。
3.債権証書並びに債権及び最後の2年分の定期金の受取証書を添付してなす単独申請
抹消すべき登記の担保権者が行方不明の場合には、上記2の除権判決以外にも、債権証書と受取証書を所持していれば、被担保債権が弁済により消滅している蓋然性が非常に高いため、所有者が単独で担保権の抹消手続きをすることを可能としています。
4.供託による単独申請
上記2及び3の手続きは、現実的にはほとんど利用されていません。
除権判決は公示催告の申立て、除権判決に至るまでの手続きが一般に馴染みが薄いことや、債権証書・受取証書が存在するケースがほとんどないためです。
多くの休眠担保が抹消されないままでいると、不動産の円滑な取引を阻害し、登記のコンピュータ化推進にも大きな障害であるため、上記2・3よりもより簡易な方法として供託による抹消登記手続きが新設されました。
この手続きの概要は以下のとおりです。
・担保権者が行方不明であること。
・被担保債権の弁済期から20年を経過していること。
・被担保債権の弁済期から20年を経過したあとに、債権、利息及び損害金の全額を供託すること。
供託手続きはいくらを供託すべきなのか利息や損害金を計算するのが結構大変ですが、供託所と何度か計算方法の確認をしながら、金額を確定していくことになります。
以上、休眠担保権を抹消する手続きを簡単に述べましたが、手続きは決して簡単なものではなく、それなりの時間と労力を要します。
早く売りたいのに古い担保が残っているため、買い手が見つからないことも考えられます。
不動産の円滑な取引を阻害しないためにも、休眠担保権がついている不動産をお持ちの方は、早めに抹消の手続きをされることをお勧めします。
司法書士 安藤 功(福岡県司法書士会)
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