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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《令和元年7月号》
名義株の問題

司法書士の池田です。

「名義株」とは、会社の株主名簿に記載されている株主とその株式の実質的な所有者とが一致していない株式のことです。つまり、「書類の名義上の所有者と実際の所有者とが違う」株式のことです。1990年以前の商法では、「会社を設立するときは最低7人の発起人が必要」とされていました。そのため、創業者が100%お金を出しているものの、家族や親戚、従業員などの名前を借りて会社を設立することが行われていました。この親戚や従業員は、名前を貸しただけのつもりなので、自分がその会社の株主であることを認識していないケースが多分にあります。「実際にお金を出しているのはオーナー社長なのに、株主として登録されているのは別の人」なので、名義株となります。
このような名義株が存在した場合、当時の状況をよく知る方がご存命であれば話し合いによる解決を図ることが可能な場合がありますが、多くの場合、事業承継などの株式を譲渡するタイミングでこのような問題が露呈し、当時のことを知る当事者は全員死亡しているということも少なくありません。当時の状況がどうしてもわからない場合は、致し方ないので最終的に名義株の所有者の相続人から株式を買い取るという形になることも選択肢としてありますが、会社の業績が好調で、株価が高騰している場合、名義株の所有者の株式を買い取るだけでもかなりの高額になることがあります。
かねてより先代の会社だと思っていたのに、事業譲渡のタイミングで思わぬ落とし穴にはまらないように、名義株がある場合は早めの対処をお勧めします。

回答者 司法書士 池田 龍太
ロウル司法書士事務所
代表司法書士  池田 龍太
〒810-0054 福岡市中央区今川1丁目10番45号 エムズビル2F
TEL 092-725-4850 FAX 092-510-7245
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