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弁理士の高松宏行です。今回は有名なステーキ店「いきなり!ステーキ」に関する特許についてご紹介します。「いきなり!ステーキ」は、客が牛肉の量を1g単位から指定した後にその場で牛肉をカットする「オーダーカット方式」を採用したステーキ店として急成長を遂げました。このオーダーカット方式に関する特許をステーキ店の運営元(株式会社ペッパーフードサービス)は取得しています。 「(請求項1)お客様を立食形式のテーブルに案内するステップと,お客様からステーキの量を伺うステップと,伺ったステーキの量を肉のブロックからカットするステップと,カットした肉を焼くステップと,焼いた肉をお客様のテーブルまで運ぶステップとを含むステーキの提供方法を実施するステーキの提供システムであって,上記お客様を案内したテーブル番号が記載された札と,上記お客様の要望に応じてカットした肉を計量する計量機と,上記お客様の要望に応じてカットした肉を他のお客様のものと区別する印しとを備え,上記計量機が計量した肉の量と上記札に記載されたテーブル番号を記載したシールを出力することと,上記印しが上記計量機が出力した肉の量とテーブル番号が記載されたシールであることを特徴とする,ステーキの提供システム。」
特許の内容を判り易くするため、発明の構成を分節します。
さらに、構成2の「計量機」は次の機能を有しています。
さらに、構成3の「印し」は次のようなものであることを必要とします。 つまり、第三者が単に、「お客様を立食形式のテーブルに案内するステップと,お客様からステーキの量を伺うステップと,伺ったステーキの量を肉のブロックからカットするステップと,カットした肉を焼くステップと,焼いた肉をお客様のテーブルまで運ぶステップとを含むステーキの提供方法を実施する」行為自体は、上記特許権を侵害しないことになります。 上記特許請求の範囲のうち、「お客様を立食形式のテーブルに案内するステップと・・・焼いた肉をお客様のテーブルまで運ぶステップとを含むステーキの提供方法を実施するステーキの提供システムであって」の部分は「プリアンブル」といわれています。米国では、「プリアンブル=従来技術」の意味として捉えられる傾向にあり、日本でも同じ意味合いで用いられるケースが多々あります。
また、上記特許請求の範囲のうち、下線部で示される部分は、出願当初の特許請求の範囲から新たに書き加えられた文言を意味します。権利範囲は構成要件が少ない方が広いため、上記のような下線部を含む文言がある特許は、審査段階で新規性や進歩性の欠如を指摘されている可能性が高いことが推測されます。 今月は以上です。 回答者 弁理士 高松 宏行
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