おもしろ知財ツアー

                     前へ<<               >>次へ
福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《令和4年10月号》
おもしろ知財ツアー70

弁理士の高松宏行です。
今回はビジネスモデル特許について、事例とともに説明したいと思います。「ビジネスモデル特許」という言葉は特許法上で定義付けされておらず、一般的にはビジネスの仕組みに関する発明に付与された特許を指しますが、実際に特許を取得するためにはハードウェア資源(コンピュータ、ソフトウェア)を絡める必要があります。すなわち、単なる人為的取り決めにすぎないものはビジネスモデル特許として権利保護されません。
ビジネスモデル特許の代表例としては、アメリカの巨大企業であるamazonがかつて保有していた「ワンクリック特許」が挙げられます(特許4959817号)。このワンクリック特許は、1998年9月に出願され、2012年3月に特許として登録されました。なお、このビジネスモデル特許は出願日から既に20年以上が経過しているため、特許権は消滅しています。
ワンクリック特許(現在は権利消滅)が生まれた背景ですが、従来のシステムでは、消費者がamazonや楽天市場などのECサイトを通じて商品を購入するために購入ボタンをクリックすると、送付先の住所や支払方法の入力画面が表示され、消費者が所定の情報を入力することで決済が完了していました。ところが、同じECサイトで繰り返し商品を購入する場合、その都度送付先の住所や支払方法を消費者が入力するのは煩わしく面倒であったという課題がありました。amazonがかつて保有していたワンクリック特許は当該課題を解決するものであり、購入ボタンをクリックするだけで決済が完了するため、消費者にとって利便性が高いというメリットがありました。
このワンクリック特許は単に決済が容易になるというだけでなく、例えばワンクリックで複数の注文を同日に受け付けた場合に、複数の注文を1つにまとめる処理をする(1つの配送物として届けてくれる)という点が一つのポイントになっています。

このワンクリック特許が具体的にどのような表現で権利化されたか、特許請求の範囲(請求項1)に記載された文章を以下に掲載します。
「アイテムを注文するためのクライアント・システムにおける方法であって、
前記クライアント・システムのクライアント識別子を、前記クライアント・システムのコンピュータによりサーバ・システムから受信すること、
前記クライアント・システムで前記クライアント識別子を永続的にストアすること、
複数のアイテムの各々のアイテムについて、
前記アイテムを特定する情報と、前記特定されたアイテムを注文するのに実行すべきシングル・アクションの指示部分とを、前記クライアント・システムのディスプレイに表示することであって、前記シングル・アクションは、前記特定のアイテムの注文を完成させるために前記クライアント・システムに要求される唯一のアクションであり、前記クライアント・システムに対して前記シングル・アクションの実行に続いて前記注文の確認を要求しないこと、および 前記シングル・アクションが実行されることに応答して、前記特定されたアイテムの注文要求と前記クライアント識別子とを、前記サーバ・システムに送信することであって、前記注文要求は、前記シングル・アクションによって示されたシングル・アクション注文要求であり、前記クライアント識別子は、ユーザのアカウント情報を特定することを備え、
前記サーバ・システムが、前記シングル・アクションによって示されたシングル・アクション注文要求と、前記クライアント識別子に関連付けられた1または複数の以前のシングル・アクション注文要求とを組み合わせ、1つの注文に結合することを特徴とする方法。」

 今月は以上です。

回答者 弁理士 高松 宏行
高松特許事務所
弁理士 高松 宏行
〒810-0041 福岡県福岡市中央区大名2-4-30 西鉄赤坂ビル7F
電話092-711-1707 FAX 092-711-0946
                     前へ<<               >>次へ
おもしろ知財ツアーリストに戻る