おもしろ知財ツアー

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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《令和4年11月号》
おもしろ知財ツアー71

弁理士の高松宏行です。
ここ近年はキャンプがブームになっており、私自身もよく阿蘇・久住方面へキャンプに行きます。そこで今回は、キャンプに欠かせない寝袋の特許についてご紹介します。寝袋といえば、登山向けの製品を多く手掛ける株式会社モンベルが有名です。そのモンベルが2012年に、寝袋についての特許を取得しました。ちなみに、特許は現在も存続しています。
特許請求の範囲(第三者が勝手に実施できない具体的な内容)には、次のように記載されています。参考図も添付します。

【特許請求の範囲(請求項1)】
布帛を所定の形状に裁断した布帛片を縫製してなる寝袋であって、
前記布帛片は、前記布帛の織目の方向が、当該布帛片の経方向に対し斜めの方向となるよう裁断されてなり且つ伸縮可能な糸により縫製されてなる寝袋。

【参考図】

寝袋
特許請求の範囲に登場する言葉が見慣れず、日本語が難しく感じると思います。権利の範囲を極力広げつつ、強い権利を求めようとすると、難しい日本語になる傾向にあります。
この特許を分かり易く説明すると、生地の繊維方向を斜め(バイアス状)に配置し、伸縮する糸(糸ゴム)で生地を縫った寝袋に特許が付与されています。これにより、縦横方向に寝袋が伸び縮みして窮屈感を解消するとの事です。他ブランドの商品も確認しましたが、モンベルと同じ特徴の寝袋は見当たりませんでした。すなわち、モンベルの寝袋は特許を取得していることで、他社にはない独自の特徴を有していることになります。この独自の特徴を特許で保護することにより、他社との競争で優位に立っているといえます。

 今月は以上です。

回答者 弁理士 高松 宏行
高松特許事務所
弁理士 高松 宏行
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