おもしろ知財ツアー

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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《令和5年2月号》
おもしろ知財ツアー74

弁理士の高松宏行です。今回は相談の多い料理名と商標登録についてご紹介します。
昨今では、競業との差別化を図るために、ユニークな料理名を付けて料理を提供する飲食店が増えています。そこで、飲食店の方から「料理名は商標登録できますか?」というご相談を比較的多く受けます。福岡県では「ぺぺたま」、「ラーソーメン」が有名です。

回答としては、店内で消費される(すなわち店外に持ち出せない)料理の料理名については、現在の商標法では直接的な保護を図ることができません。
商標は噛み砕いて説明すると、「商品」または「役務」と、「文字」または「ロゴ」の組み合わせになります。文字+ロゴでもOKです。
役務とは、「飲食物の提供」のように、ある人が他人のために行うサービスを指します。
知的財産の業界では「他人のために行う労務又は便益」と言われます。

商品は市場で流通することが要件であるため、店内で消費される料理は商品の要件を満たしません。
役務は上述のとおり、人の行為を指すため、料理名はこれに当てはまりません。
このように、店内で消費される料理の料理名は、商品と役務のいずれにも該当しないため、直接的な保護は受けられないことになります。

とはいえ、実務上では料理名を「飲食物の提供」と紐づけて商標登録するケースがあります。但し、実効性がどこまであるかは不明です。

また、料理を容器に入れて持ち帰り可能とした場合は、市場に流通するとの要件を満たしますので、料理名を商標商標登録することで、商品商標としての保護が受けられます。

飲食店を経営されている方は、店名の商標登録に加え、料理を持ち出し可能な商品として販売されている場合は料理名の商標登録も併せてご検討ください。

 今月は以上です。

回答者 弁理士 高松 宏行
高松特許事務所
弁理士 高松 宏行
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電話092-711-1707 FAX 092-711-0946
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