おもしろ知財ツアー

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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《令和5年3月号》
おもしろ知財ツアー75

弁理士の高松宏行です。今回は海外から輸入される模倣品を効果的に排除する一例をご紹介したいと思います。近年ではECサイトの普及などによって、海外から模倣品が輸入され、低価格で販売されることで実害を受けている国内業者が少なくありません。このようなケースでは、日本で意匠権を取得することが効果的な場合があります。
意匠権は物品の美的外観を保護する権利です。登録意匠は原則として物品の六面図で表されるので、特許に比べて侵害・非侵害の判断がし易い傾向にあります。
ところで、海外製品は日本の税関を通りますが、税関では知的財産権に基づいて輸入を差し止めるための申請を行うことが可能です。福岡県に近いところでは門司税関があります。
特許でも申請を行うことができるのですが、特許は独特の長い文章で表されることが多いため(聞きなれない専門用語も多いです)、税関職員が特許の内容を理解して輸入される製品の侵害可能性を判断するのは非常に困難です。その一方で、意匠は物品の美的外観であるため、税関職員でも模倣品の判断が行いやすいという側面があります。また、所定の税関(例えば門司税関)で申請を行えば、全国の税関に対しても模倣品を差し止める措置がとられます。
侵害か否かの判断のし易さは、商標でも同様のことがいえます。商標は簡潔に述べると、商品・役務と商品名・ロゴの組み合わせです。そのため、税関職員は商標侵害品を特許に比べて容易に判断できる傾向にあります。
税関への申請自体は無料です。但し、申請には一定の時間がかかり、税関職員との打ち合わせも複数回に亘って行われるのが通常であるため面倒な点はありますが、申請が通れば模倣品が国内に流通する前に効果的に差し止めることができます。 模倣品の輸入にお困りの方は、知的財産権を取得するとともに、税関への申請をご検討ください。

 今月は以上です。

回答者 弁理士 高松 宏行
高松特許事務所
弁理士 高松 宏行
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