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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《令和5年5月号》
おもしろ知財ツアー77

弁理士の高松宏行です。今回は知財業界で話題となっている法改正(まだ確定はしていません)について説明します。
現行の商標法では、氏名は原則として商標登録することが認められていません(商標法4条1項8号)。但し、同じ氏名を有する他人の承諾を得れば、登録が認められます。
同じ氏名を有する他人の人格的利益を保護するため、というのが大きな理由です。
例えば、安藤政明さんが「安藤政明」を商標登録したい場合、同じ氏名を有する他の安藤政明さんから承諾を得る必要があります。安藤政明さんが複数名いらっしゃる場合は、全員の承諾が必要です。
ところで近年、自己の氏名をブランドとして物販やサービスを提供するケースが増加しています。現行法では自己の氏名を商標登録するハードルが高いので、これを緩和することが検討されております。
改正案では、権利化を図る自己の氏名に知名度がなくても、他人の承諾を必要とせずに登録を認めることとしております。その一方で、他人の氏名が有名である場合は登録を認めず、また、出願することに正当な理由があることを要件とする検討も行われています。正当な理由としては、既に自己の氏名を使って物販やサービスを提供していること、等が考えられます。
4条1項8号の法改正は、デザイナーや創業者等の氏名をブランド名として事業を展開したい事業主にとって非常に重要なニュースです。
法改正が確定次第、改めてご案内したいと思います。

 今月は以上です。

回答者 弁理士 高松 宏行
高松特許事務所
弁理士 高松 宏行
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