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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《令和6年2月号》
おもしろ知財ツアー86

弁理士の高松宏行です。今回は近い将来に予定されている商標法の大きな改正について説明します。皆さんにも影響のある改正です。
まず、現行法について簡単に説明します。商標登録出願を行うと、特許庁の審査官が出願にかかる商標を登録してもよいか、審査基準に基づき審査します。
審査内容の一つに、審査官は、出願に係る商標が、先願の他人の登録商標と同一又は類似であって、指定商品若しくは指定役務が同一又は類似である商標か否かを判断します(商標法4条1項11号)。
例えば、Aさんが「スター」という商標を「お菓子」の分野で登録(権利化)したいと商標登録出願した際、既に「スターズ」という商標が「お菓子」の分野で商標登録がなされていたとします(Bさんが商標権者とします)。かかる場合、審査官はAさんの出願商標を商標法4条1項11号に基づいて拒絶します。
拒絶理由が通知された場合、Aさんは現行法上、以下の措置をとることができます。

・類似していないと反論する。 ・Bさんが登録商標を一定期間使用していない場合、不使用取消審判を請求する。
・出願の名義人を一時的にBさんに変更し、登録査定後にBさんから戻してもらう(アサインバック)。

法改正後は、上記3つの措置に加え、Bさんの同意が得られれば、同意書を提出することで商標登録が認められるようになります。いわゆるコンセント制度の導入というものですが、この法改正は知財業界で大きなインパクトを与えています。

実務上は、Bさんが同意するのと引き換えに、Aさんは金銭的対価をBさんに支払い、さらに、AさんはBさんに対して商標権侵害を訴えない確約をとることになると予想しています。

施行予定日は令和6年4月1日です。

 今月は以上です。

回答者 弁理士 高松 宏行
高松特許事務所
弁理士 高松 宏行
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電話092-711-1707 FAX 092-711-0946
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