おもしろ知財ツアー

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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《令和6年5月号》
おもしろ知財ツアー89

弁理士の高松宏行です。企業がイメージキャラクターを作ったとき、知的財産でどのように保護することができるのかといった相談を受けることが多くなりました。
今回は、イメージキャラクターの保護について、知的財産の観点から説明します。
イメージキャラクターは商標権、著作権が関係します。
例えば、和菓子メーカ−がイメージキャラクターをつくり、そのイメージキキャラクターを商品パッケージに印刷する行為は商標的使用に該当しますので、指定商品を「和菓子」とした商標登録を検討すべきです。
ところで、イメージキャラクターには名称がついているケースが圧倒的に多いです。かかる場合、キャラクター画像とキャラクター名を別々に出願して商標登録しなければならないかというと、原則はその通りです。別々に商標登録すれば、キャラクター画像のみの使用、キャラクター名のみの使用も登録商標の使用として認められるからです。
とはいえ、別々に商標登録すると費用も2倍かかるので、実務上はキャラクター画像とキャラクター名の全体をひとつの商標として出願・登録するケースが多いです。下記は私が代理した案件の一例です。

ワンヘルスぼうや
登録第6750340号

キャラクター画像とキャラクター名をひとつの商標として権利化すれば、費用を低減することができる一方、キャラクター画像とキャラクター名をバラバラに使用する場合、それは登録商標の使用とは認められず、不使用取消審判の対象となります。
そのため、画像と名称をまとめて商標登録したクライアントについては、どこかで登録商標どおりの使用をしてもらうようにお願いしております。具体的にはホームページへの掲載を勧めることが多いです。
また、キャラクター画像とキャラクター名をひとつの商標として出願する場合、審査の範囲が広くなるため、拒絶されるリスクが高くなります。すなわち、キャラクター画像については類似する先願商標が存在しなかったものの、キャラクター名については類似する先願商標が見つかった場合、商標全体が拒絶されます。その逆も然りです。現行法は、拒絶理由が通知された際にキャラクター画像とキャラクター名の何れかを削除できるような制度設計にはなっていないため(要旨の変更に該当)、注意が必要になります。

 今月は以上です。

回答者 弁理士 高松 宏行
高松特許事務所
弁理士 高松 宏行
〒810-0041 福岡県福岡市中央区大名2-4-30 西鉄赤坂ビル7F
電話092-711-1707 FAX 092-711-0946
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