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弁理士の高松です。今回は、熊本県のPRキャラクターとして全国的に知られているくまモンを題材にして、商標とキャラクタービジネスの関係について取り上げたいと思います。
くまモンは、2010年頃に誕生した熊本県のPRキャラクターであり、今やその知名度は全国区にとどまらず、海外にも及んでいます。ゆるキャラブームの火付け役とも言える存在で、関連商品、広告、イベント出演など、幅広い分野で活用されています。
ここで重要になるのが「商標権」です。
くまモンの名称や図形(キャラクターデザイン)は、熊本県が商標登録を行い、適切に権利管理されています。商品・役務の保護範囲は広範で、化粧品、キーホルダー、家具、織物、被服、おもちゃ、加工水産物、肉製品、お菓子・・・等々、多岐に亘ります。
つまり、くまモンは単なる可愛いキャラクターではなく、法的に保護された知的財産でもあるのです。
一般に、「自治体のキャラクターなのだから、自由に使わせるべきでは?」という声を耳にすることがあります。しかし、制度趣旨を踏まえると、この考え方は必ずしも妥当とは言えません。
もし、商標登録や使用ルールが存在しなかった場合、どうなるでしょうか。
無関係な事業者が、品質管理もされていない商品にくまモンを無断で使用し、販売することが容易に想定されます。また、くまモンのイメージを低下させるような表現や商品に使用されることも十分に考えられます。そうなれば、消費者は「くまモン=熊本県公認・安心」というイメージを信頼して商品を購入し、結果として品質トラブルが発生すれば、くまモンブランドそのものの信用が大きく損なわれることになります。
熊本県が商標権者として使用許諾(ライセンス)を行っているのは、「どのような商品・サービスに、どのような形で使われるのか」を管理し、くまモンのイメージと品質を維持することが主たる目的です。
キャラクターを単なる話題づくりで終わらせず、法制度をうまく活用することで、長期的に価値を生み続ける仕組みが構築されています。
商標制度は大企業だけのものではなく、地域、自治体、中小事業者にとっても、「信用を守るための道具」として非常に有効です。
ちなみに、熊本県がくまモンに対して指定していない商品・役務があったからといって、その商品・役務を指定して熊本県以外の第三者が商標登録出願しても、商標登録されることはまずありえません。出所の混同を生じるおそれ、公序良俗に反するおそれがある等の理由で拒絶されると思います。
今月は以上です。
回答者 弁理士 高松 宏行
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