【初めに】
皆様、こんにちは。行政書士の和田でございます。今回は、「遺言」に関することです。今現在、日本は、超高齢化社会に突入しております。そんな中、高齢者の親世代が、次の世代の子に上手く財産等を相続させていけば良いかが、最近よく話をされるようになってきております。
その対策としてひとつ考えられるのが「遺言書」の作成です。そこで、今回から遺言書に関する様々なポイントをお話させていただきます。
【まずは、遺言書を書いてみましょう!…自分には何がある?】
まず、遺言者(遺言を残す方)の立場から、将来的に自分が亡くなった場合を想定して、遺言書をどのように書けばいいかな、ということを頭に置きながら書いてみましょう。
そうすると、最初に把握しておかなければいけないのが、ご自身の財産です。所有の土地・自宅やマンション、預貯金、株式、自動車等、財産といっても意外と様々あります。これらの財産を把握することで、よくあるのが所有している土地や自宅あるいはマンション等の名義(所有権)がまだ自分の親であったり、もしくは祖父あるいは祖母のままになっていることがあります。不動産の名義が自分のものになっていない以上、法的には、ご自身の財産ではありません。ですから、出来る限り早めに名義変更の手続き(所有権移転登記等)をしましょう。ちなみにこの手続きは、「司法書士」のお仕事ですので、わがリスク法務実務研修会にも優秀な司法書士がいますから、何なりとお申し付け下さい(笑)
話が少しそれましたが、遺言書では財産の分配が大きな目的でありますので、まずはご自身の財産を「財産目録(財産リスト)」のような形で作ってみるのもいいかもしれません。
【まずは、遺言書を書いてみましょう!…自分は誰に財産を残したい?】
では、ご自身の財産を把握したら、その財産を誰に残したいかを考えてみましょう。もちろん、相続人である配偶者や子供が基本になってくるとは思いますが、人それぞれ生活環境の違いや相続人の立場や状況の違いなどがありますから、多少の差が出てくるのは仕方ありません。そのあたりも考慮して検討してみて下さい。ただし、相続人(配偶者や子供、あるいは兄弟姉妹)以外の人に残したい場合には相続ではなく「遺贈」になりますのでご注意下さい。
さらに、相続人にはそれぞれの法定相続分の2分の1の「遺留分」が認められていますので、その遺留分以下の取り決めにした時は、その遺留分以下の相続人から「遺留分の減殺請求」が出来ますので、あわせてお気をつけ下さい。もちろん、異議を申し立てないなら問題ありませんが、後になって相続人同士でもめることがあります。それは遺言者としても不本意でしょうから、極力避けて下さい。
(例)相続財産が1,000万円で、相続人が配偶者、子供2人の時・配偶者の遺留分は、250万円、子供1人ずつそれぞれの遺留分は、125万円です。
【遺言書の種類 主なもの二つ】
1.「自筆証書遺言」
この遺言書の作り方は、名前のとおりご自身で全文を書く遺言書です。ワープロやパソコンを使ってはいけません。また自分は字が下手だから、他人に書かせるとかもダメです。
メリットは、ご自身で書いて、押印等をするだけですから簡単に作ることができます。また、日付が後の遺言書が有効ですので、気が変われば破棄して新しいものを書いて作成することも出来ます。日々、人間関係や人の気持ちは変わるものです。ですから、その点を考慮して作り変えるのも悪くないかと思われます。逆に気をつけることは、遺言書自体の紛失あるいは遺言書があることを伝えていなくて発見されない場合などがあります。これを避けるために相続人の1人や信頼できる人に伝えておくことも大事です。また、お一人で遺言書を書く場合だと、内容的に遺言としての要件が欠けている可能性もあります。ですので、書く前か書いた後になるべく専門家に見せてみるということもしましょう。
次回は、もう一つの主な遺言書の「公正証書遺言」の説明と遺言書の詳細な内容についてお話します。
回答者 行政書士 和田 好史
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