【初めに】
皆様、こんにちは。行政書士の和田でございます。今回も、「遺言」に関するお話をさせていただきます。まずは遺言の主な種類の一つであります、「公正証書遺言」について、ふれていこうと思います。
【公正証書遺言とは】
まず、公正証書遺言の特徴として、公証役場で公証人という法的専門家に作っていただくという点があります。ご自身で作られるよりは、法的にもより安全で確実な方法です。その安全性を簡単に言うと、公証役場に遺言の原本が保管されますので、失くしたり、偽造されたりということがありません。遺言の内容も、公証人がチェックしてくれますので、法的な要件を備えたものになります。後は、ご自分で書かれた遺言とは違って、家庭裁判所での検認ということが必要ではありません。
また、どうしても病気等で公証役場へ行けない場合などでも、公証人が出張してくれて、口頭で内容を伝え、遺言書として書き記すことも出来ます。(別途、出張費用等はかかります)
ただ、手間や費用がかかるという点もありまして、具体的には、立ち会う証人が2人必要です。また、公証人への手数料がかかりますし、印鑑証明書や戸籍謄本等の各種証明書が必要なことや財産の根拠となる登記謄本、銀行の通帳等が必要となってきます。公証人への手数料は、目的の財産の価額によって変わってきますので、作成する際に公証役場で確認してみて下さい。
【遺言書の内容は?】
では、遺言書に入れることが出来る内容とは何なのかということを挙げていきたいと思います。主に
以下の3つのことが遺言書に入れることが出来る内容です。
1.相続に関すること:相続に関することとは、法定相続分と異なる割合で相続分を指定することや、相続人を排除することなどです。もちろん、前回述べた相続の割合や額については、「遺留分」に注意しながら決めていくことになります。
2.財産の処分に関すること:財産の処分に関することとは、金銭等の遺贈や所有不動産の処分に関することなどです。
3.身分に関すること:身分に関することとは、ご自身の子供を認知するということなどです。
内容のメインになってくるのは、上記の1、2の内容だと思います。また、附言事項としてどうしてこのような遺言書の内容になったのか、ということを相続人に分かりやすく説明したりすることも出来ます。(ただし、附言事項に法的効力はありません)
【その他、注意すべき点とまとめ】
その他で、遺言書に入れておいた方がいいことは、「遺言執行者」を選んでおくのがいいかと思われます。役割としては、預貯金や不動産の名義変更の手続き、その他の行政手続き等が主な役割です。もちろん、相続人の1人にお任せしてもいいですし、法的な専門家にお願いするのもいいでしょう。せっかく作った遺言を、しっかり実現してもらえる人をあらかじめ準備してお願いをする方が、最後の思いを残す者として安心できるかと思います。
また、祭祀の継承を誰にするのかということも気になる点ではあると思うので、それも相続人の誰かに指定することも、残された相続人同士でお墓や先祖の祭具等の管理という点で、もめなくて済みます。
まとめとしては、遺言を残すことは最後のご自身の思いの反映です。これはとても大事なことで、残された相続人同士をもめさせないこともありますが、ご自身の思いを相続人に分かってもらうこともあります。自分もそろそろかな〜と思ったら、まずは自筆でもいいので、ぜひ遺言を書いてみて下さい。
回答者 行政書士 和田 好史
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