【初めに】
皆様、こんにちは。行政書士の和田でございます。前回から、「契約」に関するお話をしております。今回も、引き続き契約書に入れておいた方がいい大事な具体的な条項等について触れていこうと思います。
【トラブル防止のために契約書の中に最低限、記載しておいた方がいい条項・前回の続き】
前回まで、1.履行期日と契約存続期間2.契約の解除3.期限の利益の3つの条項をご紹介させていただきましたが、今回はその続きとなります。以下の4つ目からです。
4.損害賠償
契約をした時に、相手方が債務不履行によって損害が生じる場合があります。その場合は、その損害の賠償を求めることができます。(民法第415条)
また、特定の物の売買においてその目的物に隠れた瑕疵(一般的には備わっているにもかかわらず本来あるべき機能・ 品質・性能・状態が備わっていないこと)があった時は、買主は売主に対して損害賠償を求めることができます。(民法第570条)
これらはあくまで法律上の規定ですが、当事者間の契約により、あらかじめ損害賠償額の枠などを定めたり、違約に関する罰則等を決めることも出来ます。
5.危険負担、担保責任
危険負担とは、売買等の双務契約(お互いが義務を負担する契約・渡す商品と代金を払う)において、一方の債務が債務者の過失によらずして履行不能となった場合の規定です。具体的には商品を売る時に、その引渡しまでの間に盗難にあったら、そのリスクは誰が負うのかという問題です。通常はこのような特定物の売買の時は、代金の支払い債権は影響を受けず存続し(買主がリスクを負う)、それ以外の場合は売主がリスクを負うのが原則です。(民法第534条〜536条)
また、特定物の売買において隠れた瑕疵があった場合には、買主は売主に対し、損害賠償を求めたり契約解除したりできます。これらの規定は、契約書内で当事者が納得する形で修正することが出来ます。
6.保証人条項、公正証書の作成等
この二つの条項については、契約の拘束力を強める意味で必要に応じて取り決めた方がいいです。特に、金銭消費貸借契約(お金の貸し借り)や離婚協議書等では多く契約書内に取り入れている条項となります。
7.諸経費の負担、裁判管轄、協議条項
契約に関する取引によって生じる費用や租税、手数料等の負担をどのようにするかは、あらかじめ明確にしておくべきです。意外とこのことで後にどちらが負担するかでもめたりします。(運搬の費用や振込手数料、税金の負担等)
そして、万が一裁判になった際には、管轄権を有する裁判所に申立てなければなりません。契約者同士が同じ福岡とかであればいいのですが、相手方が遠隔地の場合、行くだけでもコストがかかって不便なため、特約によってお互いが(もしくは債権者が)便利な管轄裁判所を定めることも重要です。
また、契約書に規定されていないことがあれば、別途協議する旨も入れておくのもいいです。
【最後に】
契約は、そもそも口頭で成立しますが、やはりビジネスにおいて契約書は必要なものです。契約そのものの成立や当事者間の約束事などを明確にしておくことで、後々のトラブルやリスクを回避することが出来ます。契約をした後でそんな条項知らなかった、もしくはせっかく話合いで決めたことを契約書内に入れてなかったと思わないでいいよう、今回紹介させていただいた最低限の取り決め事は、皆様が契約する際にきちんとご確認下さい。
回答者 行政書士 和田 好史
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