【初めに】
皆様、こんにちは。行政書士の和田でございます。前回から「労働者の派遣事業」ついてお話させてもらっています。今回は、まず注意すべき点として、平成24年10月1日から改正、施行されている内容をお伝えしていきます。
【事業に関する改正】
1.日雇派遣の原則禁止
日雇派遣については、派遣会社・派遣先のそれぞれで雇用管理責任が果たされておらず、労働災害の発生の原因にもなっていたことから、雇用期間が30日以内の日雇派遣は原則禁止になりました。
ただし、@禁止の例外として政令で定める業務について派遣する場合とA60歳以上の人、雇用保険の適用を受けない学生、副業として日雇派遣に従事する人、主たる生計者でない人については、認められます。(@の例:ソフトウエア開発、通訳、秘書、研究開発、調査、添乗、機械設計等)
2.グループ企業派遣の8割規制
派遣会社と同一グループ内の事業主が派遣先の大半を占めるような場合は、派遣会社が本来果たすべき労働力需給調整機能としての役割が果たされていないことから、派遣会社がそのグループ企業に派遣する割合は、全体の8割以下に制限されます。
3.離職後1年以内の人を元の勤務先に派遣することの禁止
本来直接雇用すべき労働者を派遣労働者に置き換えることで、労働条件が切り下げられることのないよう、派遣会社が離職後1年以内の人と労働契約を結び、元の勤務先に派遣することができなくなりました。(元の勤務先が該当者を受け入れることも禁止されています)
ただし、60歳以上の定年退職者は禁止対象から除外されます。
4.マージン率などの情報提供、派遣料金の明示
労働者や派遣先となる事業主がより適切な派遣会社を選択できるよう、インターネットなどにより派遣会社のマージン率や教育訓練に関する取り組み状況などの情報提供が義務化されました。
【労働者の待遇に関する改正】
1.待遇に関する事項などの説明
派遣会社は、労働契約締結前に、派遣労働者として雇用しようとする労働者に対して、雇用された場合の賃金の見込み額や待遇に関することや派遣会社の事業運営に関すること、労働者派遣制度の概要の説明をすることが義務化されています。
2.派遣先の都合で派遣契約を解除する時に講ずべき措置
労働者派遣契約の中途解除によって、派遣労働者の雇用が失われることを防ぐため、派遣先の都合により派遣契約を解除する場合には、派遣労働者の新たな就業の機会の確保や休業手当等の支払いに関する費用の負担などの措置をとることが、派遣先の義務となります。
3.有期雇用派遣労働者の無期雇用への転換推進措置
派遣労働者が無期雇用になるための機会が少ないことから、派遣会社は、有期雇用の派遣労働者(雇用期間が通算1年以上)の希望に応じ、以下のいずれかの措置をとるよう努めなければなりません。
@無期雇用の労働者として雇用する機会の提供
A紹介予定派遣の対象とすることで、派遣先での直接雇用を推進
B無期雇用の労働者への転換を推進するための教育訓練などの実施
4.均衡待遇の確保
派遣会社は、派遣労働者の賃金を決定する際、派遣先で同種の業務に従事する労働者の賃金水準や派遣労働者の職務の内容、成果、能力等に配慮しなければなりません。教育訓練や福利厚生等についても均衡に向けた配慮が求められます。
以上が、平成24年の主な改正点ですので注意されて下さい。次回は、申請・届出等のお話をさせていただきます。
回答者 行政書士 和田 好史
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