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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《平成27年3月号》
成年後見制度について

【初めに】
 皆様、こんにちは。行政書士の和田でございます。以前も少しお話したことがあるのですが、「成年後見制度」について今回からふれていきます。
成年後見制度は、介護保険制度と同時に始まった制度です。介護保険制度ほど、まだ一般的には認知度がありませんが、これからの「超高齢化社会」に不可欠な制度でありますので、成年後見制度を利用する前の話から具体的な手続き、その他関連することなどをお話させていただきます。

【1.なぜ成年後見制度を利用した方がいいのか】
 まず成年後見制度を利用する大きな理由としては、ご本人の財産面や生活面の保護(サポート)です。例えば、以下のような場合、成年後見制度を利用した方がいいかと思われます。
 ・寝たきりで意思決定が困難な母の面倒をみているが、母の預貯金を解約して介護施設に入れたい。
 ・認知症の父名義の不動産を売却して、入院費用に充てたい。
 ・親族でまだ若い障がい者がいるので、その生活の面倒を見ないといけない。
 ・認知症の父が、訪問販売業者から高額な物品を売りつけられた。
 このような例の場合、成年後見制度の中でも「法定後見制度」を利用してご本人の保護をはかります。より快適な場所での治療や介護、さらに金銭的な危機にさらされないようサポートするのが、法定後見制の第一の目的です。ただし、ご本人の保護も大事ですが、まずは「ご本人の意思」(ある一定範囲、判断能力がある場合)も大事になってきます。ご本人が望まない環境に無理をして置くのはかえって事態を悪くしかねないからです。

【2.現状の成年後見制度を利用する動機】
 では、現状、皆さんが成年後見制度を利用する動機で多いものは何なのか、ということですが、実際多くの場合が以下のような必要に迫られて「受動的に」利用している現状があります。
 ・預貯金等の管理・解約
 ・施設入所等の介護を目的とした契約が必要なため
 ・ご本人の身上監護のため
 ・不動産の処分
 ・相続手続きに必要なため
 これらの理由は、ご本人の身上監護のため以外は、全て受動的に利用しています。(金融機関に利用しないと手続きできない、判断能力のない人の不動産の売買は認められない等)
 これからは、もっと「能動的に」成年後見制度を利用することを増やしていかなければならないと個人的には思います。その象徴的な制度として「任意後見制度」は、まだ元気なうちに万が一のことを決めておけるので、ある一定年齢までいくと「遺言」等とセットに考えておかれるのがいいかと思います。

【3.簡単な成年後見制度の概要】
 先程、最後の方で少し話をしましたが、成年後見制度は「法定後見制度」と「任意後見制度」に分かれています。まず、ご自身で認知症になった時のことを考えて準備する時は「任意後見制度」を利用することになります。元気なうちにサポートしてくれる人を決めて、代理してくれる仕事を「代理権目録」という中に盛り込んで決めていきます。
 法定後見制度は、すでに認知症の症状がみられる方や精神障害等の方をサポートするために利用します。現在、通っている病院からの診断書と家庭裁判所の判断をもとにご本人の状態が3段階(法定後見、保佐、補助)に分けられて、その段階に応じたサポートを後見人がしていくことになります。

 次回から、成年後見制度の中における「後見人側」の問題等をお話していきます。

回答者 行政書士 和田 好史
和田法務事務所
行政書士 和田 好史
福岡市中央区渡辺通り5-15-6縄田ビル1F
TEL092-752-6116 FAX092-752-6116 
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