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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《平成27年5月号》
成年後見制度について 3

【初めに】
 皆様、こんにちは。行政書士の和田でございます。前々回から「成年後見制度」についてお話をさせていただいております。今回は、成年後見制度を利用してもらうには、どうしたらいいかあるいはサポートする側が何をやっておかなければいけないか、ということを中心にお話致します。

【1.まずは自分自身がしっかり制度を理解すること】
 親族やまわりの方に成年後見制度(法定後見・任意後見)の利用をうながす時には、やはりご自身で後見制度について理解していることが重要です。
 行政やNPO法人等がおこなっている「市民後見人」の養成講座を受講してみたり、関連書籍を読んだり、後見制度の関するセミナーに出席したりということが必要かと思います。ただ、一番いいのはご自身で「後見人」になってみる(法定後見でも任意後見でも)もしくは、申請の手続きをしてみるというのが「経験」という意味では、最も理解を深めることになるかもしれません。

【2.ご相談者さんとのコミュニケーションを長い期間取る努力をすること】
 親族であればそれほど必要ないかもしれないですが、ご相談者さんが他人の場合、後見制度を利用しようとすると、そんなにすぐに後見しましょうね、ということにはならないのが現状です。(特に任意後見制度の場合は)まずは、雑談や世間話から入って、その中で将来の不安等を聞きだし、いきなり後見の話をするのではなくて、遺言や相続等の問題なども話ながら、その中の一つとして「後見制度」もありますよ、というご紹介の仕方がいいのではないかと思います。
 他人である以上は、ある程度の時間をかけて「信頼関係」を構築した上で、はじめて後見制度を利用して上手くいくと私自身感じております。親族でさえ、もめるとかなり厄介です。他人であれば尚更コミュニケーションはしっかりとっておかないといけないので、そういった意味で、いきなり後見制度を利用するのではなく、その前のワンクッションおくものとして「見守り契約」や「代理契約」などを利用するケースもよくあります。

【3.ご相談者さんの諸問題に優先順位をつけて、順番に解決し、信頼関係を作ること】
 前段のご相談者さんとしっかりコミュニケーションをとっていく中で、自然と今困っていることや解決して欲しい問題などをお話してくれます。そういういくつかの問題に優先順位をつけてあげて、一つ一つクリアにしていくのがいいかと思います。
 例えば、子供さんと長期間連絡がとれていないか少しでいいのでコンタクトをとりたいとか、介護サポートを受けたいとか、お墓のことが心配だ、実は親族あるいはお子さんの借金を肩代わりしている、遺言を残しておきたいなど様々な問題を抱えているものです。基本的には、生活環境や人間関係、財産関係のことが中心かと思います。お話をしていく中で、ご本人さんの今の状態を把握しつつ、諸問題に対しては、サポートする側も一人ではなく、地域の方や介護系の専門職、法的専門家など、上手く連携して、ご本人を中心に色々な「仲間」を作りながらサポートをしていくのが理想かと思います。
 そういう連携をして問題解決に取り組む姿をご本人が見ると、この方に相談すれば大丈夫という「安心」を持ってくれると思います。そういう関係になれて、初めて、「後見制度」を利用してみよう、という気持ちになってくれるものです。
 ですから、後見制度を利用する場合は、まずは「信頼関係」を構築してから、そういった中で「代理契約」や「見守り契約」などを結び、その延長線上として「後見制度」があってもいいのかな、と個人的には思っていますし、それがお互いに、いい関係を継続出来る近道なのではないかと感じております。

回答者 行政書士 和田 好史
和田法務事務所
行政書士 和田 好史
福岡市中央区渡辺通り5-15-6縄田ビル1F
TEL092-752-6116 FAX092-752-6116 
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