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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《平成28年4月号》
「民泊」について1

【初めに】
   今回は、少し前から話題になっています「民泊」(個人宅への有料での宿泊)についてお話させていただきます。民泊おけるメリット・デメリットやリスク管理、そもそもなぜ今話題になっているのかなど、民泊について色々な角度からふれていこうと思います。

【1.旅館業としての定義】
 今、民泊がグレーな点やいけないと言われている点は、日本には「旅館業法」というものがあり、その法律に従って旅館業の許可を受けて、その業務をすることが出来るのに、それをすり抜けて業務を行っているじゃないか、という点です。
 そもそも旅館業とは「施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業」のことです。この営業とは、社会性をもって継続・反復されているものをいいます。
 また、旅館業法上、営業の種別は、ホテル営業、旅館営業、簡易宿所営業(カプセルホテルやドミトリー等)、下宿営業の4種類があり、その営業種別ごとに、許可を受けるための要件が課されています。(許可を出すのは都道府県)
 本来は、その要件をパスした上で旅館業を営まなければならないはずですが、それらの要件も満たさず、継続して他人に貸し、利益を得ている点が問題視されています。今は、インターネットが普及した時代背景もあり、個人の不動産の所有物件や空き物件などを仲介しているサイトに登録している個人宅は、お客さんとなる人が世界中にいるため、社会性が認められることになります。また、一度お客さんを宿泊させた後も、引き続き仲介サイトに登録し続けている場合には、継続・反復の意思があると思われるため「営業」としてとらえられる可能性が高いということになります。

【2.現在の問題点】
 現在、実情として個人宅への宿泊(民泊)が増えてきている背景として、福岡市もそうですが外国人観光客が宿泊するホテル不足があげられています。その場合、「ホームスティ形式」などをとれば、特に問題は起こらなかったのですが、不動産オーナー(持ち主)がいない状態で有料で貸す、ということが、同じマンションの住民との問題(騒音やごみだしのルール等)やそもそも賃貸物件を貸す(いわゆる「又貸し」)などの賃貸借契約違反などの問題が起こっているのも事実です。
 後は、既存のホテル等の事業者との関係もこれから問題になってくると思います。なぜなら、お客さんを泊めるという営業自体は同じであるから、同じ条件のもとでの競争でないとフェアではないという主張はもっともなことであるし、法令を遵守し、多額の費用を投じているホテル等の事業者は、納得できないということも当然の考えだと思います。

 次回は、これらの問題点に対する動きや法令違反にならないためにはどうすればいいかなどを中心にお話させていただきます。

回答者 行政書士 和田 好史
和田法務事務所
行政書士 和田 好史
福岡市中央区渡辺通り5-15-6縄田ビル1F
TEL092-752-6116 FAX092-752-6116 
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