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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《平成28年6月号》
成年後見制度に関係する法改正について

【初めに】
 今回は、今年の4月に成立した「成年後見制度に関係する最近の法改正」(成年後見制度利用促進法及び改正民法並びに家事事件手続法の一部を改正する法律)についてお話させていただいています。

【1.成年後見制度利用促進法について】
 成年後見制度利用促進法は、様々な需要を把握して、後見人の担い手を育成するなど制度の利用を促す趣旨のものです。そして、同時に以下の3点を中心に検討することを決めています。  @被後見人の権利制限のあり方
 →被後見人の権利が制限されすぎないよう検討する。(意思決定の尊重や基本的人権の観点等から)
 A後見人の事務範囲
 →なるべく実務に近い形にしていき、後見人の仕事がしやすい環境を作っていく。
 B後見人を監督する家庭裁判所の人員体制の整備
 →申請事務の受付や管理、後見人による不正や横領等に適切に対応できる人員を増員する努力をする。
 これら3点を中心に施行後3年以内に法制上の措置を講じるよう政府に求めています。それらを推進する体制として、首相とトップとする「成年後見制度利用促進会議」を内閣府に設け、その会議は専門家による委員会に制度のさらなる普及などを図るための基本計画案を諮問します。政府はそれを踏まえて、基本計画を閣議決定する予定です。

【2.改正民法・家事事件手続法について】
 民法及び家事事件手続き法の改正された点は、ポイントとしては以下の3点です。
 @後見人が被後見人宛ての郵便物の配達を受けて、請求書等の郵便物を開封することが出来ること。
 A被後見人の死後に火葬手続きをしたりできること。
 B被後見人の死後の後見人の権限として、相続人に引き継ぐまで財産の保存ができ、その中で相続財産に属する債務の弁済なども付け加えられました。
 これらの3点のことは、以前から改正を求められていた点ではあります。「財産管理」という後見人の重要な仕事の中でどうしても郵便物の開封などは必要になってきますし、AとBの死後事務に関しては被後見人が亡くなったから、すぐ終わりという訳にはいかないのが実務上のお話でした。ですので、ようやく少し実務に即した改正になっているのは事実です。
 今回の改正等で、成年後見制度の利用が増えていくことと後見人の担い手の増加につながることを願っていますが、まだまだ制度の自体の正しい理解や安心してお任せできる人が回りにいない(独居者や親族が遠方にいる、あるいは疎遠の方)などの根本的な問題は、それぞれの地域の行政や専門職、NPO法人等がうまく連携していかないと解決できない問題だと個人的には感じています。

回答者 行政書士 和田 好史
和田法務事務所
行政書士 和田 好史
福岡市中央区渡辺通り5-15-6縄田ビル1F
TEL092-752-6116 FAX092-752-6116 
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