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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《平成28年8月号》
道路交通法改正あれこれ

【初めに】
 今回は、少し前にはなるのですが、道路交通法が改正されていた点を、一部ではありますが、皆様にお伝えさせていただければと思っています。

【準中型自動車免許の新設 車両総重量3.5トン以上、7.5トン未満】(2017年6月16日までに施行)
 準中型自動車免許制度は、中型貨物自動車などに限定した新しい区分として新設されます。今までの中型自動車(車両総重量5トン以上11トン未満)は、20歳以上・普通免許保有2年以上が免許受験の条件であり、高卒の新入社員には、中型トラックを運転させることは出来ませんでした。
 しかし、新制度の準中型トラックは、18歳以上であれば普通免許の経験がなくても取得できますので、運送事業者の高校新卒者雇用が促進され、ドライバー確保にもつながると予想されて導入されました。一方で、事業用貨物自動車で最も人身事故の発生率が高いのは7トン〜8トン車のため、事業主さんは、より一層の安全対策が求められます。

【高齢運転者への臨時認知機能検査と講習の実施 認知症を疑う違反に限る】
 75歳以上の高齢運転手が認知機能の低下を起こした時に、お越しやすい違反行為をした場合、「臨時認知機能検査」を行うことになります。対象となる違反行為については別途政令で定められます。
 そして、臨時検査の結果、認知機能が低下している恐れがあると判断された高齢者に対しては、「臨時高齢者講習」が実施されます。講習は個別指導等により、認知機能の低下を自覚させ本人の状況に応じた安全な運転行動を指導するものです。
 また、認知症の恐れがあると判断された運転者に対して公安委員会は臨時適正検査(専門医による診断)を行うか、医師の診断書の提出を命じることができるようになります。専門医による診断等で認知症が認められた場合には、免許の取り消しか停止が行われます。(本人の意思とは関係なく)  尚、高齢運転者が、臨時機能検査や臨時高齢者講習を受けなかった場合も、免許の取り消しまたは免許の効力停止処分が実施されます。

【免許仮停止の範囲を拡大 酒気帯びまたは過労運転で人身事故を起こした場合】
 これはすでに昨年の6月に施行済みではありますが、交通事故を起こして、最長30日間の免許停止処分を受ける項目に、「酒気帯び運転または過労運転で事故を起こし、人を傷つけた場合」という項目が加わりました。
 過労運転が酒酔い運転などと同様に重大事故や死亡事故につながりやすい危険行為であるという観点から、死亡事故に限って免許仮停止の対象としていましたが、この処分を厳しくし、危険な運転者をいち早く道路交通の場から排除して、交通の安全を確保しようとするのが狙いです。

 以上が、今後変わる予定またはすでに変更がある道路交通法の改正のご紹介です。いずれにせよ、運送業者さんであろうが、高齢者さんであろうが、「安全運転の確保」が最優先で、それが出来なければ免許返納(特に高齢者のドライバーさんについては)や車両のサイズを落としたりして、若いドライバーさんの確保ということになると思います。

回答者 行政書士 和田 好史
和田法務事務所
行政書士 和田 好史
福岡市中央区渡辺通り5-15-6縄田ビル1F
TEL092-752-6116 FAX092-752-6116 
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