【時間単位付与】
従来は、時間単位付与は違法とされていましたが、法改正によって「労使協定の締
結」があれば、時間単位で付与できることとなりました。 逆にいえば、労使協定の締
結をしない限り、時間単位で付与する必要はない、ということになります。 従って、
認める義務はない、というのが回答となります。
もし今後時間単位の付与を検討される場合は、労使協定で定める事項が規定されて
いますので、紹介します
(労基法39条4項)。
一 時間を単位として有給休暇を与えることができることとされる労働者の範囲
二 時間を単位として与えることができることとされる有給休暇の日数(5日以内に
限る)
三 その他厚生労働省令で定める事項
上記第3号の「その他厚生労働省令で定める事項」は、次の通りです
(労基法施行規則24条の4)。
一 時間を単位として与えることができることとされる有給休暇1日の時間数(1日
の所定労働時間数(日によって所定労働時間数が異なる場合には、1年間における1
日平均所定労働時間数。 次号において同じ。 )を下回らないものとする。)
二 1時間以外の時間を単位として有給休暇を与えることとする場合には、その時間
数(1日の所定労働時間数に満たないものとする。)
正職員を対象とし、パートは適用除外とすることもできます。
年間5日分が最大値なので、3日分と協定してもかまいません(貴事務所の場合、1
日8時間労働だから5日分なら5日×8時間で40時間分となります)。 「時間単位」と
いうと疑いなく「1時間」が単位と思ってしまいますが、労使協定で「2時間単位」等
と定めて差し支えありません。
【半日単位付与】
もともと年次有給休暇は「日」が単位で、半日単位の請求についても応じる義務は
ないとされています。 もちろん、半日単位で付与することは差し支えありませんが。
この取扱いについては、法改正後も変わっておりません。 従って、貴事務所の場合、
今回の年休請求に対しては、「半日単位」での対応が可能です。
一点注意したいのが、「半日」の取扱い方です。 単純に「午前」「午後」と区分する
と、貴事務所の場合は午前が3時間、午後が5時間となり、公平性を欠きます。 可能
なら、前半・後半とも4時間ずつ(9時〜13時勤務・14時〜18時勤務)として運用
すべきでしょう。
仮に、時間単位付与について労使協定する場合、半日単位付与を引き続き認めるか
どうか検討を要します。 何故なら、時間単位付与には年間の上限(5日分)があるか
らです。
貴事務所の場合、上限40時間分の時間単位付与ができることを前提に考えると、今
回ご質問のケースは「3時間取得」の他に「半日取得」の選択が可能となるからです。
半日取得の場合、年間上限の時間数に影響がありませんので、3〜4時間のときは半
日単位で取得し、年間上限40時間分は頻繁に(最大40日)1時間ずつ年休取得する、
という方法が可能となるからです。 事務所運営上、このようなリスクは事前に防いで
おくべきでしょう。
回答者 特定社会保険労務士 安藤 政明
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