【雇用保険適用基準】
雇用保険の適用要件は、法律で定められています。
民間の生命保険や損害保険等であれば、加入するかしないかは自由に決定することができますが、雇用保険は法律の要件を満たせば「強制加入」となります。
次の@及びAの両方に該当すれば原則として強制適用です。
@1週間の所定労働時間が20時間以上
A31日以上雇用の見込みがある(31日未満で雇用終了することが明らかでない)
まず@で、1週間の所定労働時間の要件として、「20時間以上」とされています。
1日4時間労働でも、週5日勤務であれば、週20時間となります。
従って、本当に短時間又は出勤日数が少なくなければ、@の要件を満たします。
次にAで、労働契約期間の要件として、「31日以上」とされています。
仮に31日未満の期間で契約した場合でも、更新の可能性がある場合は対象とされます。
※Aは、法改正で本年4月から変更された取扱いです。
本年3月までは、「6カ月以上の雇用の見込み」とされていました。
特に派遣労働者を保護することを目的とする改定のようです。
以上から、貴店のパート、アルバイトの多くの方が、法律上雇用保険強制加入であろうと推測します。
【適用除外】
雇用保険は既述の基準を満たせば法律上強制適用となりますが、例外として適用除外(雇用保険に加入できない)となる場合があります。
代表的な例は、次の通りです。
@昼間学生
A満65歳以上の労働者
B法人代表者と同居する親族
C副業の労働者
昼間学生は、仮に退職しても身分は「学生」であり、失業者とはなりません。
従って適用除外とされています。 但し、夜間学生や通信学生の場合を除きます。
満65歳以上の労働者は、退職しても年金受給となることが想定されているため、適用除外とされています。
但し、採用時に満65歳未満であれば強制適用で、満65歳到達後もそのまま高年齢継続被保険者となります(雇用保険料は免除です)。
法人代表者の同居親族は、原則として適用除外ですが、他の労働者と全く同様の立場で就労する場合は例外的に被保険者となることもあります。
副業の労働者は、本業の勤務先で被保険者となります。
【適用日】
雇用保険は、原則として入社日から適用です。
従って、既存の労働者の手続をしてない場合は、入社日まで遡って加入しなければなりません。
但し、時効が2年なので、2年以上は遡りません。 ご質問のケースでは、2年間の遡及手続となります。
雇用保険は、手続をしたつもりでもうっかりしていないケースがあります。
この場合、労働者の賃金からは雇用保険料が控除されますが、公共職業安定所には加入記録がないことになります。
そして、退職時に気付いても、時効消滅前の2年しか加入期間が認められず、本人には不利益な取扱いとなってしまいます。
そこで、本年の法改正により、2年以上前の期間でも、賃金から雇用保険料控除されていたことが証明された場合は、その期間が認められるようになる予定です(本年中に施行予定)。
回答者 特定社会保険労務士 安藤 政明
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