【ノーワークノーペイの原則】
最初に賃金の基本を確認しておきます。
賃金の基本は、ズバリ「ノーワークノーペイの原則」です。
即ち、出勤しない日については賃金は発生しないことが基本です。
従って、欠勤の日はもちろん、各種休暇であっても原則として月給制なら賃金を控除することになります。
ノーワークノーペイの原則にも、例外はあります。
労働基準法上の例外として、貴社も活用されている「年次有給休暇(以下、「年休」)」があります。
年休は、その名称にも「有給」とある通り、ノーワークでありながら法律により賃金が保障されることになる例外中の例外です。
もう一つの例外として、会社の都合で従業員を休ませた場合は、賃金を保障しなければなりません。
「休業手当」とも呼ばれます(労働基準法では平均賃金の6割)。
以上の年休と休業手当は、仮に「当社は支払わない」と決めても認められません。
【法定休暇】
法定休暇制度として、年休の他に、公民権行使又は公の職務執行時間(裁判員休暇など)、産前産後休業、育児時間、生理休暇、育児休業、子の看護休暇、介護休業などがあります。
これらの法定休暇制度は、要件を満たすことで「休暇を取得すること」が認められる制度ですが、休暇を取得した日の賃金については、やはりノーワークノーペイの原則(無給)です。
例外として、会社が就業規則等で法定休暇について賃金を支給すると規定することは可能であり、そのように規定すれば逆に賃金支払い義務が生じます。
【法定外休暇】
ご質問では、忌引き休暇を付与されていますが、法定外休暇に該当します。
会社としては、このような休暇制度を設ける義務すらない制度という位置づけです。
一般に、忌引きの他、結婚休暇、創立記念日休暇等を制度化しているケースがあるようです。
賃金の考え方は、既述の法定休暇と同様で、原則は無給です。
しかし、会社が賃金を支払うと決めれば、支払うことになります。
今回のケースは、過去に具体的な事例もないようですが、原則として欠勤と同様に年休振替を意識されてますし、今後のことを考えても無給としておきたいところです。
【月給の給与計算(日割計算)】
月給制の場合、欠勤控除は日割計算となります。
日割計算のときの分母は、「年間平均の1カ月当たり所定労働日数」です。
貴社の所定労働日数が、仮に年間252日だとすると、これを12カ月で割った21日が「年間平均の1カ月当たり所定労働日数」です。
仮に月給額が21万円であれば、1日単価が1万円ということになります。
病気欠勤1日と忌引き休暇5日の6日分(6万円)控除して、総支給額は15万円、という計算方法です。
実際には端数が出ると思いますが、原則として円未満は1円に切り上げるか、又は四捨五入として下さい。
回答者 特定社会保険労務士 安藤 政明
|