【助成金制度の背景】
厚生労働省の各種助成金制度の中で、雇用関係の助成金は社会保険労務士が取り扱います。
そして、まず最初に助成金制度の背景を簡単に説明します。
最初に、とにかく「変更・改定」が多すぎることが挙げられます。
同じ助成金制度でありながら、先月と今月は提出書類が違うことなど珍しくありません。
その都度、その時点の取り扱い等を確認する必要があります。
次に、そう簡単に受給できるものではないことが挙げられます。
助成金は借入金とは異なり、返済不要の「もらえるお金」です。
融資を受けるときと比較してはるかに厳しい要件をクリアしなければならないと考えていただくとよろしいかと思います。
特に労働基準法関係の遵守は最低要件となります。
そして、受給できたとしても、かなり高い確率で忘れた頃に調査が入ります。
最後に、当たり前のことですが、助成金を受けることを目的に、当初予定していないことを無理矢理実施すべきではありません。
「もらえる」といっても、最低でも支出した範囲内での話ですし、必ず受給できるかどうかは保障がありません。
【介護事業専用の助成金制度】
介護事業専用の助成金制度として、「介護基盤人材確保等助成金」、「介護未経験者確保等助成金」という制度がありましたが、平成23年3月申請分までで廃止されました。
介護専用の助成金制度として、唯一残っているのは「介護労働者設備等整備モデル奨励金」です。
この制度は、介護労働者の身体的負担軽減や腰痛予防のため、移動用リフト等の介護福祉機器について導入・運用計画を提出し、労働局の認定を受けて
導入する場合に支給されるものです。 導入費用の半額(上限300万円)が奨励金となります。
創業時にはなかなか難しい投資かもしれません。
【地域再生中小企業創業助成金】
「地域再生中小企業助成金」は、介護事業だけを対象とする助成金ではありませんが、【福岡県】では次の6業種だけが対象とされ、介護事業を含んでいます。
【☆情報サービス業、○教育・学習支援業、☆社会福祉・介護事業
○食料品製造業、○金属製品製造業、☆洗濯・理容・美容・浴場業】
※上記○は、平成23年5月末までの創業に限る(☆は6月以降の創業も可)
この制度は、地域ごとに重点産業分野が定められ、対象となる業種を初めて創業した場合に、創業経費等の一部を助成する制度です。
主な受給要件は、次の通りです。
・法人等設立日から6カ月以内に、地域再生事業計画を提出、認定を受けること
・法人等設立日から1年以内に労働者の雇入れをすること
(週30時間以上、満65歳未満が本制度の「雇入れ」となります)
・事業主都合による退職者等がないこと
支給額は、法人等の設立・運営に要した対象費用の1/3相当額、雇入れ1名につき30万円です。
上限額は、雇入れ5人以上は500万円、5人未満は300万円ですが、6月以降の創業は上限額が半額に改定されます。
介護事業の創業の場合、この助成金制度が最適と考えられます。
回答者 特定社会保険労務士 安藤 政明
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