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福岡!企業!元気!のためのワンポイントQ&A 《平成24年1月号》
労働紛争の手段、方法
  質 問

【質問者】
 医療器具販売業(従業員数20名)

【質問内容】
 当社は、医療器具販売業で、従業員数は20名です。
 最近ある従業員が退職しましたが、 退職に際し、周囲に恨みつらみをを述べ、上司には「会社に対して何らかのアクションを起こします」と宣言して辞めていきました。
 恥ずかしい話ですが、当社の労働条件は良いとはいえず、上司と部下の規律はかなり厳しい方だと思います。
 即ち、思い当たるフシが多く、本人が何を要求してくるのか特定困難な状況です。
 そこで、何を要求されるかの前に、要求の手段、方法としてどのようなものがあるのか、教えていただけますでしょうか。

  回 答

 【背景】
 労働紛争件数は、飛躍的に増大しています。
 権利意識の高揚、インターネット普及等による情報収集の容易化等に加え、リーマンショック、東日本大震災による雇用不安定等の要因もあり、今後もこの傾向が続くと思われます。
 5年前、10年前の労務管理の常識が通用しなくなっています。
 このような背景から、特に個別労働紛争に関する相談機関、申告機関等も拡充され、多種多様のものが存在します。
 以下、制度等を紹介します。

【直接交渉】
 最初に、直接交渉による解決を目指して要求するケースをを挙げたいと思います。
 基本的に本人が貴社に直接交渉してくる場合と、代理人又は第三者と協同で交渉してくる場合とがあります。
 前者は、相談で専門的見解を確認するだけであり(相談窓口)、後者は専門家も原則として業務として関与します(委任)。
 [相談窓口]
 社会保険労務士、弁護士などの労働法専門家
 社会保険労務士会、弁護士会などが行う相談会、法テラス等
 労働基準監督署などの行政窓口
 [委任]
 弁護士(代理人)   → 代理人による交渉
 連合労働組合への加入 → 労働組合による団体交渉

【行政機関への申告、あっせん】
 次に、行政への申告及び紛争解決機関へのあっせん申立を紹介します。
 行政申告は、労働基準監督署への申告が中心になりますが、派遣法、セクハラ等一部は労働局が申告窓口となります。
 法違反があれば是正指導を受けることになります。
 是正勧告に従わないと、書類送検される可能性があります。
 一般に、サービス残業の支払いを求めて労働基準監督署に申告するケースが多いと思われます。
 あっせん申立は、あっせん委員を間に交渉するもので、成立して和解する場合と、解決しない場合とがあります。
 労働基準監督署が扱えない解雇問題、パワハラ問題等は、短期解決、費用がほとんどかからない等のメリットが大きいといえます。
 デメリットは、必ず解決するとは限らないことです。

【裁判手続】
 最後に、裁判手続です。
 労働審判は、3回以内の審理で行われ、原則3カ月以内に審判が下されます。
 通常訴訟と比較すると、早期解決を目指せる制度です。
 しかし、労働審判の結果にいずれか一方が不服申し立てすると、通常訴訟に移行されます。
 通常訴訟は、事案の内容次第で、相当期間を要しますし、弁護士費用もそれなりに要します。
 判決に不服がある場合、三審制で紛争が長期間に及ぶことがあります。
 労働審判、通常訴訟のいずれでも、審判、判決前に和解案が示されることが一般的です。
 当事者双方が和解案を受け入れれば、そこで和解が成立します。

回答者  特定社会保険労務士 安藤 政明

人事労務全般、就業規則・諸規程、監督署調査、労働紛争、社会保険、労災、給与計算、契約書
安藤社会保険労務士事務所
特定社会保険労務士・行政書士・一級FP技能士/CFP 安藤 政明
特定社会保険労務士・第二種衛生管理者 箭川 亜紀子
810-0041福岡市中央区大名2-10-3-シャンボール大名C1001
TEL 092-738-0808/FAX 092-738-0888/
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