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福岡!企業!元気!のためのワンポイントQ&A 《平成24年3月号》
パワーハラスメント
  質 問

【質問者】
 製造業(従業員数60名)

【質問内容】
 当社は、製造業で、従業員数は60名です。
 設立は昭和47年で、既に約40年の社歴があります。
 従業員間の関係は良好ですが、上下関係は比較的厳しい方だと思います。
 最近「パワハラ」という言葉が日常的に使用されるようになりましたが、実はこの問題で困っています。
 特に若い世代を中心に、上司から少し厳しく指導を受けただけで「パワハラです」とか言う者が増えつつあります。
 社内でパワハラ教育をしたいのですが、実は具体的にパワハラの基準がわかりません。
 根本的な問題ですが、パワハラとは、具体的にどのような行為をいうのでしょうか。

  回 答

 【法律上の定義】
 パワハラとは、「パワーハラスメント」の略語です。
実は、法律上の定義はありません。
 従って、法律上の明確な基準もないということです。
 それでは、何故パワハラが違法だといわれるのかというと、憲法上の人権問題、民法上の不法行為等がその根底にあるということになります。
 従来、一般にパワハラとは、「職務上の権限を背景に、本人の人格を傷つける言動をするなど、本人の意に反する行為をすること」のような感覚でとらえられてきました。
 簡単に言い替えると、「職場のイジメ」のような感じです。
 この「イジメ」が、民法上の不法行為となり、使用者責任を問われて賠償責任を負うという構図です。

【厚労省ワーキンググループによる類型化】
 パワハラは、具体的な定義がないまま、大きな社会問題となっています。
 このような実態を背景に、厚労省は、パワハラの定義を検討しています。
 平成24年1月末、厚労省のワーキンググループが、パワハラの定義に関する報告書をまとめました。
 これによると、パワハラは6つの類型にまとめられました。
 今後は、この報告書の基準が大きく影響するものと思われます。
 @身体的な攻撃
  身体への直接的な暴行、傷害など
 A精神的な攻撃
  脅迫、侮辱、暴言など
 B人間関係からの切り離し
  無視、隔離など
 C過大な要求
  遂行不可能な業務の強制、仕事の妨害など
 D過小な要求
  能力や経験と比較して極めて程度が低い仕事の強制、仕事を与えないなど
 E個の侵害
  私的なことに過度に立ち入ることなど
  ※報告書では、「上司→部下」だけでなく、「同僚→同僚」や「部下→上司」の行為もパワハラとなりうることが示されています。

【事業所の対応】
 以上の通り、報告書で定義らしきものが示されましたが、明確な基準とはいえない内容です。
 ただ、なんとなくかもしれませんが、概要はわかると思います。事業所としては、日ごろからパワハラ教育をすることが重要です。
 6つの類型について、周知徹底しておくことで、従業員(特に加害者側)に認識させたいところです。
 また、パワハラとなることを恐れて部下の指導等をしないケースが増えているといわれますが、これは本末転倒です。
 相手の人格を尊重しつつ、業務上必要な指導や叱責は堂々と行わなければなりません。
 パワハラ教育と同様、業務上の教育は必要不可欠なのです。
 パワハラが厄介なのは、このあたりかもしれません。

回答者  特定社会保険労務士 安藤 政明

人事労務全般、就業規則・諸規程、監督署調査、労働紛争、社会保険、労災、給与計算、契約書
安藤社会保険労務士事務所
特定社会保険労務士・行政書士・一級FP技能士/CFP 安藤 政明
特定社会保険労務士・第二種衛生管理者 箭川 亜紀子
810-0041福岡市中央区大名2-10-3-シャンボール大名C1001
TEL 092-738-0808/FAX 092-738-0888/
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