【特開金】
ご質問いただいた助成金制度は、『特定求職者雇用開発助成金』といいます。一般に、略して『特開金』といいます。
厚生労働省は、雇用等に関する助成金制度を多数設けておりますが、実態は、極めて複雑で支給要件が厳しいものが多く、「使えない」制度であるケースがほとんどといっても過言ではありません。しかも、頻繁に改正されるため、過去の助成金申請実績をベースに物事を考えると、痛い目に遭ってしまうのが現状です。
そのような中、この特開金制度は、比較的狙いやすく、申請手続等も複雑とまでは言えない制度です。しかも、助成金制度の歴史の中でも、古くから存在する制度で、今後も廃止等の予定もない制度です。
高齢者等の雇用をご検討される場合は、是非視野に入れて欲しい制度です。
【制度概要】
特開金は、単に高齢者を雇用すれば受給できるという制度ではなく、何点か要件があります。ちなみに、高齢者とは、満60 歳以上をいいます。
以下、制度の概要について説明致します。
<概要>
・公共職業安定所の紹介で雇用すること
・次のいずれかに該当する人を雇用すること
満60 歳以上の高齢者/母子家庭の母/身体障害者、知的障害者、精神障害者
・期間の定めのない雇用契約(又は自動更新による有期雇用契約)で雇用すること
<支給額(中小企業の場合)>
・雇入れ6 カ月経過後一般45 万円、短時間30 万円
・雇入れ1 年経過後一般45 万円(計90 万円)、短時間30 万円(計60 万円)
※重度障害者に限り、さらに雇入れ1 年6 カ月経過後にもう一回申請できる
※所定労働時間が週30 時間以上で「一般」、週20 時間以上30 時間未満で「短時間」
<不支給例>
・雇入れ6 カ月前から1 年間、解雇や退職勧奨等による退職者がないこと
・賃金、残業代等の未払いがないこと
・労働保険料の滞納がないこと
・形式的に公共職業安定所紹介としないこと(事前面接等)
【注意事項】
よくある例として、既に採用が決まり、それから改めて公共職業安定所の紹介を受けようとすることがありますが、これは不正受給です。また、解雇や退職勧奨があった場合や、残業代等を支払っていない事業所も、助成金支給対象とはなりません。
支給申請は、雇入後に最初の賃金計算期間1 カ月の初日から締切日まで在籍した月から起算して6 カ月経過した日から1 カ月間です(1 年後も、同様に経過した日から1カ月間)。期間を経過すると支給申請ができなくなります。
また、助成金を受給すると、後日会計検査院の調査が入ることがあることにも留意しておく必要があります。
回答者 特定社会保険労務士 安藤 政明
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