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福岡!企業!元気!のためのワンポイントQ&A 《平成25年2月号》
65歳継続雇用義務に備えて
  質 問

【質問者】
 IT 業(正社員45 名)

【質問内容】
 当社は、WEB 制作その他IT 関連企業です。設立は10 年前で、当時の当社の平均年齢は30 歳前後で、最高齢の私(代表取締役)も35 歳でした。しかし、創立10 周年となり、気付くと平均年齢も35 歳前後と約5 歳上昇し、私より年上の50 歳の社員も存在するようになりました。
 少し前までは、定年の話しは全く関係ないと思っていましたが、最近は切実な問題となりつつあります。IT 関係の進歩のスピードは異常に速く、40 代くらいになると人にもよりますが、新しい技術についていくことが困難になりがちです。そこで、定年は45 歳くらいにしたいのですが、法律上60 歳未満にできないため、60 歳としております。その上、法改正で65 歳まで継続雇用が義務づけられたと聞きました。
 法律上の最低限の義務は遵守せざるを得ませんが、今のうちから対策できること等はありますでしょうか。

  回 答

 【継続雇用義務】
 ご指摘の通り、法改正によって、満60 歳の定年となった労働者についても、本人が希望する限り満65 歳まで継続雇用することが義務づけられました。この背景には、厚生年金の支給開始年齢の繰り下げによる無年金期間の対応があります。本来国民生活のことですから、事業所に押しつけるのではなく、国家として対応して欲しいところと言いたくなりますね。

【雇用基準の適用】
 法改正前は、満60 歳の定年後については、継続雇用の可否を判断する基準を労使協定で定めることが認められています。基準を満たせば満65 歳まで雇用する義務を負うことから、今回の法改正によって劇的に変わる訳ではありません。しかし、従来基準に引っかかって継続雇用を拒否できた労働者についても雇用義務を課されることは、事業所にとっては厳しいといえるでしょう。
 さて、平成25 年4 月から一気に65 歳までの継続雇用を義務づけるものではなく、猶予期間として3 年ごとに1 歳ずつ繰り下げられて、最後に65 歳となります。
 平成25 年4 月〜平成28 年3 月61 歳
 平成28 年4 月〜平成31 年3 月62 歳
 平成31 年4 月〜平成34 年4 月63 歳
 平成34 年4 月〜平成37 年3 月64 歳
 平成37 年4 月〜       65 歳
 即ち、改正後平成37 年3 月までの12 年間は、表の年齢から65 歳までの間の継続雇用については、基準を適用し、基準を満たさない者は継続雇用しないことが可能です。この場合、基準の内容について平成25 年3 月末までに労使協定を締結していることが条件とされていますので、もし未締結の場合は、直ちにご対応下さい。
 貴社の場合、継続雇用の基準として、健康状態等の他、業務遂行能力について定めたいと考えることになります。しかし、能力不足を基準とする場合、恣意的な判断とならないよう、明確な基準を定めることが求められます。具体的には貴社にてご検討いただかざるを得ませんが、客観的に明確に判断できる基準であることが必要です。

【その他の対応事項】
 以上の通り、少なくとも将来的には、本人が希望する限り継続雇用せざるを得なくなります。貴社としては、そのことを見越した労務管理が求められます。
 例えば、IT 関係以外の比較的年齢に関係なく遂行可能な業務を見出し、IT 業務遂行能力の低下にともなって異動させていくことも考えられます。また、賃金制度を見直し、能力に応じて賃金を逓減できるしくみをつくることも重要です。特に60 歳以後の賃金は、60 歳前の賃金と比較して5 〜 7 割程度に削減することが一般的です。この機会に、賃金制度を含めて現実的な内容に見直すことをおすすめ致します。

回答者  特定社会保険労務士 安藤 政明

人事労務全般、就業規則・諸規程、監督署調査、労働紛争、社会保険、労災、給与計算、契約書
安藤社会保険労務士事務所
特定社会保険労務士・行政書士・一級FP技能士/CFP 安藤 政明
特定社会保険労務士・第二種衛生管理者 箭川 亜紀子
810-0041福岡市中央区大名2-10-3-シャンボール大名C1001
TEL 092-738-0808/FAX 092-738-0888/
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