【産前産後休業期間の社会保険料免除】
出産育児に関して、どんどん優遇策が追加されています。以前から育児休業期間中は社会保険料免除でしたが、今年 4 月からは産前産後休業期間中も社会保険料免除となりました。この結果、女性従業員は、産前 6 週から子が 1 歳に達するまで休業した場合、この休業期間はすべて社会保険料免除を受けられることになりました。
【育児休業制度の確認】
育児休業制度は、女性だけでなく男性も取得可能です。さらに、両親とも 育児休業を取得する場合は、一方について子が 1 歳 2 カ月まで育児休業期間を延長することが可能となります。通称「パパ・ママ育休プラス」と呼ばれるものです。貴社の男性従業員が、産後 8 週間育休取得し、2 カ月勤務してから再度 10 カ月育休を取得を希望しています。これは 1 歳 2 カ月まで延長を利用したものです。育休は最長 1 年までしか取得できませんので、途中 2 カ月出勤するという「計算」がなされているようですね。
【育児休業給付の増額改定】
育児休業期間中に対しては、育児休業給付金が支給されます。支給率は、休業開始前賃金の 50 %でした。これが、今年 4 月からは、育児休業期間の当初 6 カ月については 67 %に増額されることになりました。それでも本人にとっては収入が大きく減少するように感じられますが、 給付は非課税で、 その期間は社会保険料負担もありません。実質手取りとしての目安は、67 %は約 8 割、50 %でも約 6 割とみていいでしょう。
夫婦合算の収入目安は、夫婦 2 名の満額給与収入を【2.0】として、産前 6 週は【夫給与満額+妻実質 8 割:1.8】 、 産後 8 週は 【夫実質 8 割+妻実質 8 割:1.6】 、 それから 2カ月は【夫給与満額;妻実質 8 割:1.8】 、 続く 4 カ月は【夫実質 8 割+妻実質 8 割:1.6】 、さらに子が 1 歳に達するまでの 4 カ月は【夫実質 6 割+妻実質 6 割:1.2】 、さらに子が 1 歳 2 カ月に達するまでの 2 カ月は【夫実質 6 割+妻給与満額:1.6】と推移することが見込まれます。ほとんど働くことなく、収入はさほど減少しないのです。
【時代の流れ】
今回の育児休業給付金の増額改定は、実質手取り約 8 割を保障することで、さらに育児休業の取得を促進しようとする意図がはっきり読み取れます。従来女性の取得率はかなり高まっていますが、男性取得率は以前 2 %程度に過ぎません。政府は、明らかに男性取得率の増加を狙っているものと思われます。それでも、公務員や大企業を除き、そう簡単に増加するとは思えません。しかし、貴社の例のように、今後は中小企業でも男性の育児休業取得例が少しずつ増加する可能性が考えられ、ちょっと酷な気がします。少ない人数のうち、夫婦とも従業員の場合など、特にそうですね。
回答者 特定社会保険労務士 安藤 政明
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