【付与日数】
一般労働者への年休付与日数は、 勤続 6 カ月で 10 日、 以後 1 年ごとに 11 日、 12 日、 14日、16 日、18 日、20 日です。勤続 6 年 6 カ月で 20 日に達し、以後毎年 20 日です。
パートタイマーであっても、所定労働日数が週 5 日以上の場合は、年休付与日数は同じになります。 「パートなのに」と思われるかもしれませんが、パートですから年休 1日あたり価値は短い労働時間で、貴社の負担も正社員よりも少ないことは認識されておいて下さい。
週 4 日以下の場合の年休付与日数は、比例付与という制度によって、所定労働日数に比例して正社員よりも少ない日数となります。ただ一点だけ例外があり、週 30 時間以上勤務の場合は、 通常の年休付与となります。 例えば、 週 4 日・1 日 8 時間だと週 32時間となり、年休付与日数は通常通りです。週 4 日でもともと休みが多いのに正社員と同じ日数の年休付与義務ですから、法律に瑕疵があると考えております。
さて比例付与ですが、週 4 日の場合で、勤続 6 カ月で 7 日、以後 1 年ごとに 8 日、9日、10 日、12 日、13 日、15 日です。同様に[週 3 日]5 日、6 日、6 日、8 日、9 日、10日、11 日、 [週 2 日]3 日、4 日、4 日、5 日、6 日、6 日 7 日、 [週 1 日]1 日、2 日、2日、2 日、3 日、3 日、3 日です。
【工夫して減らす方法】
貴社はパートの勤務日をその都度シフトで決めているようですね。 年休比例付与は、週によって所定労働日数が異なる場合は、年間所定労働日数で判断します。例えば、週 4 日:年 169 日〜 216 日、週 3 日:121 日〜 168 日、週 2 日:73 日〜 120 日、週 1日:48 日〜 72 日です。仮に週 3 〜 4 日勤務の場合、平均して月 14 日だとすると、単純に 12 倍すると 168 日です。 これなら、 ぎりぎりで 「週 3 日」 の比例付与となります。
しかし、年間であと 1 日でも多いと、169 日となって「週 4 日」の取扱いとなってしまうのです。
この数値を意識してシフトを作成されることと、 その前に個別の雇用契約書等で 「週3 〜 4 日勤務(年間 168 日以内) 」等と記載されることで、年休付与日数を少しでも抑制できる可能性が考えられます。
【年休取得日の給与】
年休付与日の給与は、@通常労働した場合の給与、A平均賃金、B健康保険標準報酬日額、の選択肢があります。Bは、貴社のパートタイマーは所定時間が短く健康保険 被保険者でないと思われますので、残された選択肢は@かAです。
結論は、給与計算が面倒でなければ、Aが支払い額が低く抑えられます。例えば、時給 1000 円、 月 14 日、 1 日 5 時間 (1 日 5000 円、 月 7 万円) の場合、 @は年休 1 日 5000円です。Aの場合、平均賃金の計算式(直近 3 カ月分の総給与額を、直近 3 カ月の総日数で割る)に当てはめると、7 万円× 3 カ月÷ 91 日≒ 2308 円となります。最低 6割保障ルールがありますから、5000 円× 6 割= 3000 円がAによる年休 1 日分の支払額です。計算は面倒でも、パートタイマーが多い場合は有効かと思います。
回答者 特定社会保険労務士 安藤 政明
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