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福岡!企業!元気!のためのワンポイントQ&A 《平成28年7月号》
固定残業代制度はブラック企業?
  質 問

【質問者】
 販売業(正社員 30 名)

【質問内容】
 当社は、販売業を営む株式会社です。従業員の大半は営業職で、恒常的に残業があります。そのため、営業手当の名目で、固定残業代を設定しています。基本的に月 45時間分の残業代相当額とし、実際の残業時間が月 45 時間を超過したら、超過分は別途支給しています。
 おかげ様で業績好調のため、新規採用をすすめています。残念ながら最近はなかなか応募がありません。そして、やっと応募があっても、当社が希望する人材ではないことが多く、本当に悩んでいます。
 そのような中、ぜひ欲しい人材がいて、採用即決しました。ところが、本人から固定残業代の制度がひっかかることを理由として、辞退の申し出がありました。本当にがっかりしました。
 実は、面接で固定残業代についていろいろと聞かれるのは今回が初めてではありません。また、過去には、固定残業代があるだけでブラックだと言われたこともあります。固定残業代はきちんと確認をとって合法的に運用しているつもりですが、やめた方がいいのでしょうか。

  回 答

 【ブラック企業とイメージ】
 貴社は、固定残業代について合法的に運用されているということですから、詳細は分かりませんが、少なくともブラック企業と言われる筋合いはありませんね。そもそもブラック企業という言葉自体、きちんとした定義があるわけではないため、個々人が主観的に使用しているケースが多いように感じます。
 結論だけ言えば、特に若い世代において、固定残業代に対するイメージが良くないことは確かです。ただ、イメージが良くないだけであり、固定残業代がそのままブラックかというとそうではありません。各事業所の固定残業代には、合法的なものもあれば、中には違法なものもあるのが実態です。

 【事業所の悩みどころ】
 本来的な固定残業代制度は、例えば月給 20 万円に、別途 5 万円の固定残業代を支給するものです。事業所にとっては、5 万円分の残業がなくても 5 万円を支給しなければならないため、実際の時間に応じて支給した方が有利なはずです。しかし、採用に際しては、総額 20 万円と 25 万円とでは、やはり 25 万円の方が応募者の目にとまりやすいと考えられるわけです。即ち、貴社の場合、具体的な給与額の設定はわかりませんが、営業手当(固定残業代)制度を廃止すれば、求人の条件としての固定給総額が低くなることになります。それで構わなければ、廃止してもよいでしょう。
 廃止すると、実際の残業時間数の状況にもよるのですが、恒常的にある程度の時間数の残業があるわけですから、その時間数によって直接給与が増減することになります。従来も営業手当の 45 時間相当を超過すればそうだったのですが、今後は 45 時間以内も時間数次第となるわけです。事業所の視点として、特に営業職に対しては、労働時間数よりも営業実績を重視したいわけですが、現実の給与額は時間が長い方が高いという状況になりかねないわけです。このあたりは、固定残業代だけでなく、全体的な給与制度の見直しも視野に入れる必要があると思われます。

 【固定残業代継続】
 固定残業代制度を継続する場合は、とにかく合法的な運用を継続し、いつ誰に聞かれても堂々と回答できる状況にしておくことが必要不可欠です。

回答者  特定社会保険労務士 安藤 政明

人事労務全般、就業規則・諸規程、監督署調査、労働紛争、社会保険、労災、給与計算、契約書
安藤社会保険労務士事務所
特定社会保険労務士・行政書士・一級FP技能士/CFP 安藤 政明
特定社会保険労務士・第二種衛生管理者 箭川 亜紀子
810-0041福岡市中央区大名2-10-3-シャンボール大名C1001
TEL 092-738-0808/FAX 092-738-0888/
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