【選択】
平成30 年4 月以降は、有期契約を更新し、通算5 年を越えたときは、労働者本人の申出だけで事業所の意思と無関係に無期契約に転換することになります。貴社の場合、無期転換を受け入れるか、又は空白期間(クーリング期間)を活用して再雇用するか悩まれているようですね。
両者とも、同じ労働者に継続又は断続して働いてもらいたいという点で共通します。この観点からいえば、継続更新して無期転換を受け入れた方が、労働者も安心するでしょうし、空白期間に人材流出してしまうリスクも抑えられ、人材定着・確保の観点から良いと考えられます。一方で、万一受注激減等の事態への予防策として考えたときは、空白期間をおくことで、人員調整が容易にできるというメリットが考えられます。但し、空白期間経過後の再雇用を約している実態があるのであれば、訴訟に至ったときに本当に雇止めが認められるかどうか、不安は残りますが…
様々な方法が考えられますが、ある程度の予防策もとりつつ、無期転換を受け入れていく方針とされるのがベターかと考えます。
【従業員の定義】
パート社員の場合、元々「短時間労働者」であると思われます。仮に有期契約のパート社員と無期契約のパート社員が混在しても構いません。
一方で契約社員の場合、「契約」の意味が「契約期間」を意味していると思われます。「有期契約社員」は違和感もありませんが、「無期契約社員」では違和感がありますね。正社員だって無期契約社員だからでしょう。といいつつも、法律上は何ら定めも制限もありませんから、就業規則に「無期契約社員」の名称と定義を明示すれば、それはそれで問題はありません。ただ、最近の流れとしては、これも法律用語ではないのですが、「限定社員」のような呼称が好まれているようです。この「限定」の意味は、職種や勤務地の限定というものです。貴社の場合、職種が機械工に限定されていますから、このような名称でもよいかもしれません。
いずれにしても、就業規則に明示することが重要です。
【クーリング期間】
空白期間を用いる手法として、「2 年11 カ月契約、6 カ月経過後再雇用」という方法を検討されている事業所があるように聞きます。これは、有期契約を3 年未満で雇止めすると、本人が3 カ月の支給制限無しで失業等給付を受給できるためです。6 カ月の空白期間中は、失業給付と事業所からの何らかの手当又は退職金等によって生活するという考え方です。
しかし、厳密にいえば、半年後の雇用を約していれば、本人は求職の申込みができないので、失業等給付は受給できないはずです。不正受給ということです。しかし、本人が求職の申込みをし、その後心の変化があって元の仕事に再雇用されたということにしてしまえば、内心の変化は他人から読み取れないため問題とならないのでしょう。この方法は、道徳的に問題がありますから、お奨めできません。
回答者 特定社会保険労務士 安藤 政明
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