【法定雇用率】
障害者の法定雇用率とは、雇用する労働者数に応じて障害者を雇用することを義務づける制度で、その労働者数に対して雇用すべき率をいいます。
これまでの法定雇用率は、2.0%でした。仮に労働者数100 人の場合、2.0%だから障害者2 人を雇用することが義務づけられることになります。労働者数50 人で1 人ですが、49 人の場合は2.0%は「0.98 人」なので、1 人を下回るため障害者雇用義務がないという取扱いだったのです。ところが、平成30 年4 月から、この法定雇用率が2.2%に引き上げられました。計算上、労働者数が45.5 人以上で、障害者1 人を雇用する義務が生じることになります。
【精神障害者】
障害者雇用率の算定において対象となる障害者として、平成30 年4 月から正式に精神障害者が加えられました。もともと、身体障害者及び知的障害者が対象とされていましたが、さらに対象者として追加されたという話しです。従って、貴社の場合で1人の障害者の雇用義務について、必ず精神障害者を雇用しなければならないという意味ではありません。
ただ、障害者数として、近年は精神障害者数が増加しております。就労可能な障害者の求職者数に占める精神障害者の割合は、かなり高いものと推測できます。確かに貴社の業務内容の場合は、精神障害者では困難なイメージはあります。しかし、同じ精神障害者であっても程度や症状等は個々に異なります。個別に、できること、できないこと等をよく確認の上、採否を決定されるとよろしいかと考えます。決して、できないとわかっていて雇用しなければならないというわけではありません。そうでなければ、貴社だけでなく、雇用される本人にとっても極めて不幸な話しです。
【義務違反のペナルティ】
法定雇用率を達成できない場合、不足人数1 人につき月額5 万円の納付金を支払う必要があります。但し、これは労働者数200 人を越える事業所の場合で、100 人を越え200 人以下の事業所は月額4 万円です(平成32 年3 月までの減額特例)。そして、100人以下の事業所については、納付金制度が適用されません。即ち、実質的にペナルティがないということになります。
しかし、今後他の代理店を合併して人数が増加する予定もあるようですし、そもそもペナルティがないだけで法律上は障害者を1 人雇用する義務があるわけですから、意識して取り組んでいただきたいと思います。
【特定求職者雇用開発助成金】
障害者雇用の場合、ハローワークから紹介を受けて雇用すれば助成金が支給される制度があります。週30 時間以上の所定労働時間で雇用した場合、雇用後半年ごと2 年間にわたって各30 万円(2 年間で合計120 万円)支給されます。また、重度障害者だけでなく、45 歳以上の障害者を雇用した場合は、半年ごと3 年間にわたって各40 万円(3 年間で合計240 万円)が支給されます。助成金受給は、労働法遵守等の要件も極めて厳しいので、検討される際はよくご確認下さい。
回答者 特定社会保険労務士 安藤 政明
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