【大原則と例外】
外国人雇用に関しては、まずは「大原則」を認識することが必要です。大原則は、「日本国内において、外国人は就業できない」という考え方です。そして、この大原則を前提として「例外」について定めているのが、在留資格制度です。
在留資格制度とは、「外国人が日本に在留する資格」を定めるもので、出入国管理及び難民認定法(入管法)で規定されています。在留資格がない外国人が日本に滞在することは、不法滞在ということになります。もちろん、就労することはできません。
【在留資格と就労】
日本に在留する資格がある外国人であっても、就労できるかどうかは別問題です。
大原則が「外国人は就労できない」なので、例外として認められる場合も、「外国人を雇用する必要性や正当な理由」が必要ですし、認められた範囲の職務に限られます。
職種を限って就労が認められる在留資格には、様々な種類があります。「外交」、「公用」等の公務に限られる在留資格も含めて、18 種類あります。民間企業が外国人を雇用する場合の主な在留資格について、該当例と併せて紹介します。
・「教授」大学教授等
・「技術・人文知識・国際業務」機械工学等の技術者等、通訳、デザイナー、語学講師等
・「興行」俳優、歌手、プロスポーツ選手等
・「技能」外国料理の調理師、スポーツ指導者等
・「技能実習」技能実習生
この「技術・人文知識・国際業務」等の在留資格によって認められる業務は、あくまでもその在留資格によって認められた範囲に限られます。たとえば、日本の士業の資格で、社会保険労務士の資格を有していても、税理士の資格がなければ税理士業務は行えません。これとよく似ています。仮に貴社が海外取引のための通訳業務を前提に「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を有する外国人を雇用したいといっても、通訳業務しかさせられないため、海外取引がなければ事実上雇用する意味がありません。貴社の詳細がわかりませんが、海外取引のない各種商品販売業の場合、少なくとも現時点で外国人の雇用は実質的に困難だと思われます。
【就労制限のない在留資格】
貴社は、外国人アルバイトを雇用しています。「留学」の在留資格で日本に滞在する学生だと思われます。「留学」の在留資格は、原則として就労が認められないのですが、本人が資格外活動許可を受けることで、週28 時間以下(夏休み等は長時間可)に限ってアルバイト等が認められます。この場合、職種等の制限もないので、単純作業等も可能になるわけです。
あと、特別な在留資格として、「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「定住者」があります。これらの在留資格については、外国人のまま日本人と同様に制限無く就労することが可能です。
【今後の在留資格】
既述の通り、原則として外国人は通常の雇用はできず、外国人である必要性や正当理由がない業務での雇用は不可能です。しかし、近い将来に緩和され、外国人である必要性等が全くない単純労働等が可能になる方針が打ち出されました。この方針に基づく改正法が施行された場合、貴社においてもアルバイトの他に通常の労働者とし外国人雇用が可能になると思われます。実際に雇用してしまえば、その後は日本人と同様に労働法や社会保険等が適用されることにご留意ください。
回答者 特定社会保険労務士 安藤 政明
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