【原則】
パート職員であっても、 「労働契約」において「労働条件」を定めて契約していることになります。その結果、12 月 21 日〜 1 月 20 日の所定労働日数が少ないことは、その契約によるものに過ぎません。従って、原則としては、特に何か対応する義務はないということになります。
しかし、義務がないからといって全く対応しないことで、転職されても困るという感じのようですね。現在検討されている 3 つについて、考えてみたいと思います。
【3つの検討】
まず貸し付けですね。メリットは、対応が簡単であることです。返済方法を定めて、貸し付けるだけです。注意しておきたい点は、返済を給与控除とする場合は、原則として賃金控除協定を締結する必要があることです。協定が無い場合でも、裁判例によれば本人の自由意思により給与控除を希望しているのであれば、 問題にはなりません。デメリットは、返済月の手取額が減ることが生活に影響する可能性が考えられることと、返済期間等にもよりますが突然の退職により回収不能となる可能性も考えられることです。
次に所定休日の出勤ですね。メリットは、給与として支払えることです。返済がないことは本人にとって大きなメリットでしょう。デメリットは、事務所の業務上の必要性ではなく、本人の都合を優先させた休日出勤であることです。将来も、資金不足の際に業務上の必要性のない休日出勤を希望することになりかねませんし、他の職員が同様の希望を申し出る可能性も考えられます。
最後に特別手当ですね。 メリットは休日出勤と同様に給与として支払えることです。また、本人にとっては最も有り難い対応と言えるでしょう。デメリットは、他の職員との公平性の問題、毎年 1 月の給与で同様の対応をしなければならなくなる可能性が考えられること、ゴールデンウィーク等他の月にも同様の対応を求められる可能性が考えられること等が挙げられます。
【結論】
3 つの対応策から選択する場合、結論として金銭貸し付けが最も妥当だと考えます。業務上必要性のない所定休日出勤はさせるべきでないですし、特別手当も公平性や今後の問題等が大きすぎるからです。貸し付けの場合は、職員であっても必ず金銭消費貸借契約書を作成し、厳格に対応して下さい。
少し視点を変えますが、貴事務所は、正職員にだけ各種手当てがあって、パート職員は対象外としていませんか?同一労働同一賃金の流れから、特に諸手当による格差については、かなり厳しい判断がなされております。もし正職員にだけ支払っていることが客観的に認められ難いような手当がある場合は、当該手当をパート職員にも支給することを検討することで、 今回の対応を兼ねることも考えられるかもしれません。
回答者 特定社会保険労務士 安藤 政明
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