【働き方改革】
働き方改革関連法は、個人事業か法人事業かは無関係のため、個人事業であっても適用されます。根本的に、個人事業であっても労働法は適用されるのです。
【年次有給休暇】
働き方改革と無関係に、昔から、労働基準法が個人事業でも労働者には年次有給休暇(以下「年休」 )を付与する義務を課しています。労働者とは、正規、非正規等の区分はなく、貴店の場合は従業員とパートの全員が含まれます。そして、継続勤務 6カ月で、最初の年休が付与されます。即ち、付与日数の違いはありますが、それぞれ採用時から半年後(約 10 年前)から、年休はあったのです。年休の時効は 2 年ですから、少なくとも過去 2 年以内に付与された年休は、今も実際に「使える」年休です。
本人が取得しなかった年休は、時効で消滅します。ある意味、過去の年休が消滅したことは、違法というわけではありません。働き方改革で変わるのは、年休 10 日以上付与される労働者に対しては、年間 5 日については事業所が時季指定して取得させなければならなくなったことです。週 3 〜 4 日のパートでも、勤続.3.5 年(週 3 パートは 5.5 年)で年休 10 日付与ですから、貴店のパートはおそらく全員が時季指定の対象となると思われます。
【休日】
休日の問題も、働き方改革と無関係に、昔から労働基準法に定められています。休日自体は週 1 日でも違法ではありませんが、労働時間は原則週 40 時間、貴店は 10 人未満の特例事業場のため週 44 時間以下としなければならないのです。
即ち、休日週 1 日のままであれば、出勤 6 日で 44 時間、即ち 1 日あたり 7 時間 20分にしなければなりません。現在、拘束時間 10 時〜 22 時で休憩 2 時間なので、1 日労働時間は 10 時間です。仮に 1 日 8 時間労働で残業が 2 時間と考えても、週 5 日 8 時間、週 1 日は 4 時間となってしまいます。1 日 8 時間とするためには、少なくとも隔週 2 日の休日が必要です(1 カ月単位の変形労働時間制を採用の上) 。
ちなみに 1 日 10 時間労働の場合、週 6 日労働であれば週 60 時間労働です。労働基準法上は 44 時間ですが、過重労働等の基準は週 40 時間ですから、20 時間超過しています。1 カ月累計で、80 時間を越えますので、いわゆる過労死ラインです。休みが月に 2 日増えるだけで、1 カ月累計は 60 時間台になると思われます。ここで働き方改革が出てきますが、残業上限時間は 1 カ月累計 45 時間が原則です(年間 6 カ月以内のみ例外あり) 。週 60 時間労働だと、週 44 時間を 16 時間超えて 1 カ月累計 60 時間超となりますが、月 2 日休日が増えれば 45 時間以下に収まりそうです。従業員の退職防止のためだけでなく、貴店が合法化を目指すためにも、隔週休 2 日とすることをご検討いただきたいと思います。
回答者 特定社会保険労務士 安藤 政明
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