【医薬品等に関する法律】
薬の関係は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」という長い名称の法律で規制されています。この法律は、かつての「薬事法」から名称が変更されたものです。
薬事法は専門外ですが、医薬品は第一種、第二種、第三種と区分されているようで、このうち第一種医薬品については薬剤師による積極的な情報提供が義務づけられているようです。即ち、薬剤師による説明を要する医薬品を置いていると、法違反になる可能性がありそうです。
【産業医、自己責任】 50 人以上の事業所であれば、産業医の選任が義務づけられています。この場合は、常備薬を飲む前に産業医に確認できれば、飲んでも問題ないと考えられます。
薬剤師による説明義務のない範囲の医薬品で、たとえば常備薬担当者等が症状を聞いてから薬を選んで本人に渡すようなことはせず、本人が自らの意思で薬を選択して飲むのであれば、特に問題ないように考えられます。
結論として、常備薬を置いているだけで必ず違法となるとは限らないということになります。
【労働安全衛生規則】
労働安全衛生規則という細かい法令があります。この規則には救急用具に関して次の規定があります。
第 633 条(救急用具)
事業者は、負傷者の手当に必要な救急用具及び材料を備え、その備付け場所及び使用方法を労働者に周知させなければならない。
2 事業者は、前項の救急用具並びに材料を常時清潔に保たなければならない。
第 634 条(救急用具の内容)
事業者は、前条第一項の救急用具及び材料として、少なくとも、次の品目を備えなけれ ばならない。
一 ほう帯材料、ピンセツト及び消毒薬
二 高熱物体を取り扱う作業場その他火傷のおそれのある作業場については、火傷薬
三 重傷者を生ずるおそれのある作業場については、止血帯、副木、担架等安全衛生規則には、「トイレは男女別に各 1 つ以上設置」等、本当に細かい規定が多く定められています。この中の 1 つが、上記救急用具の規定です。少なくとも第 634条第 1 号の「ほう帯材料、ピンセット及び消毒薬」は救急用具として備えていなければ違法とされるわけです。高熱物体を取り扱う事業所や重傷者を生ずるおそれのある作業場の場合は、さらに増えます。
細かい法令ですが、参考にされて下さい。
回答者 特定社会保険労務士 安藤 政明
|