【新型コロナウイルスと政府施策】
新型コロナウイルス感染症の影響は、本当にはかりしれません。とにかく早期収束を祈るばかりです。
新型コロナウイルスに関して、政府が対応を検討しています。実効性等はわかりませんが、特に 2 月下旬の小学校休業要請からの動きはめまぐるしく感じます。この流れの中で、従業員を休業させることに関する助成金について、2 つの動きがありました。1 つは、従来から存在する「雇用調整助成金」の支給要件の緩和、もう 1 つは、小学校等休業にともなう保護者の休業に関する助成金の新設です。いずれも、@従業員を休業させる、A休業させた従業員に賃金保障する、ということが基本です。
貴社の場合、パート・アルバイトの方について、シフトを減らしてもその分の給与を支払っていないようです。このような場合は、当然助成金は支給されません。助成金は、休業させたのに従業員の生活のために給与を保障した事業所に対し、その保障した給与の全部又は一部を支給するものです。即ち、助成金は、売上減少を補うものではなく、事業所が支出した金銭を補填するという性格のものなのです。
【2制度の相違点】
雇用調整助成金は、前年の売上と比較して 10 %以上減少した事業所が対象となり得ます。通常は 3 カ月間の売上で比較しますが、新型コロナウイルスの特例で 1 カ月での比較となります。イメージとして、売上減少に伴って仕事が減少したものの、従業員を解雇せずに休業させて雇用継続し、休業期間について法に基づく休業手当を支払う事業所に対し、一定割合の助成金を支給するものです。対象労働者は雇用保険被保険者で、労使協定により所定労働日数のうち一定割合以上休業させた場合が対象です。
小学校等休業の保護者対応助成金は、3 月 31 日までの臨時措置です。こちらは、小学校等の休業により、その保護者が子の面倒をみるため仕事ができなくなったところ、事業所が特別な休暇を与えて通常働いたときと同様の給与を支払った場合に、その支払った給与全額(日額 8330 円が上限)を支給するものです。年次有給休暇を使って休ませたりすると、助成金対象にはなりません。対象労働者は、特に制限がありません。雇用保険被保険者でなくても対象となり得ます。休業日数も 1 日だけでも構いません。但し、小学校等がもともと休みの日(土日、祝日、春休み等)の休業については、原則として対象となりません。
このように、2 つの助成金制度は、もともとの目的が異なるため、制度の内容も全く異なるのです。
【休業手当支払い】
貴社の場合、法律上シフトを減らした部分の休業手当を支払わなければなりません。法律や政府は、新型コロナの影響を受ける労働者を保護しようとしますが、事業所に対しては保護しないだけでなく、保護する側であることを強制します。この強制による支出について、一定要件を満たせば助成金を支給する、というものです。この「一定要件」も、それなりに高いハードルがあります…。
【厚労省HPでチェックを】
いずれの制度も、新型コロナウイルス感染症の影響により制度拡充や新設されたばかりのものです。今後、状況に応じて取扱いに関する情報等が順次公開されると思われます。厚生労働省ホームページのチェックをお奨めします。
回答者 特定社会保険労務士 安藤 政明
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