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福岡!企業!元気!のためのワンポイントQ&A 《令和3年7月号》
学生アルバイトと雇用契約書
  質 問

【質問者】
 飲食業(正社員 4 名、パート・アルバイト 12 名)

【質問内容】
当社は、飲食業を営む株式会社です。パートとアルバイトの区分は、学生の場合をアルバイトと呼んでいますが、労働時間等はパートもアルバイトも個人個人バラバラです。当社は、採用に際して、正社員については雇用契約書を取り交わしておりましたが、パート・アルバイトについては特に何もしていませんでした。ところが、1 年ほど前に採用したアルバイト学生から、「雇用契約書はないのですか?」と言われたため、正社員用の雇用契約書の労働時間と給与の欄を書き替えて、社会保険等は無しとして作成し、締結しました。それ以降、同様の対応をしています。
ところが、最近になって、問題が生じました。学生アルバイトの一人が、厨房を手伝うように指示したら「雇用契約書で職務はホールになっていること」を根拠として拒否するのです。そのことがあってから、労働時間の変更にも応じてくれなくなるなど、とにかく雇用契約書に記載されていないことは一切してくれなくなりました。今となっては、他の人がマネしないことを祈りつつ、今度の 3 月卒業をじっと待っている状況です。
雇用契約書ですが、学生の場合の注意点とかありましたら、教えて下さい。

  回 答

【労働条件明示義務】
労働者の雇入に際して、事業所は法が定める項目の労働条件について、書面明示して交付する義務があります。必ずしも「雇用契約書」とする必用はありません。厚労省のモデル書式も「労働条件通知書」とされています。
対象となる「労働者」の範囲は、正社員に限られるものではありませんから、パートやアルバイトも対象となります。記載すべき労働条件は、次のとおりです。
@契約期間の有無(有期の場合は更新の取扱いを含む。)
A就業の場所、従事すべき業務
B始業及び終業時刻、休憩時間
C所定労働時間を越える労働の有無
D休日
E休暇(年次有給休暇、その他の休暇等)
F賃金(諸手当を含む。時間外の割増率、昇給の有無等を含む。)
G賞与、退職金等
H退職に関する事項(解雇事由を含む。)
I雇用管理相談窓口の職氏名(正規雇用は不要)
J適用される保険、適用される就業規則の名称等
Iは法定事項ではありませんが、実質的に記載すべき事項です。
労働契約という「契約」ですから、「雇ってから決める」という方法は許されません。世間では、個々に異なる労働契約なのに、ひな形を用いて適当に対応することで、後日労働紛争が生じた際に痛い目に遭う事業所も少なくないのが現実です。最低でも上記事項について定めなければ、雇用契約書は作成できないということを意味します。

【学生の注意事項】
学生の場合、「学生だからといって、基本的に一般労働者と何ら変わらない」ということが最大の注意事項だと思います。厳密にいえば、学生(夜間学生、通信学生を除く。)は雇用保険被保険者にならないことが異なります。貴社もそのようですが、一般に学生アルバイトは個々に労働条件が異なるため、正社員と比較して、むしろ雇用契約書等を作成することが極めて繁雑になるのが一般的です。
まず@は、期間を定める方が望ましいです。能力不足や人員調整等への対応を可能とするためです。更新は可能とし、上限は卒業予定時期とあわせて明示するといいでしょう。Aは、最後に「付随する業務、その他会社が指示する業務」等と付け加えるといいでしょう。
難しいのがBDの記載ですね。契約に応じて記載しますが、働き始めてからどんどん変わったりしがちです。それでも「週 2 〜 3 日」等の記載はよくありません。年休付与日数が定まりませんし、保険加入有無の判定も困難です。また、実際には週 1 日や週 4 日となる週が生じたりするかもしれません。テクニックとしては、「月 14 日以下」等と記載する方法があります。
昇給、賞与、退職金の有無も、きちんと記載しておく必要があります。そして忘れてはならないのが、就業規則が適用されることを明示することです。

回答者  特定社会保険労務士 安藤 政明

人事労務全般、就業規則・諸規程、監督署調査、労働紛争、社会保険、労災、給与計算、契約書
安藤社会保険労務士事務所
特定社会保険労務士・行政書士・一級FP技能士/CFP 安藤 政明
特定社会保険労務士・第二種衛生管理者 箭川 亜紀子
810-0041福岡市中央区大名2-10-3-シャンボール大名C1001
TEL 092-738-0808/FAX 092-738-0888/
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